中国 唐から、八種(やくさ)の唐菓子と14種の果餅(かへい)が、その製造方法とともに伝えられる
唐菓子(とうがし)は、もち米・うるち米・麦・大豆・小豆などの粉に、
甘味料のあまかずら煎(葛の樹液を煮詰めたもの)や、水あめ、蜜や塩を加えて練り、
丁子(ちょうじ)や肉桂(にっき)などの香料が強い油分を入れてお餅にする
または、そのお餅を胡麻油で揚げて作られる
在来の「ほしいい」など単純な穀物の加工品に比べて、味、形、加工方法など優れ
当時では、高度な製菓技術で作られていた
貴族に愛好され宮中に献上されたり、神餞や仏前に供える上菓子として用いられる
<清浄歓喜団>
白檀、桂皮、竜脳など米粉と小麦粉の生地で餡を包み、巾着袋(きんちゃくぶくろ)の形にして、上質の胡麻油で揚げたもの
中国 唐から、製造方法とともに八種(やくさ)の唐菓子と14種の果餅(かへい)が伝えられた
<渇餬(かっこ)>
食用虫のすくも虫に米粉をまぶし油で揚げたもの
小麦粉をこねて、すくも虫に似た形にして揚げたものもある
<桂心(けいしん)>
米粉を三蔵法師のかぶる法冠のような形にして油で揚げて干したもの
<団喜(だんき)>
小麦粉をこねて、あんを包み、油で揚げたもの
「清浄歓喜団」と称される団喜が、伝統製法が守られ市販されている
<鎚子(ついし)>
米粉、小麦粉をこねて蒸し、サトイモや団栗の形に作った餅
<黏臍(てんせい)>
うるち米をこねて、へその形につくり、油で揚げたもの
<桃枝(とうし)>
梅枝と同じようなのもの
<梅枝(ばいし)>
米の粉を水で練って米粉(くしとぎ)にしたものを、茹でて薄く延ばして、梅の枝や、鍬の形に整えて油で揚げたもの
奈良 春日大社における神饌の一つとなっている
<食畢(ひちら)>
うるち米をこね、煎餅のように偏平にして、中にあんを入れて焼いたもの
中国 唐から、製造方法とともに八種(やくさ)の唐菓子と14種の果餅(かへい)が伝えられた
<煎餅(いりもち)>
小麦粉を油でいったもの
<おこしごめ>
米に蜜を混ぜ合わせつつ煎ったもの
現在の「おこし」の元となったもの
<結果(かひなは)>
小麦粉をこねて細長くし、結び緒のような形にして油で揚げたもの
<魚形(ぎょけい)>
<こんとん>
小麦粉の円形団子の中に餡を包んだもの
<索餅(さくべい)>
小麦粉を原料とし、縄のようによったもの
現在のうどんやそうめんの原型となる
<椿餅(つばいもち)>
椿(ツバキ)の葉を合わせ、中に甘葛煎入りの米粉団子をはさんだもの
「源氏物語」や「宇津保物語」にも記されている
<粉熟(ふずく)>
もち米の粉、ササゲ、アワ、熬胡麻(いりごま)、搗栗(かちぐり)、棗(なつめ)、豆などの五穀を五色にかたどって餅にして
ゆでて、甘葛煎(あまかずらいり)をかけてこね合せて、細い竹の筒に固く押し入れたもの
<伏兎(ふと)>
米粉の餅を兜(かぶと)形にして油で揚げたもの
現在でも、下賀茂神社、八坂神社、春日大社などで作られている
<へいこう>
<餅(へいたん)>
鴨、酪乳、鶏卵などを小麦粉の餅に包んだ料理菓子
<ほうとん>
大和芋(やまといも)をすって米粉とよくまぜてこねたものを、めん棒で平らにし細く長く切って、豆汁にひたして食べる
<餅(まがり)>
もち米の粉をこねて、フジカズラのように細く曲がりくねらせ、油で揚げたもの
<捻頭(むぎかた)>
もち米の粉をこねて、細くひねった輪のように盛り上げ、胡麻油で揚げたもの
大嘗会(だいじょうえ)などの儀式に用いられた
<精糖術>
当時、日本には、精糖技術が伝わっていなかった
砂糖は、遣唐使が少量ずつ持ち帰り、わずかに薬用に利用されていた
南蛮菓子が伝えられるまで、無糖時代であった
<甘葛煎(あまかずらいり)>
甘葛のつるを煎じ、甘汁が作られた
<中国 渡来の菓子>
中国から渡来してきた
饅頭、羊羹、ういろう、落雁、月餅、一口香などは、
鎌倉時代以降に渡来したため唐菓子には含めない