亥の子餅(いのこのもち)は、亥の月である陰暦の10月の亥の日・亥の刻(午前9時〜11時)に、
無病息災・子孫繁栄を祈願する亥の子の行事で食べられる新米でついた餅
宮中の年中行事に由来する
「亥」は、猪(いのしし)のことで、猪の多産にあやかり、無病息災と、子孫繁栄が祈願される
中国では、「大豆・小豆・大角豆(ささぎ)・胡麻・栗・柿・糖」の7種の粉を合わせて亥の子餅が作られていた
日本に伝わり、宮中でも、この7種の粉を合わせて猪の形をした亥の子餅が作られていた
その後、牡丹餅(ぼたもち)となっていく
(「牡丹(ぼたん)」は、猪の隠語にあたる)
<稲の刈り上げ祭>
陰暦10月亥の日は、稲の収穫期にあたり、亥の子の行事と収穫祭が習合して、同日に祝う
収穫後の祭日として、刈り上げた新米をついて食べる風習もある
<開炉の日>
茶道をたしなむ家では、この日に炉開きが行われ
炬燵開きの時のお菓子としても、「亥の子餅」が用いられる
<亥子祭(いのこまつり)>
11月1日
護王神社の祭事
平安時代に、旧暦10月亥の月の亥の日に行われていた宮中の御玄猪(おげんちょ)の儀式を再現した神事
宮司がついた餅を食べることによって、無病息災と子孫繁栄が祈願される
平安装束に身を纏った聖上(宮司)や祭員、奉仕女房が、拝殿の上で亥の子餅をつく儀式が行われる
出来上がった亥の子餅は、神前に献ぜられた後、提燈行列を伴い蛤御門を通って御所へ献納される
境内では、亥の子餅が参拝者に振舞われる