野宮神社(ののみやじんじゃ)は、嵯峨野の竹林の小径の奥地の清らかなところにある神社
天龍寺から小倉山山麓に至る竹林の小径の中にある
かつて伊勢斎宮(さいぐう)が伊勢に赴く前に潔斎をする野宮社(ののみやしゃ)があったとされる
源氏物語「賢木」の舞台となり、境内の黒木の鳥居と小紫垣がある
謡曲でも有名な、縁結び・子宝・安産の神さまとして信仰されている
<本殿>
鳥居をくぐった正面の3つの祠の真ん中
<黒木鳥居>
樟(クヌギ)の鳥居
樹皮を剥かないまま使用する日本最古の鳥居の様式
<小柴垣>
クロモジの木が用いられている
天皇陛下の御即位式で建てられる大嘗祭も、黒木鳥居と小柴垣で囲まれている
<白福稲荷大明神の鳥居>
境内の左奥に通じる朱色の鳥居
<庭園>
「野宮じゅうたん苔」と称される庭園
苔の上に石組みと、灯籠がおかれ、桜やツツジ、紅葉などの樹木が植えられている
<斎宮舊趾の石碑>
<村山古郷の句碑>
「野宮の竹美しや春しぐれ」
<お亀石>
野宮大黒天社のそばの神石
撫でながら祈願すると、一年以内に願い事が成就するといわれている
野宮神社の西側の小倉山が、京都側から見ると亀に似ていることから「亀山」と称され、亀が信仰されるようになったといわれる
<野宮竹>
丈が長く節が低くて弾力があり、枝が短く葉が細い真竹の名竹が生育している
多くの文人墨客が、竹の美しさに歌を残している
<井戸>
境内の左側にある
龍神が祀られ、病気に苦しむ人を救うと信仰されている
<愛宕大神>
本殿の右側に祀られている
祭神:伊弉冉尊
ご利益:鎮火・勝運
<白峰弁財天社>
本殿の左側に祀られている
祭神:大国主命、倉稲御魂神
ご利益:財運・芸能上達
江戸時代の都名所図会に記されている
1989年(皇紀2649)平成元年
都名所図会と同じ場所に建立される
<白福稲荷社(しらふくいなりしゃ)>
境内の右手奥に祀られている
祭神:大山咋神
ご利益:子授け祈願・安産祈願、商売繁盛
<大山弁財天社>
白福稲荷社の隣に祀られている
祭神:大山姫神(おおやまひめがみ)
ご利益:交通安全、財運向上
<野宮大黒天社>
祭神:大国主命、倉稲御魂神
ご利益:良縁結婚
大国主命が、大黒天とされる
横には神石「お亀石」がある
願いを祈願した多くの絵馬が奉納されている
<境外摂社 大井神社>
渡月橋の北詰東側の路地の奥にある
大堰川の治水の神さん
<初詣> 1月1日〜15日
<節分祭> 2月節分
<さくら祭> 4月第1日曜日
<嵯峨祭> 5月第4日曜日
<夏越祓(なごしのはらい)>
6月20日〜30日
1月〜6月の半年間の罪の汚れを祓い、残り半年を無事に送れるよう祈願される
黒木の鳥居に設けられた茅の輪くぐりにより厄除・悪疫退散が行われる
<例大祭・斎宮行列>
10月第3日曜日
斎王が任命を受け、都から伊勢の斎宮へと向う「斎王群行」を再現したお祭
斎王、監送使、官人・女官など総勢数百人が、勢多頓宮、甲賀頓宮、垂水頓宮、鈴鹿頓宮、壱志頓宮を経て
斎宮に到着するまでには5泊6日もかかったといわれる
野宮神社を正午に出発し、渡月橋を往復する
嵐山通船北乗船場着では、御禊の儀、雅楽奉納が行われる
<もみじ祭>
11月第2日曜日
黒木の鳥居に小柴垣をのせた「野ノ宮船」が出される
<お火焚祭> 11月23日
<嵐山花灯路> 12月上中旬
<大祓> 12月31日
野宮は、天皇の代理で伊勢神宮にお仕えする斎王が、伊勢へ赴任する前に、清浄な地を選び、
精進潔斎のために一年間籠もり、身を清められたところ
斎王は、天皇が即位されるごとに、天照大御神の御杖代(みつえしろ)と して、伊勢神宮に遣わされる未婚の内親王
奈良時代から南北朝時代の後醍醐天皇まで、約660年間、64人が遣わされたといわれる
ト定(ぼくじょう)(占い)により選ばれた内親王は、宮中の初斎院で1年ほど潔斎し、野宮に入り一年間籠もり、
3年目の秋に伊勢神宮の新嘗祭に合わせて旅立つ
野宮の場所は、天皇の即位ごとに定められ、野宮神社が使われたのは、平安時代初期の嵯峨天皇の
皇女 仁子内親王(よしこないしんのう)が最初といわれる
<賢木>
光源氏(23歳)と六条御息所(30歳)との切ない別れの場面
六条御息所の伊勢下向の直前の晩秋の夜、光源氏は、寂しい嵯峨野を分け入り、娘の斎宮に付き添って
籠もっている六条御息所を訪ね、二人は別れの歌を交わす
嵯峨野の清らかな場所であり、黒木鳥居と小柴垣に囲まれた聖地とされる様子が描写されている