花山神社(かざんじんじゃ)は、山科の西南部にたつ神社
祭神の宇迦之御魂大神は、穀物の神さんで「稲荷さん」とも称される
神大市比売大神は、祭神の宇迦之御魂大神の母神にあたり、「稲荷さんの母神さん」として信仰されている
花山天皇が篤く崇敬されたことから「花山神社」と称されるようになる
赤穂浪士 大石内蔵助良雄が、約1年ほど山科西野山村に隠棲されていたとき、度々参詣し討入の大願成就を祈願したといわれる
三柱が祀られている
<宇迦之御魂大神>
稲荷大神で、穀物を作り、蚕を飼って織物を作ることを導いた神さん
屋船大神とも称され、家屋の守護神とされ、餓えたり凍えたりしないように守護されるといわれる
<神大市比売大神(かむおおいちひめのおおかみ)>
宇迦之御魂大神の母神で、伏見稲荷大社の「元宮」「母宮」「奥宮」とも称されるようになった
商売繁盛の神さん
<大土之御祖大神(おおつちのみおやのおおかみ)>
土地田畑の神さん
天孫降臨のとき道案内をされた猿田彦大神と同じ神さんで、導き・交通の神さん
<本殿>
鞘宮内(覆屋)に建てられている
1701年(皇紀2361)元禄14年2月12日
赤穂浪士 大石内蔵助良雄の義兄 進藤源四郎により寄進され建立される
2003年(皇紀2663)平成15年
本殿天井裏より棟札が発見され「元禄十四年二月十一日 施主浅野長矩家臣進藤源四郎俊弐」などと記されていた
<拝殿>
<稲荷塚>
拝殿の(北側)右側にある
弥生時代後期の円墳遺跡といわれる
三条小鍛治宗近が、花山稲荷の神徳により名刀「小狐丸(こぎつねまる)」を鍛えた合槌稲荷の故事の跡ともいわれる
現在は、この古墳跡上に末社 達光宮が祀られている
<木製 鳥居>
本殿背後にある
赤穂浪士 大石内蔵助良雄の寄進
<断食石>
大石内蔵助が、この上に座って断食し、仇討ちの策を練ることに没頭したといわれる石
かつては、背後の薮の中にあり、さらに巨岩だったといわれる
<血判石>
大石内蔵助が、同志の心底を試すために、石上で血判させたといわれる
<神馬舎(しんめしゃ)>
神馬の本体は日本国中の神社の神札を集めて調製されている
崇敬団体 京都神馬元祖(きょうとしんめがんそ)からの寄贈
1934年(皇紀2594)昭和9年 第一室戸台風により全壊、神馬は無傷だった
1937年(皇紀2597)昭和12年 再建される
1981年(皇紀2641)昭和56年7月 現在の地に移設される
<貫のみの鳥居>
鳥居の左右の柱、貫の出のみが残されている
<おゆき桜>
山科区西野山のおゆきさんが、御所に落ちていた枝垂れ桜の種から苗を育て、植樹されたもの
<参道の桜>
1968年(皇紀2628)昭和43年
明治百年を記念して、参道から境内にかけて、桜が植樹された
ソメイヨシノ・ヤマザクラ・サトザクラ・シダレザクラ・ヤエベニシダレザクラなど多種の花が咲く
<一本杉>
1934年(皇紀2594)昭和9年の第一室戸台風により社頭の多くの木々が倒木した中で残った杉の大木
<熊丸神社(くままるじんじゃ)>
本殿横左側にある
祭神:速秋津比売大神(はやあきつひめのおおかみ)・佐田比古大神(さるたひこのおおかみ)
速秋津比売大神は、水門神・潮荒い海の神さんで、大祓祝詞にも登場する
ご祈願のときには、まず、速秋津比売大神に参拝して禊祓いをうけるのが習わし
佐田比古大神は、本社祭神の大土之御祖大神と同じ神さん
<達光宮(たつこうのみや)>
瑞垣内の本殿手前右側にある
祭神:市杵島比売大神・金山比古大神(かなやまひこのおおかみ)・
金山比売大神(かなやまひめのおおかみ)・天目一箇大神(あめのまひとつのおおかみ)
「達光宮弁財天」とも称され、商売繁盛・芸能・技芸上達・弁舌の才が祈願される
金山比古大神・金山比売大神は、金属・鍛冶精錬、鉱工業の守護神
天目一筒大神は、鉄の鍛錬に必須の「ふいご」を神格化した神さんで、三条小鍛冶宗近が祈願して名剣「小狐丸」を得たといわれる
<水分社(みくまりのやしろ)>
本殿右側横の一番奥にある
祭神:天之水分大神(あめのみくまりのおおかみ)・国之水分大神(くにのみくまりのおおかみ)
すべての生命の根源である水の神さんで、水に関係ある全てを司り、製紙・染色業の守護神ともされる
<四社神社(ししゃじんじゃ)>
境内右側にある
祭神:久久之智大神(くくぬちのおおかみ)・草野比売大神(かやのひめのおおかみ)・埴山比売大神(はにやまひめのおおかみ)・
速秋津比売大神(はやあきつひめのおおかみ)
久久之智大神は、屋船久久之智大神と称され、木の神さん
草野比売大神は、草木の神さん、家屋の神さん
埴山比売大神は、土や肥料の神さん
これら三柱は、本社祭神の宇迦之御魂神の幸魂とされる
社殿全体が円墳の上に建てられている
本殿が祀られる以前より、この地に祀られていたといわれる
<薬丸社>
四社神社の手前左側にある
祭神:薬丸大神(やくまるおおかみ)
足腰、腰痛、肩こりにご利益があるといわれる
<御嶽山御塚(おんたけさんおつか)>
参道入り口付近にある
祭神:大国主命・少彦名大神
御嶽大神(おんたけおおかみ)・花山不動明王・力松大神など
参道脇の楠木のそばにある磐境に祀られている
医療の神さんで、病気平癒・身体健勝が祈願されている
<御塚(おつか)>
祭神:八十余柱
本殿北側の森林の中や参道の脇など境内各所に、八百万の神々の一部の神さんが祀られている
<月次祭> 毎月1日
<歳旦祭> 1月元日
<小正月祭(どんど焼き)>
1月15日
古いお札や御守が焚き上げられる
伊勢太神楽佐々木金太夫社中の奉仕によって邪を祓いやり福を招く獅子舞が奉納される
<初午祭>
2月初午の日
農耕を始めるにあたり、稲荷大神の降臨を仰ぎ、五穀豊穣を祈願される
釜を鳴らして一年が占われる
参詣者には名物 竹ういろう(寒天を溶かし黒砂糖を加えた水菓子)が授与される
<例祭> 4月第2日曜
<摂社 達光宮例祭>
6月第3日曜
手先の技術や、弁舌の才を願う人々の栄達が祈願される
<夏越大祓式>
6月30日
茅輪くぐり、人形祓の神事が行われる
<火焚祭(ひたきさい)>
11月第2日曜日
三条小鍛冶宗近の故事にちなむ神事
火焚串(護摩木)を鞴(ふいご)の形に組むことから「ふいご祭」とも称される
火中に投げ入れた蜜柑(みかん)を食べたり、皮を煎じて飲めば、年中風邪をひかないといわれる
<年越大祓式・除夜祭>
12月31日
人型祓いの神事が行われる