平野神社(ひらのじんじゃ)(HiranoJinjya) 京都通メンバ
所在地:京都市北区平野宮本町   鳥居地図情報鳥居

祭神:今木皇神(いまきのすめおおかみ)、久度大神(くどのおおかみ)、古開大神(ふるあきのおおかみ)、比売大神

社格二十二社 五位官幣大社別表神社

神紋:桜

 平野神社(ひらのじんじゃ)は、北野天満宮の北西にたつ神社

 平城京の田村後宮(たむらこうきゅう)から、平安京遷都の時に、この地に移されたといわれる

 朝廷に崇敬され、多くの天皇の行幸もあり、例大祭の平野祭には全国唯一、皇太子が奉幣する定めになっており、
皇族が臣籍降下した源氏・平氏・大江氏・菅原氏・高階氏・中原氏・清原氏・秋篠氏などの公家の氏神さんにもなっていた


 明神二十二社の 五位、官幣大社に列せられる格式の高い神社であった

 「平野の夜桜」として桜の名所で、夜間ライトアップなども行われる

平野神社の写真集

【平野神社の歴史・経緯】






【平野神社の祭神】

 4柱が、平城京より勧請・遷座され祀られている

 <今木皇大神(いまきのすめおおかみ)>
 第一殿
 源気新生・活力生成の神、染織・手芸・衣の神
 「平野神」とも称される
 「今木」は「今来」に通じ、新しく来た人、渡来系の意味があるともいわれる
 桓武天皇の生母、百済(くだら)(朝鮮)からの渡来氏族出身の高野新笠(たかののにいがさ)の祖神
 平城京の田村後宮(たむらこうきゅう)に祀られていた宮中の神

 <久度大神(くどのおおかみ)>
 第二殿
 竈(くど)・台所・衣食住生活安泰の神
 大和国平群郡(北葛城郡王寺町久度)の二十座、久度神社に祀られていた

 <古開大神(ふるあきのおおかみ)>
 第三殿
 邪気を払う斉火の神
 大和国平群郡(北葛城郡王寺町久度)の二十座、久度神社に祀られていた

 <比売大神
 第四殿
 生産力の神

【平野神社の境内】

 <本殿(重要文化財)>
 4殿(第一殿・第二殿・第三殿・第四殿)2棟からなる
 東向き一間社春日造檜皮葺の社殿を4つ並べ、2殿づつ左右両殿の間に横棟を渡して「合の間」をつくり連結している
 正面に向拝をつけ一見して三間社のように見える珍しい様式で、
 「比翼春日造(ひよくかすがづくり)」「平野造」と称される
 北から第一殿として、4柱が祀られている
 宮中神であったことから東向きになっている
 江戸時代公家・歌人・医者で、西洞院家26代 西洞院時慶(にしのとういんときよし)により、
 1626年(皇紀2286)寛永3年に、第一殿(今木皇大神)・第二殿(久度大神)
 1632年(皇紀2292)寛永9年に、第三殿(古開大神)・第四殿(比売大神)が再建される
 1922年(皇紀2582)大正11年4月13日
 本殿が国の重要文化財に指定される


 <拝殿>
 釘を用いない接木の工法により「接木の拝殿」と称される
 1650年(皇紀2310)慶安3年
 後水尾天皇中宮 東福門院(徳川秀忠の娘)の寄進により建立される
 内部の長押に掲げられている三十六歌仙は、寛文年間(1661年~1673年)に、公卿 平松時量が寄進したもので、
 書は近衛基煕、絵は海北友雪の筆
 2018年(皇紀2678)平成30年9月
 台風21号により、拝殿が倒壊した


 <中門(京都府指定有形文化財)>
 本殿と摂社 縣神社で共有されている
 唐破風造、檜皮葺の屋根
 1653年(皇紀2313)承応2年頃の建立

 <回廊>
 中門の左右に回廊が付けられている

 <東大鳥居>
 「平野皇大神(ひらののすめおおかみ)」の扁額が掲げられている
 以前は、「平野大社」とされていた
 「皇大神」と尊称される神は、全国でも少ないといわれる

 <ご神木>
 樹齢400年の樟(くす)の木
 ご神木に手で触れながら反時計回りをすると、厄除けのご利益があるといわれる

 <井戸>
 御神水として、呑み水お茶等にも利用される

 <手水舎>
 <東神門>

 <西・北の五筋塀>
 1940年(皇紀2600)昭和15年
 西大路歩道を含む六車線分を譲渡したときに築塀された

 <南門(京都府指定有形文化財)>
 薬医門(やくいもん)
 切妻造、桟瓦葺の屋根
 1651年(皇紀2311)慶安4年
 御所の旧門を下賜され、現在の大鳥居のところに建てられる
 1943年(皇紀2603)昭和18年
 南門として移築される

 <西鳥居>



【平野神社の摂社・末社】

 <摂社 縣社(あがたしゃ)(京都府指定有形文化財)>
 玉垣内の本殿の南にある
 祭神:大穂日命(菅原氏の祖神)
 一間社春日造で、檜皮葺の屋根  1631年(皇紀2291)寛永8年の建立

 <末社 4社>
 拝殿の北側にある
 東から
 <鈿女社(うずめしゃ)>
 祭神:鈿女大神
 芸能の守護

 <蛭子社(ひるこしゃ)>
 祭神:蛭子大神
 水子の守護

 <末社 住吉社(すみよししゃ)>
 祭神:住吉大神  和歌の守護
 除災招福・寿命長久・商業繁盛の神さん

 <末社 春日社(かすがしゃ)>
 祭神:春日大神  言霊の守護
 奈良 春日大社の分霊


 <末社 八幡社>
 4社と社務所の間にある

 <出世導引稲荷神社>
 表参道から入って北側(右側)にある
 慶長年間(1596年~1615年)
 後陽成天皇の勅許により、公家 西洞院時慶が平に神社の修造を行う
 そのときに、伏見稲荷大社に祈願し、浄財が集まり、工事も無事に完成したことから稲荷社が勧請され建立された
 ご利益:出世開運、出世導引神徳

 <猿田彦神社>
 出世導引稲荷神社の横にある
 祭神:猿田彦大神
 猿田彦社は、縫ぐるみのを奉納して祈願すると、子どもの知恵を授かるとされている。



【平野神社の文化財】

 <三十六歌仙の額>
 拝殿の内部の長押に掲げられている
 寛文年間(1661年~1673年)に、公卿 平松時量が寄進したもの
 書は近衛基煕、絵は海北友雪の筆

【平野神社の祭事】

 <歳旦祭> 1月元日
 <節分祭> 2月節分

 <紀元祭>
 2月11日
 国家紀元の祝祭が行われる
 神武天皇の即位を祝い国の誕生を祝う(旧紀元節)

 <祈年祭>
 2月17日
 農作物の豊作が祈願される

 <夜桜のライトアップ>
 3月下旬~4月上旬
 夜間拝観

 <例大祭> 4月2日

 <桜花祭神幸祭
 4月10日
 本殿神事の後、花山天皇の御陵に参詣し、騎馬や織り姫たちの神幸列が区内を練り歩く
 先頭を鬼神が露払いし、その後を王朝、天平、元禄の各列が続く

 985年(皇紀1645)寛和元年4月10日
 花山天皇が東遊(あずまあそび)を行い、境内に数千本の桜が植えられ、後胤繁栄祈願の臨時勅祭を行われたのが由来


 <大祓> 6月30日

 <御鎮座記念祭・奉灯祭>
 9月14日
 祭神が奈良から京都へ移されたのを記念して行われる祭事
 800個の提燈が揺らめく中、拝殿で日本舞踊や仕舞、雅楽などの奉納が行われる

 <名月祭>
 中秋の日
 神事の後、民謡、舞踊、雅楽などが奉納される

 <紫式部祭>
 10月初旬
 紫式部を偲ぶ祭
 祭典、速水流献茶、舞楽が奉納される

 <文化祭>
 11月3日
 明治天皇誕生日祈願
 明治天皇祭(旧明治節)

 <新穀感謝祭(新嘗祭)>
 11月23日
 農作物の豊作を感謝して祈願される

 <大祓・除夜祭>
 12月31日





【平野の桜】

 境内には、約50種、約400本の桜がある

 早咲きの品種は3月中旬に咲き始め、遅いものは4月中旬まで、約1ヶ月間花を観賞できる名所
 「平野の夜桜」としても有名
 珍種が多いのは、各公家に伝来していた秘伝の桜が奉納されたことによる

 平安時代中期
 985年(皇紀1645)寛和元年
 花山天皇が、境内に数千本の桜をお手植されたのが始まり
 その後も、行幸ごとにお手植えがされ、本数も増えていった
 桃山時代
 後陽成天皇の勅命で、社殿が再建されたとき、桜林も再整備された
 江戸時代
 約100種類の桜の木があったといわれる
 円山公園の初代枝垂桜(シダレザクラ)や、大阪造幣局の桜にも平野神社から移植したものもあるといわれる

 <魁桜(さきがけさくら)>
 平野神社の代表的な桜
 花は白の一重で、枝垂れ
 見頃:3月中旬

 <寝覚桜(ねざめさくら)>
 花は白色の一重で、葉が茂ると同時に開花する
 見頃:4月初め

 <胡蝶桜(こちょうさくら)>
 花は淡紅色の大輪で、満開時には蝶が飛んでいるかのようにみえる
 見頃:4月上旬

 <嵐山桜(らんざんさくら)>
 山桜系の里桜
 花は紅白色で五弁の一重咲き
 古代より、襖絵などによく描かれている
 見頃:4月上旬から中旬

 <虎の尾桜(とらのおさくら)>
 平野神社の原木
 花は白色で、花梗が短く枝に咲き、枝の立ち縞模様がの尾のように見える
 見頃:4月中旬

 <平野妹背桜(ひらのいもせさくら)>
 平野神社の原木で代表的な桜
 花は淡紅色で、撒房形花序で、妹背(仲の良い恋人)のように花柄の先に2つ実が寄り添うようにつく
 見頃:4月中旬

 <御衣黄桜(ぎょいこうさくら)>
 花は黄緑色で花弁に濃い緑色と紅色の線がある珍しい八重桜
 雨宝院仁和寺六孫王神社などにも植えられている
 見頃:4月中旬から下旬

 <松月桜(しょげつさくら)>
 里桜の代表的な品種
 花は大輪で最初淡桃色で次第に白色となり、葉化雄しべがでる
 見頃:4月中旬

 <手弱女桜(たおやめさくら))>
 平野神社の原木
 花は濃淡紅色、葉は薄黄緑
 見頃:4月中旬

 <突葉根桜(つくばねさくら)>
 平野神社の原木
 初め花は小さく、終わりには花弁が100枚近くなる
 見頃:4月中旬





【その他】

 <平野御竃>
 「延喜式」の「内膳司式」によると
 天皇の食を饗する御竃には「平野・庭火・忌火」の三竃があり、
 庭火御竃は平時の食膳、忌火御竃は祭時の食膳、平野御竃は、健康・吉祥を司る御竃であるとされている
 平野神社と深い関わりあるとされている宮中神である

 <木花の名所>
 春 桜・柴桜・小手毬椿・紫菜種・黄菜種・牡丹(ボタン)・山菫・百合・鉄線・一初・山吹・独逸菖蒲(ジャーマンアイリス)
 夏 泰山木・百合・芙蓉・つつじ・さつき・夾竹桃・君子蘭・蛍袋・朝顔・紫陽花・水芙蓉
 秋 金木犀・桔梗・不如帰・秋桜・彼岸花(赤・白)・ナデシコ(撫子)・松葉菊・酔芙蓉
 冬 水仙・梅・浜菊・山茶花・蝋梅・南天

 紫式部(むらさきしきぶ)
 1994年(皇紀2654)平成6年
 桜苑内に200株植樹される
 見頃は、10月1日~30日頃で、紫式部祭も行われる

 <朝廷の崇敬と八姓の氏神>
 円融天皇から後醍醐天皇まで、17天皇・21回の行幸の記録がある
 例大祭の平野祭には全国唯一となる皇太子が奉幣する定めになっていた、

 皇族が姓を賜り臣籍降下した源氏・平氏・高階・大江・中原・清原・菅原・秋篠の八氏と、天皇外戚の氏神であるとされる

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【平野神社へのアクセス】

 市バス 衣笠校前 徒歩約3分

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