申(さる)猿(Monkey) 京都通メンバ
申(さる)は、十二支の第9番目

通称:さるどし

前年:未(ひつじ)
次年:酉(とり)

西暦では12の倍数の年にあたる
通常、閏年となる(1800年(皇紀2460)寛政12年、2100年(皇紀2760)、300年ごとに閏年となはならない)

六十干支
  9:壬申(みずのえさる)
 21:甲申(きのえさる)
 33:丙申(ひのえさる)
 45:戊申(つちのえさる)
 57:庚申(かのえさる)

陰陽:陽
五行:金
申の月:旧暦7月
申の刻:午後4時を中心とする約2時間
申の方角:西南西よりやや南寄り

 申(さる)は、十二支の第9番目、動物の猿(さる)とされる

 「漢書」律暦志によると申は、果実が成熟して固まって行く状態を表すといわれ

【猿の歴史・経緯】



【猿】

 猿(さる)は、霊長目(サル目)の動物

 単に猿といえば、日本固有種のニホンザルを指す場合が多い

 活動は、日の出から日の入りまでで、夜間は活動しない

 食性は人間に似ていて、ほとんどの農作物を食べる


 <日吉神・日吉山王の使い>
 お猿は、日吉神の使いとして、山王信仰において山の神さんとされる
 比叡山 延暦寺の僧の著書「耀天記(ようてんき)」によると、
 釈迦如来が日吉に神さんとして現れ、サルの姿を借りて吉凶を示したといわれる
 釈迦如来が日吉大社に祀られてまもなく、サルたちが日吉大社に集まってきたといわれる


 <申年の守り本尊>
 大日如来
 未年と申年生まれの守り本尊
 宇宙そのもので、究極的な叡智と太陽をこえる光り輝きで遍く照らし、温かみをもった慈悲の輝きで永遠に照らし守護される


 <鬼門除けの猿>  陰陽五行説において、申は、鬼門とされる北東の反対の西南の方向を司り邪気を払う力があるとされる
 そのために、鬼門に猿がおかれることが多い

 「桃太郎伝説」においても、には魔を退治する力があり、
鬼門と反対方向の申(さる)(西西南)、酉(とり)(西)、戌(いぬ)(西西北)を従者にしたといわれる


 <庚申信仰(こうしんしんこう)>
 陰陽五行説における六十干支の庚申(かのえさる)
 庚申の年・庚申の日は、金気が天地に充満して人の心が冷酷になりやすいとされた
 道教では、庚申の夜は寝ている人間から三尸(さんし)の虫が抜け出し、天帝に悪行を告げて寿命を縮めるといわれており、
庚申の夜を徹夜して過ごす「庚申待ち」の風習があった

 <「見ざる・聞かざる・言わざる」の三猿>
 庚申信仰で、人の悪事を監視して天帝に報告する3匹の「三尸虫」を封じるための猿
 青面金剛が、三尸虫食べるといわれることから、青面金剛に三猿が添えられることが多い
 庚申堂などにも、三猿が彫り込まれることも多い


【申・猿・守護神が祀られている神社】

 <下鴨神社
 末社 言社(ことしゃ)(重要文化財)
 大国主命は、神徳により7つの名前を持ち、それぞれ神社が祀られている
 干支(えと)(十二支)に対する守護神として、それぞれ生まれ年に参拝する干支詣(えともうで)が行われる
 二言社(南社)祭神:大物主神(申年・亥年守護神)


 <猿田彦神社
 本殿の前にある八方位を示す八角形の石の八方位文字盤
 決まった方位の文字を順に手のひらを強く当てて祈願すると、願い事がかなうと言われる
 家庭運:申→(さるねたつ)の順 など


 <慈雲寺
 京都御所 紫宸殿を中心に、十二支の方角に祀られた妙見大菩薩を参拝する洛陽十二支妙見めぐりの一つ
 「妙見さん」と称される妙見大菩薩は、北極星・北斗七星を神格化した菩薩であり、
諸星の王として宇宙万物の運気を司どり支配する菩薩といわれる
 慈雲寺は、申・西南西の方向にあり「島原の妙見さん」と称される


 <放生院
 十二支守本尊像が祀られている
 生まれ歳の干支(えと)による、東西南北と北東、北西、南東、南西の八方角に合わせた八体の守り本尊
 未年・申年生まれ:大日如来


 <金剛寺 八坂庚申堂
 庚申信仰発祥の地
 境内には、多くのくくり猿が吊り下げられている
 本尊 青面金剛が、庚申の夜に人間から抜け出す三尸の虫を食べるといわれることから、庚申待ちの夜に参拝されるようになった
 庚申の日、庚申護摩供・コンニャク封じ祈祷・コンニャク焚きが行われ、猿形に抜いたコンニャクが3個振舞われる
 「くくり猿」は、欲望のまま行動する猿の手足を縛ることで、わがままな自分の心を戒めるために作られたお守り
 欲を一つ我慢して、本尊の青面金剛に奉納することで、願いを叶えてくれるといわれる
 「見ざる・聞かざる・言わざる」の三猿も祀られている

 <清浄華院
 山王権現社に清浄華院の鎮守 山王権現が祀られている
 山王権現の使いが猿であるため、「魔を去る(サル)」として厄除けの信仰がされている

【申の日ゆかりの神社・寺院】

 <金剛寺 八坂庚申堂
 庚申の日、コンニャク封じ祈祷・コンニャク焚きが行われる
 開基 浄蔵貴所大法師が、青面金剛の霊示を受けて、祈祷されたコンニャクを3つ、北を向いて庚申尊を念じながら
無言で食べれば諸病諸厄が免れるとして施したといわれる
 それにちなみ、猿形に抜いたコンニャクが3個振舞われる

 <祝園神社
 正月初申の日より3日間にわたり、村人が物忌みに服する居籠祭(京都府無形民族文化財指定)が行われている

 <富士山本宮浅間大社
 4月初申の日に、かつては大祭礼とされていた初申祭が行われる

 <檀王法林寺
 紙本金地著色 日吉山王祭礼図四曲一双(重要文化財)
 日吉大社の春の大祭のうち、右隻に4月3日の榊の神事、左隻に4月の二の申の日に行われる船祭が描かれている

 <申餅
 賀茂祭葵祭)の申の日に食べることで身体を清め、邪気を取り除き、気をいただき、
元気に無事息災に過ごせるように祈願される


 <伏見稲荷大社
 摂社 大八嶋社(おおやしましゃ)
 12月初申の日に例祭 煤払祭が行われる


 <帝釈天
 庚申の日が縁日とされている


【猿がいるゆかりの神社・寺院】

 <新日吉神宮
 石段を上がった本殿前の両脇に、御幣をかついだ金網に閉じ込められた神猿がいる
 大神の使いとされ、参拝者の悪気を祓い、全ての災いが去るといわれる

 <猿ヶ辻
 京都御所の築地塀の鬼門とされる東北の角を欠いて、日吉山王社の神のお使いの猿が祀られている
 猿が、夜な夜な抜け出して暴れるため、金網で封じ込めたといわれる

 <石清水八幡宮
 廻廊の西門(国宝)の蟇股の部分に、琵琶の木にぶらさがり木の実をくわえる一匹の猿の彫刻がある
 名工 左甚五郎の作といわれ、「目貫きの猿」と称される
 この猿に魂が宿り、夜になると蟇股から抜け出して山麓の畑を荒らすので、抜け出せないように右目に釘が
打ちつけられたといわれる

 <大豊神社
 日吉社には、狛猿が置かれている
 猿は、日吉の神使いで、鬼門除けや災難除けのご利益があるとされる

 <赤山禅院
 拝殿の屋根の上には、京都御所の東北角の猿ヶ辻の猿との延長線上に、御幣と鈴を持った瓦彫の鬼門除けの猿が安置されている

 <愛宕神社
 本殿(重要文化財)の左右には、檻に入れられた猿が守護している

 <龍神総宮社
 末社 金峰明神(きんぽうみょうじん)には、中国西方の、猿を使者としてお使いになる神さんが祀られている
 「見ざる・聞かざる・言わざる」をもって修行されておられる庚申塚系統の神さん

 <幸神社
 社殿の東北隅には、左甚五郎の作といわれる御幣をもった鬼門除けの猿がいる

 <猿丸神社
 狛猿が、烏帽子をかぶり神具を持っている

 <瀧尾神社
 本殿の階段下の左右に一対の猿(江戸時代末期の彫刻家 九山新太郎の彫刻)が置かれている

 <龍潭寺
 庚申堂
 お堂には「身代わり猿」が吊るされている

 <平野神社
 猿田彦神社
 縫ぐるみの猿を奉納して祈願すると、子どもに知恵を授かるといわれる


【猿が描かれたゆかりの神社・寺院】

 <高山寺
 紙本墨画 鳥獣人物戯画(国宝)
 、蛙、猿などの動物を擬人化したもの

 <大徳寺
 絹本墨画淡彩「観音猿鶴図(かんのんえんかくず)」3幅(国宝)(南宋時代の画僧 牧谿の筆)
 「猿猴図」には、樹木の上で寒さに耐え抱き合う親子の猿が描かれている

 <聚光院
 「衣鉢の間」(檀那の間の北側)の障壁画「竹虎遊猿図」6面(国宝)(狩野松栄の作)

 <妙心寺 龍泉庵
 紙本墨画 枯木猿猴図(こぼくえんこうず)(重要文化財)(長谷川等伯の筆)
 大徳寺龍源院牧谿の筆「猿猴図(国宝)」の影響を受けたといわれる作品
 傾斜した松の枝に親子の手長猿がぶら下がっており、父猿は斜めの枝に片手だけを預け「腕切りの猿(腕切猿)」と称される
 加賀藩主 前田利長の寝室に飾られていたが、夜な夜な睡眠中に、猿が手を伸ばし、前田利長の髪を掴もうと眠りを妨げたため、
前田利長が猿の手を斬り落としたといわれる

 <金地院
 紙本墨画 「猿猴捉月図(えんこうそくげつず)」4面(重要文化財)
 水面の月を捉えようとする猿の姿を表した、長谷川等伯の筆


 <御香宮神社
 「社頭猿曳ノ図」が絵馬堂にかかっている
 霊水 御香水を飲んで、瀕死の状態のが元気になったといわれる伝説

 <相国寺
 紙本墨画猿猴竹林図(重要文化財)(長谷川等伯の筆)

 <新徳寺
 紙本著色 星光寺縁起絵巻 2巻(重要文化財)
 牧谿様の竹林図、猿猴図の襖、平資親の邸内、寝所などが描かれている

 <大雄院
 客殿に、猿が愛らしい「滝猿図」などの襖絵72面がある

 <海福院
 襖絵「猿回しの図」
 妙心寺法堂の雲龍図を8年がかりで描いていた狩野探幽が、海福院で宿泊しており、
 住職の留守中に、酔っ払って新調されたばかりの金箔唐紙の襖にいたずら描きをした絵

 <三玄院
 三玄院客殿障壁画 「猿猴図」5面など

 <光源院
 本堂(方丈)の室中の間の14面の襖絵「十二支の図」14面
 禅宗寺院では珍しい十二支が描かれている

 本堂南側の枯山水庭園 十二支の庭


【猿ゆかりの神社・寺院】

 <白峯神宮
 「蹴聖」と称された蹴鞠名人 藤原成通が、蹴鞠を1日も欠けることなく行う「千日の毬」を達成した満願の日に
猿に化身した三神が現れたといわれる
 このため、鞠を蹴るときには、鞠の精三神とされる春陽花(やう)、夏安林(あり)、秋園(おう)の神名を掛け声にされた

 <神明神社
 近衛天皇を悩ました、奇怪な声をあげ、頭は猿、胴体は狸、尻尾は蛇、手足はという妖怪「鵺(ぬえ)」を退治する 鵺退治の伝説がある

 <大将軍神社
 平家物語」に記されている源頼政鵺退治の伝説がある鵺の森(ぬえのもり)があった
 鵺(ぬえ)は、頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は、声はトラツグミのような不気味な声で鳴くツグミ科のトラツグミという鳥


 <延暦寺
 元三大師良源御廟の修復のときに、日吉山王の使いである猿の大群が、この参道から用材を運ぶのを手伝ったといわれ、
「猿馬場」と称されるようになった

【その他】

 <相場格言>
 「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ。戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、申はつまずき、寅は千里を走り、卯は跳ねる」
 申年の相場は俗に騒がしくなるといわれる


 <京ことば「エテコ」>
 猿のこと


 <サル 豊臣秀吉
 豊臣秀吉の母親が男子を授かるよう日吉神に祈願すると、懐中に太陽が入る夢を見て秀吉を身ごもったといわれる
 日吉神のお使いが猿であることから、豊臣秀吉も「サル」と呼ばれるようになったといわれる


 <猩々(しょうじょう)>
 七福神の一つに入れられることもある
 中国の想像上の動物で、猿や狗(いぬ)に似ていて、人面で、毛が赤く、人の言葉を理解して、よくしゃべり、お酒を好むといわれる


 <猿滑(百日紅)>
 「さるすべり」とは、樹皮が剥げやすく幹がツルツルしているので「猿も滑る」というところから名付けられた



【京都検定 第1回3級】

58.猿や蛙などを人間に見立てた絵巻物「鳥獣人物戯画図」を所蔵する寺院はどこか?

【京都検定 第6回3級】

【京都検定 第8回3級】

【京都検定 第9回3級】

【京都検定 第13回3級】

【京都検定 第15回3級】

【京都検定 第17回3級】

【京都検定 第18回3級】

【京都検定 第21回3級】

【京都検定 第3回2級】

【京都検定 第5回2級】

【京都検定 第7回2級】

【京都検定 第8回2級】

【京都検定 第9回2級】

【京都検定 第14回2級】

【京都検定 第19回2級】

【京都検定 第21回2級】

【京都検定 第23回1級】

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