子(ね)は、十二支の最初、動物の鼠(ねずみ)とされる
「漢書」律暦志によると子は、新しい生命が種子の中に萌し始める状態を表すといわれ、子孫繁栄などの願掛けをもつ
鼠(ねずみ)は、ネズミ目(齧歯目)の数科の総称の動物で、1800種ぐらいあるといわれる
ほとんどの種が、丸い耳・とがった鼻先・長い尻尾の姿をしている
ほとんどの種が夜行性
前歯は一生伸び続けるため、常に何か硬いものをかじって前歯をすり減らす習性がある
繁殖力が旺盛で、一度の出産で8匹ほど生み、4週間程度で性成熟し子供が産めるようになる
<十二支の故事>
神さんが、十二支の動物を決めるとき、神門の前にやってきた順番に決めることにした
牛は、歩みが遅いからと、真っ先に出かけ、一番に神門の前に着いた
神門が開けられるとき、牛の頭の上に乗っていた鼠が飛び出して、鼠が一番になったといわれる
猫も十二支に入れてもらおうと準備をしていたが、鼠が訪問の日を間違えて教えたことで、十二支に入ることができなかった
それで、今でも猫は鼠を追いかけ回すのだといわれる
<「古事記」大国主命の段>
大国主命が、素戔嗚尊を訪れ、娘の須勢理毘売(スセリビメ)を嫁にもらおうとしたとき、
素戔嗚尊の3つめの試練として、広野に向けて放った鏑矢を取って来るようにいわれる
大国主命が広野の中に入っていくと、素戔嗚尊が広野に火をつけ焼きつける
大国主命が逃げ場がなくなり窮地におちいると、
ネズミが来て「内は富良富良(ほらほら)外は須夫須夫(すぶすぶ)(内は洞穴、外はすぼんでいる)」という
大国主命が、その場をその場を踏むと、落ちて隠れるように中に入り、その間に、火は焼け過ぎていった
そして、ネズミが、鳴鏑をくわえて持って来てくれた
大国主命は、ネズミのおかげで素戔嗚尊の試練を乗り切ることができた
<大国主命・大黒天の使い>
大黒天は、大国主命ともされ、七福神の一神さんともされる
ネズミが大国主命を助けた神話から、ネズミが大国主命・大黒天の使いとされる
鎌倉時代の「源平盛衰記」巻1に、「鼠は大黒天神の使者なり 此人の栄華の先表なり」と記されている
<子年の守り本尊>
千手観音菩薩
子年生まれの守り本尊
千本の慈手と手の慈眼によって万能ともよべる力を発揮し、すべての人びとを救うといわれる
<下鴨神社>
末社 言社(ことしゃ)(重要文化財)
大国主命は、神徳により7つの名前を持ち、それぞれ神社が祀られている
干支(えと)(十二支)に対する守護神として、それぞれ生まれ年に参拝する干支詣(えともうで)が行われる
二言社(北社)祭神:大国主命(子歳守護神)
<大豊神社>
末社 大国社
祭神:大国主命が祀られる
石造りの狛鼠が、神話にちなみ置かれている
向かって左のネズミは、長寿を表す水玉(酒)を抱き、右側は、学問を表す巻物を持っている
<猿田彦神社>
本殿の前にある八方位を示す八角形の石の八方位文字盤
決まった方位の文字を順に手のひらを強く当てて祈願すると、願い事がかなうと言われる
家庭運:申→子→辰(さるねたつ)の順 など
<善行院>
京都御所 紫宸殿を中心に、十二支の方角に祀られた妙見大菩薩を参拝する洛陽十二支妙見めぐりの一つ
「妙見さん」と称される妙見大菩薩は、
北極星・北斗七星を神格化した菩薩であり、諸星の王として宇宙万物の運気を司どり支配する菩薩といわれる
善行院は、子・北の方向にあり「西陣の妙見宮」と称される
高さ約48cmの全身金色塗りのネズミの置物が置かれている
<放生院>
十二支守本尊像が祀られている
生まれ歳の干支(えと)による、東西南北と北東、北西、南東、南西の八方角に合わせた八体の守り本尊
子年生まれ:千手観音菩薩
<光源院>
本堂(方丈)の室中の間の14面の襖絵「十二支の図」14面
禅宗寺院では珍しい十二支が描かれている
本堂南側の枯山水庭園 十二支の庭
<相場格言>
「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ。戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、子はつまずき、寅は千里を走り、卯は跳ねる」
子年の相場は繁栄するといわれる
子年には、政変が起きやすいといわれる
<子午線>
子の方角は北、反対の南は午とされる
子午線は、「北と南を結ぶ線」の意味がある