伊邪那美命(イザナミノミコト)は、日本神話に登場する天津神(あまつかみ)
神世七代の最後の代に伊邪那岐命と一緒に生まれ、国産み・神産みを行う
火の神である火之迦具土神を生んで死んでしまい、黄泉国(よみのくに)に会いにきた伊邪那岐命に腐廃した姿を見られ
逃げ帰られてしまい、黄泉国の主宰神となる
古事記では、「伊邪那岐命」「伊邪那岐神」と表記されている
<「古事記」に登場する段>
神世七代
伊邪那岐命と伊邪那美命
「古事記」によれば
<神世七代(かみよななよ)>
天地が創造されるときに、大地の生命力と豊穣を生み出すエネルギーとされる7代の神々
伊邪那美命は、7代目として最後に、伊邪那岐命と一緒に生まれる
<国産み>
伊邪那岐命と一緒に、日本国土を形づくる多くの子供を生む
最初は方法が分からずに失敗した2つ、水蛭子(ヒルコ)・淡島が生まれ流される
次に、日本国土の元となる大八島国(おおやしまぐに)を生む
淡道之穂之狭別島(あはぢのほのさわけのしま)は、淡路島になる
伊予之二名島(いよのふたなのしま)は四国になり、胴体が1つで顔が4つあり、それぞれ名前が付けられる
愛比売(えひめ)(伊予国)・飯依比古(いひよりひこ)(讃岐国)・
大宜都比売(おほげつひめ)(阿波国)・建依別(たけよりわけ)(土佐国)
隠伎之三子島(おきのみつごのしま)は隠岐島になり、別称、天之忍許呂別(あめのおしころわけ)と称される
筑紫島は、九州になり、胴体が1つで顔が4つあり、それぞれ名前が付けられる
白日別(しらひわけ)(筑紫国)・豊日別(とよひわけ)(豊国)・
建日向日豊久士比泥別(たけひむかひとよじひねわけ)(肥国)・建日別(たけひわけ)(熊曽国)
伊伎島(いきのしま)は、壱岐島になり、別称、天比登都柱(あめひとつばしら)と称される
津島(つしま)は、対馬に、別称、天之狭手依比売(あめのさでよりひめ)
佐渡島(さどのしま)は、佐渡島になる
大倭豊秋津島は、本州になり、別称、天御虚空豊秋津根別(あまつみそらとよあきつねわけ)と称される
さらに、引き続いて6島が生まれる
吉備児島(きびのこじま)は、岡山の児島半島になり、別称、建日方別(たけひかたわけ)と称される
小豆島(あづきじま)は、小豆島になり、別称、大野手比売(おほのでひめ)と称される
大島(おおしま)は、周防大島になり、別称、大多麻流別(おほたまるわけ)と称される
女島(ひめじま)は、大分の姫島になり、別称、天一根(あめひとつね)と称される
知訶島(ちかのしま)は、長崎の五島列島になり、別称、天之忍男(あめのおしを)と称される
両児島(ふたごのしま)は、長崎の男女列島になり、別称、天両屋(あめふたや)と称される
<神産み>
国産みに続いて、伊邪那岐命と伊邪那美命は、一緒に17柱の神を生む
大事忍男神(オホコトオシヲ)は、海の神
石土毘古神(イハツチビコ)は、土石の神
石巣比売神(イワスヒメ)
大戸日別神(オホトヒワケ)
天之吹男神(アメノフキヲ)
大屋毘古神(オオヤビコ)
風木津別之忍男神(カザモツワケノオシヲ)
大綿津見神(オホワタツミ)
速秋津日子神(ハヤアキヅヒコ)は、河口の神
速秋津比売神(ハヤアキツヒメ)
志那都比古神(シナツヒコ)は、風の神
久久能智神(ククノチ)は、木の神
大山津見神(オホヤマツミ)は、山の神
鹿屋野比売神(カヤノヒメ)は、別称、野椎神(ノヅチノカミ)と称される
鳥之石楠船神(トリノイハクスブネ)は、別称、天鳥船(アメノトリフネ)と称される
大宜都比売神(オホゲツヒメ)は、食物の神
火之夜芸速男神(ヒノヤギハヤヲ)は、火の神で、別称、火之炫毘古神(ヒノカガビコ)・火之迦具土神と称される
<病気>
最後に、火の神である火之迦具土神を生んだ伊邪那美命は、女陰が焼けてしまい病気になり、後に死んでしまうが、
苦しんでいるときの嘔吐・大便・尿から6柱の神を生む
金山毘古神(カナヤマビコ)は、嘔吐からうまれた鉱山の神
金山毘売神(カナヤマビメ)は、嘔吐からうまれた鉱山の神
波邇夜須毘古神(ハニヤスビコ)は、大便からうまれた土壌の神
波邇夜須毘売神(ハニヤスビメ)は、大便からうまれた土壌の神
彌都波能売神(ミツハノメ)は、尿からうまれた土壌の神
和久産巣日神(ワクムスヒ)は、尿からうまれた食物の神
その後、子の和久産巣日神は、豊宇気毘売神を生んだ
<黄泉国(よみのくに)>
伊邪那岐命が、伊邪那美命を取り戻しに黄泉国にやってくる
そこで、伊邪那美命の腐った体に蛆(うじ)などがわき、八雷神がまとわりついているのを見られてしまう
大雷(オホイカヅチ)が、頭にいた
火雷(ホノイカヅチ)が、胸にいた
黒雷(クロイカヅチ)が、腹にいた
折雷(サクイカヅチ)が、陰部にいた
若雷(ワカイカヅチ)が、左手にいた
土雷(ツチイカヅチ)が、右手にいた
鳴雷(ナルイカヅチ)が、左足にいた
伏雷(フスイカヅチ)が、右足にいた
伊邪那岐命は恐ろしくなって逃げ帰るが、伊邪那美命や八雷神、黄泉醜女(よもつしこめ)などが追いかけてきて、
伊邪那岐命は、桃の木の実などを投げて振りきり、黄泉国と地上との境の黄泉比良坂(よもつひらさか)を千引の石でふさいでしまう
その大岩をはさんで、伊邪那美命は「愛しい我が夫よ、こうなったら、あなたの国の人民を1日に千人殺します」という
伊邪那岐命は、「愛しい我が妻よ、では私は1日に千五百の産屋を建てよう」と言い返す
<伊邪那美命の別称>
黄泉津大神(ヨモツノオオカミ)、黄泉国の主宰神との意味がある
道敷大神(ミチシキノオオカミ)、黄泉比良坂で伊邪那岐命に追いついた神という意味がある
<黄泉津良坂で塞いでいる大石>
道反之大神(チガヘシノオオカミ)とされ、別称、塞り坐す黄泉戸大神(ヨミドノオオカミ)と称される
<伊弉諾神宮(淡路市)>
<多賀大社(滋賀県多賀町)>
<伊佐奈弥宮(皇大神宮(内宮)の別宮)(伊勢市)>
<新熊野神社>
<熊野神社>
<熊野神社衣笠分社>
<熊野若王子神社>
<愛宕神社>
<愛宕神社>
<大原神社>
<王子神社>
<松明殿稲荷神社>
<新宮神社>
<剣神社>
<白山神社>
配祀
<月読神社>
<朝日神明宮>
<真名井神社>
<元祇園梛神社>
<白山神社>
<ご利益>
万物を生み出す神、創造神、海の神、製鉄の神として信仰されている
<名前の由来>
諸説があり、定説はないとされる
「いざな」は「誘う(いざなう)」、あるいは、「いさ」は「功徳」の意の「功(いさを)」の由来とされる
「み」は女性を表す語とされる
<出雲>
伊邪那美命は、日本国母神として「稜威母(いずも)」とも称され、「出雲」の地名の由来ともいわれる
出雲国の東側に隣接していた伯耆国は、かつて「伯伎(ははき)」と称され、「母の港」という意味があった
出雲の神陵在地(島根県安来市伯太町)は、江戸時代には母里藩(母の里)と称されていた
<黄泉比良坂(よもつひらさか)の神蹟>
揖夜神社付近(松江市)には、伊邪那岐命と伊邪那美命とが永遠の離別をした黄泉比良坂の神蹟がある
<墓地>
「古事記」によれば出雲と伯伎(伯耆)の境の比婆山(現在の島根県安来市伯太町)に、
「日本書紀」の一書によれば、紀伊の熊野の有馬村(花窟神社)(熊野市)に葬られたといわれる
<陵墓参考地>
宮内省は、八雲村(現在の松江市)の神納山を比定地の中で最も有力として認定している
<伊弉冉尊御陵流伝地>
内務省は、船通山の北にある御墓山を指定している