明神川(みょうじんがわ)は、上賀茂神社境内、上賀茂重要伝統的建造物群保存地区などを流れる川
賀茂川の志久呂橋の下流東岸に取水口がある分流
上賀茂神社の禊をするための清めの川であり、梅辻家住宅など各社家では禊の水や庭園の水、生活用水に用いられる
<明神川>
全長4.5km
源流:賀茂川
取水口:賀茂川の志久呂橋下流の明神井堰
合流点:琵琶湖疏水分線
別称:内川
上賀茂神社境内に入り御生所(みあれどころ)付近で「御生所川」と称される
その後、本宮の西を流れ、禊のために用いられ二の鳥居内陣の神域を出るまで「御手洗川(みたらいがわ)」と称される
楠橋と禰宜橋の間で、小丸山から本宮の東を流れる御物忌川(おものいがわ)をあわせる
合流後、玉垣の端に架かる夜具橋から「ならの小川」と称され、南東に流れる
渉渓園の手間で分流し、一方は「沢田川」とも称され東へ向かう
曲水の宴では、この分水が用いられる
ならの小川は、渉渓園を南に流れ、夜具橋上流で再び沢田川を合流して南下する
玉垣の端に架かる酒殿橋から境内を出て「明神川」と称され、社家町を東へ流れる
酒殿橋からは一部が菖蒲園川(乙井川)に分流され賀茂川に流れる
平安時代
賀茂氏により造られた人工的な農耕水路といわれる
<社家>
梅辻家住宅など社家の各家には、明神川の水が石垣の下の取水口から引き入れられている
明神川に架かる社家の橋は、幅2m、長さは2.5から5mほど
社家橋は、各家に1つだけという取り決めがあった
現在は、15本の橋が保存地区に指定されている
庭園の水や生活用水として用いられれ、下水専用の水路に流し地中で濾過させていた
神官たちは、庭園の井戸で禊をしてから上社に出仕した
<賀茂曲水宴>
4月第2日曜日
渉渓園で、ならの小川からの分流の沢田川を使って雅な歌会の宴が行われる
<葵祭 斎王代・女人列御禊神事>
5月初旬
下鴨神社と隔年交代で、斎王代や女人たちが、ならの小川で禊払いの神事が行われる
<賀茂競馬会神事の御鞭洗いの儀>
5月5日
沢田川で行われる
<夏越神事(なごししんじ)・夏越祓式>
6月30日 午後8時過ぎ
氏子信者から持ち寄られた人形(ひとがた)を篝火の炎が揺らぐ ならの小川に投じて半年間の罪穢を祓い清められる
<藤木神社>
社家街の東奥に祀られている
明神川の守護神とされる
樹齢500年のクスノキの巨木が立っている
<季語>
「楢の小川」「御手洗川」
風そよぐ ならの小川の 夕暮れは 禊ぎぞ夏の しるしなりける(藤原家隆)(小倉百人一首)
平安時代の神職が夏越の祓いのときに禊をする情景を詠んでいる
<ゲンジボタル>
ならの小川では、ゲンジボタルの放生が行なわれており、5月下旬からホタルを見ることができる
<上賀茂重要伝統的建造物群保存地区>
明神川沿いの神官達の社家町(しゃけまち)一帯の町並み
社家の主屋と、これを囲む土塀、庭園、門、明神川にかかる土橋などが独特の雰囲気を残す