松尾大社(まつのおたいしゃ)(MatsunooTaisya) 京都通メンバ
所在地:京都市西京区嵐山宮町   鳥居地図情報鳥居

祭神:大山咋神市杵嶋姫命

社格明神二十二社上七社官幣大社別表神社

創建:秦忌寸都理(はたのいみきとり)

旧称:松尾神社

京都五社めぐり

別称:松尾の猛霊

 松尾大社(まつのおたいしゃ)は、嵐山の南、桂川の西岸の松尾の地にある神社

 四条通の東端には八坂神社、西端に松尾大社がある

 京都洛西の総氏神として、西京区・右京区のほぼ全域、下京区・南区・北区の一部に約10万戸の氏子を持つ

 昔から、開拓、治水、土木、建築、商業、文化、寿命、交通、安産の守護神として信仰を集める
 特に、「日本第一醸造祖神(お酒の神さま)」として信仰を集め、境内の霊泉の「亀の井」の水を醸造の時に混ぜると
お酒が腐らないといわれる


 社殿の背後の松尾山を含む約12万坪が境内
 その全域が都市計画法による風致地区に指定され、大部分が古都保存法による歴史的風土保存区域になっている

 4月中旬の山吹、5月中旬からの皐月(さつき)花の名所

松尾大社の写真集

【松尾大社の歴史・経緯】


【松尾大社の祭神】

 <大山咋神
 「古事記」によると
 「山末之大主神」とも称され、近淡海国の日枝山に鎮座される
 また、葛野の松尾に座して鳴鏑(大形の鏃(やじり)をつけた)を使う神といわれる
 山の上部に鎮座されて、山や山麓一帯を支配される大主神であり、
 比叡山と、松尾山を支配される神であったといわれる

 <中津島姫命(なかつしまひめのみこと)>
 市杵嶋姫命の別名
 古事記によると
 天照大御神が、須佐之男命が天安河を隔てて誓約された時に、狭霧の中から生まれたといわれる
 福岡県の宗像大社に祀られる宗像三女神の一神として、古くから海上守護の信仰がある



【松尾大社の境内】

 社殿背後の松尾山を含む約12万坪が境内

 <本殿(重要文化財)
 701年(皇紀1361)大宝元年
 秦忌寸都理が創建以来、朝廷や幕府により改築されてきた

 1397年(皇紀2057)応永4年
 現在の本殿が建築される
 屋根は、切妻造に似た特殊な両流造で「松尾造」と称される珍しい様式
 建坪約35坪、桁行三間、梁間四間
 柱や長押などの直線と屋根の曲線とが調和がとられ
 箱棟の棟端が、唐破風形になっている珍しい意匠
 木部・桧皮の色と、柱間の壁の白色とがおりなす美しい色彩
 向拝(ごはい)の斗組(ますぐみ)、蟇股、手挟(たばさみ)などには優れた彫刻が施されている

 1542年(皇紀2202)天文11年
 大修理が行われ改築される

 <楼門>
 江戸時代初期の建築
 左右に随神が配置される
 祈願杓子
 随神の周囲に張り巡らせた金網に差し込まれている杓子
 いろいろな願い事を書いて掲げておけば救われるという信仰によるもの

 <赤鳥居>

 <脇勧請>
 赤鳥居の上部の柱と柱を結ぶ注連縄に数多く垂れ下っている榊(なぎ)の小枝を束ねたもの
 榊の束数は、平年は12本、閏年は13本として吊り下げられる
 鳥居の原始的な形式に似たもの
 大昔には、参道の両側に、二本の木を植えて神を迎え、柱と柱の間に縄を張り、
その年の月数だけの細縄を垂れて、月々の農作物の豊作を占ったといわれる

 以下は、いづれも江戸時代初期の建築といわれる
 <拝殿>
 <回廊>
 <釣殿>
 <中門>
 <神庫>

 <松風苑(しょうふうえん)
 松風苑には、磐座の庭・曲水の庭・蓬莱の庭・即興の庭の4つの庭がある
 1975年(皇紀2635)昭和50年
 近代庭園の第一人者 重森三玲の作庭
 重森三玲の得意とした立体造形で、石組構成で動と静が表現される
 4つの庭の約200個の石は、すべて徳島県吉野川の青石(緑泥片岩)が用いられている

 <磐座の庭>
 上古風の庭
 松尾山中の磐座(ご神体とした石)を再現するように作られたもの
 男女二神を象徴する二巨石を囲む岩石群が、きわめて厳粛でおごそかに配置される
 一面には、丹波笹が植えられ、人を近づけない高山の様子を表している

 <曲水の庭>
 平安風の曲水式庭園
 丘のまわりを御手洗川の清流が七曲りして流れ州浜を伴う、丘上には青石が点在している

 <蓬莱の庭>
 鎌倉風の蓬莱の池庭
 蓬莱神仙の世界を、池中の神仙島で表され、龍門瀑形式の生得の滝構成で、精神性の高い池泉庭園
 多くの島が点在し、岩の間から水が噴出して、せせらぎの音を立てて鶴形の池に注ぐ
 周囲には回遊路が設けられている
 重森三玲の遺志を継いで長男 重森完途が完成させたもの

 <即興の庭>
 曲水の庭の背後の宝物館と葵殿の間にある庭園
 当初の設計にはなく、即興で造り上げられた庭
 緑泥片岩、白川砂、錆砂利による枯山水庭園
 宝物館、渡り廊下、葵殿の3方向からの眺めが考慮されている

 <松尾山>
 松尾山は、「別雷山(わけいかづちのやま)」とも称され、七つの谷に分かれている

 <磐座(いわくら)>
 松尾山の渓谷の北にある谷が「大杉谷」と称され、その頂上近くにある巨大な岩石が、古代の磐座
 大昔の社殿が創建される以前に、祭神が祀られていた所

 <御手洗川>
 社務所の裏を流れる渓流
 枯れることのない霊亀の滝がかかっている

 <亀の井
 霊亀ノ滝の近くにある神泉
 酒造家は、この水を酒の元水として造り、醸造の時に混ぜるとお酒が腐らないといわれる
 延命長寿、甦りの水ともいわれる名水

 <神使の庭>
 亀と鯉がいる

 <カギカズラ野生地(京都市指定天然記念物)>

 <椋(むく)の霊樹>
 蓮菜の庭の入口に立っていた、樹齢800年の京都の名木だった
 1993年(皇紀2653)平成5年7月に大雨で枯朽する

 <相生の松(あいおいのまつ)>
 恋愛成就 夫婦和合の樹
 雄雌根が同じ樹
 樹齢350年だった

 <お酒の資料館>
 お酒ができるまでの行程の解説や、古くから伝わる酒造道具・酒器・お酒に関する展示が行われている



【松尾大社の摂社・末社】

 境内外に31社の摂社・末社があるとされる

 <松尾三社>
 松尾大社・月読神社・櫟谷社(櫟谷宗像神社)の3社を総称して「松尾三社」と称される

 <松尾七社>
 松尾三社と、四大神社・衣手社・三宮社・宗像社(櫟谷宗像神社)の7社を総称して「松尾七社」と称される
 松尾祭のときには、それぞれお神輿・唐櫃が、それぞれの御旅所に渡御する


 境内 本殿北側の御手洗川岸に末社2社ある

 <末社 四大神社(しののおおかみのやしろ)>
 祭神:春若年神(はるわかとしのかみ)、夏高津日神(なつたかつひのかみ)、
    秋比売神(あきひめのかみ)、冬年神(ふゆとしのかみ)
 松尾七社の一つ

 <末社 三宮社>
 祭神:玉依姫命
 松尾七社の一つ


 境内 本殿裏の霊亀の滝の前に末社1社ある

 <末社 滝御前社>
 祭神:罔象女神(みつはのめのかみ)


 境内 本殿南側に末社4社ある(北側から)

 <末社 衣手社(ころもでしゃ)>
 祭神:羽山戸神(はやまとのかみ)
 松尾七社の一つ

 <末社 一挙社>
 祭神:一挙神

 <末社 金刀比羅社>
 祭神:大物主神

 <末社 祖霊社>
 祭神:松尾大社ゆかりの功労者

【松尾大社の境外摂社】

 <月読神社
 西京区松室山添町
 祭神:月読尊
 式内社(名神大社)
 松尾三社の一つ


 <櫟谷神社(櫟谷宗像神社)(式内社)>
 西京区嵐山中尾下町
 祭神:奥津島姫命
 宗像神社と二社同殿で櫟谷宗像神社として祀られている
 松尾三社の一つ

 <宗像神社(櫟谷宗像神社)>
 西京区嵐山中尾下町
 祭神:市杵嶋姫命
 櫟谷神社と二社同殿で櫟谷宗像神社として祀られている
 松尾七社の一つ

【松尾大社の境外末社】

 <朱雀松尾總神社(朱雀御旅所)>
 下京区朱雀裏畑町
 祭神:月読尊
 松尾祭の還幸祭のとき、松尾七社のお神輿6基・唐櫃1基が巡幸途中に立ち寄られる御旅所


 <松尾三宮社(三宮社御旅所)>
 右京区西京極北裏町
 大宝年間(701年〜704年)に創建される
 祭神:玉依毘売命
 のちに大山祇神、酒解神が合祀され三宮社と称される
 松尾祭には、三宮社のお神輿の御旅所となる


 <衣手神社(衣手社御旅所)>
 右京区西京極東衣手町
 祭神:玉依毘売命、羽山戸神
 境内末社の衣手社(羽山戸神)が合祀されて、衣手社の神輿の御旅所となる


 <松尾大社西七条御旅所
 下京区西七条南中野町
 祭神:松尾大神
 松尾祭のときの、5社のお神輿・唐櫃の御旅所





【松尾大社の文化財】

 <木造神像男神坐像二躯、木造神像女神坐像(重要文化財)>
 宝物館に安置されている
 平安時代の作といわれ、日本神像彫刻の遺品中で最古のものといわれている
 3体とも等身大坐像、彩色一木造り

 <駕輿丁船(かよちょうふね)>
 松尾祭の神幸祭で神輿の川渡しが行われる御船

【松尾大社の祭事】

 <歳旦祭> 1月1日
 <古神札焼納祭> 1月15日
 <節分祭> 2月節分
 <紀元祭> 2月11日
 <祈念祭> 2月17日

 <例祭>
 4月2日
 一年の中でも最も重要な祭事
 茂山千五郎家狂言、金剛流の謡曲などが奉納される

 <中酉祭・醸造完了感謝祭> 4月中酉の日

 <松尾祭
 境内に山吹が咲き乱れる時期
 1000年以上の歴史をもつといわれている祭事
 4月20日以後の最初の日曜日 神幸祭(おいで)
 4月29日   護符講、講社祭
 神幸祭後21日目の日曜日 還幸祭(おかえり)
 桂川で、神輿(みこし)の船渡御(ふなとぎょ)(川渡り)が行われる

 <大祓式> 6月30日

 <御田祭(おんださい)(京都市無形文化財)>
 7月第三日曜日
 3人の植女が早稲、中稲、晩稲を手にして、荘夫の肩に乗り境内を3周する
 神前には、夏野菜が添えられ謡曲などの奉納が行われる

 <八朔祭>
 9月第1日曜
 風雨安穏、五穀豊穣、家内安全が祈願される
 山ぶき会「女神輿」の巡行があり、渡月橋付近で舟渡御が行われる
 早朝から、奉納大相撲が行われる
 夕方から、境内一円、数千個の提灯の明かりが灯され、嵯峨野六斎念仏が奉納される
 八朔とは、旧暦の8月朔日(1日)のこと

 <上卯祭(じょううさい)・醸造安全祈願祭>
 11月上卯日
 酒造りは、卯日に始め、酉の日に終わる習わしがあり、
 祭神が酒の神であることから、卯日に行われる
 多くの醸造業関係者が、商売繁盛、家内安全を祈願される

 <新嘗祭> 11月23日
 <天長祭> 12月23日
 <大祓式・除夜祭> 12月31日


松尾大社 松尾祭 還幸祭 還幸祭
松尾大社 松尾祭 還幸祭  京都通メンバでないと表示されません 還幸祭
松尾大社 松尾祭 還幸祭  京都通メンバでないと表示されません 還幸祭

松尾大社 紅葉  京都通メンバでないと表示されません 紅葉
松尾大社 紅葉  京都通メンバでないと表示されません 紅葉

【その他】

 <亀楽粥(きらくがゆ)>
 毎月1日の早朝の「おついたち詣り」で振舞われるお粥
 大神様にお供えされた「神餅米(おもちまい)」と、延命長寿の「亀の井」の水で作られる


 <松尾の猛霊>
 松尾大社が鎮座する松尾山は、四神相応における西の守護神 白虎が棲むといわれる西山連峰にある
 松尾大社は、「松尾の猛霊」と称せられ、都を守る神さんとして崇敬されてきた

 <白虎の御朱印・白虎おみくじ
 京の西端にある都の守護にちなみ、四神相応における西の守護神 白虎の御朱印・おみくじなどが授与される


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【松尾大社へのアクセス】

 阪急電車 嵐山線 松尾駅 徒歩約5分
 市バス/京都バス 松尾大社前 徒歩約5分

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