<麦代餅>
つきたてのお餅に、つぶあんを挟んで、きな粉をかけただけのシンプルな銘菓
田植えどきの間食や、多忙な農家などでは日頃も重宝され食べられていた
<中村軒の麦代餅>
丁寧につき上げられた真っ白な餅生地を丸い形に伸ばして、滑らかな粒あんを挟んで、
表面にサラッときな粉をまぶしている
餅生地は、柔らかく伸びる餅ではなく、コシがある
すべて国産で、北海道産のあずきや、備中産白小豆など厳選した素材を使用されている
粒餡は、職人により、昔ながらのおくどさんで上木(くぬぎの割り木)を燃やしてじっくり炊き上げられている
ガス釜のように火を止めてもすぐ温度が下がらず、おくどさんのレンガや土が抱いている余熱が、美味しい餡に仕上げる
釜も熱伝導に優れた銅製が用いられている
添加物は加えられていなく、お餅がすぐに硬くなり、製造当日が消費期限とされる
昔は、田植えの頃だけ作られていたが、一年中、販売されるようになった
<名前の由来>
田植えのときなどに間食として、農作業をされている田畑まで直接届けられていた
一回分の間食として、麦代餅を2個、食べられていた
農繁期の終わった半夏生の頃(7月1日頃)、代金として麦をいただきに行く
麦代餅2個につき約5合の麦と物々交換されていた
お餅のお代として麦をいただいたので「麦代餅」と称された
<疱瘡除け>
悪霊や細菌は、赤いあずきが嫌いといわれており、
麦代餅を食べると疱瘡にかからないといわれる