羽衣伝説(はごろもでんせつ) 京都通メンバ
日本最古の羽衣伝説(はごろもでんせつ)

所在地:京丹後市峰山町   名所地図情報名所

伝記:丹後国風土記(713年(皇紀1373)和銅6年頃)

 羽衣伝説(はごろもでんせつ)は、京丹後市峰山町に伝わる故事

 奈良時代の「丹後国風土記」に記載されている日本最古の羽衣伝説の発祥とされる

 「比治山の羽衣伝説」「さんねもと羽衣伝説」の2つの話がある

【比治山の羽衣伝説】

 <比治山(磯砂山)の羽衣伝説>
 「丹後国風土記」の逸文によると、
 8人の天女が「比治山(ひじやま)」(現在の磯砂山とされる)の頂きにに降り立った
 美しい池「真奈井(まない)」(磯砂山にある女池とされる)で水浴びをしていたところ、
 一人の天女の羽衣が老夫婦 和奈佐(わなさ)に隠され、
「私たちには子どもがいません、どうか私たちの子供になってください」といわれる
 一人だけ天に帰れなくなった天女は、和奈佐の願いを聞き入れ、養女として一緒に暮らすようになる

 天女は万病に効くお酒を醸し、この酒や機織によって和奈佐家や、村が豊かになっていった

 十数年経ち
 和奈佐が心変わりをして「おまえはわたしたちの実の子ではない」と天女を家から追い出してしまう

 嘆き悲しんだ天女ははるか空を仰いで、和歌を詠んだ
 「天の原 ふりさけみれば 霞立ち 家路まどいて 行方しらずも」
 (天の原を仰いで見ても一面に霞が立ちこめていて家への帰り道がわからなくなって、どうしてよいかわからない)

 泣く泣く天女は、荒塩(京丹後市峰山町久次)から、丹波の里の哭木(なきき)(峰山町内記)を経て、船木の里にたどり着く
 そこで「わが心凪ぐしく(こころなぐしく)(心が安らかになり)」と、そこに住み、最期を迎えた

 それにちなみ、その里は「奈具村(なぐむら)」と称されるようになった
 天女は「豊宇賀能売命(とようかのめのみこと)」として奈具神社に祀られる


 さらに、伊勢神宮外宮の由来を記す「止由気宮儀式帳(とゆけぐうぎしきちょう)」によると、
 伊勢神宮内宮の祭神 天照大御神が、雄略天皇の夢枕に立り、
 丹波国比治の真奈井の等由気大神(とゆけのおおかみ)を御饌の神(みけのかみ)(食の神)として一緒に祀るように告げる
 現在、伊勢神宮外宮の祭神 五穀豊饒の農耕神 豊受大御神として祀られている

【さんねもと羽衣伝説】

 磯砂山の麓の山村集落 大路の若い猟師のさんねも(三右衛門)が、比治山の山頂付近で水浴びをする8人の天女を見つける

 さんねもが木に掛けてあった美しい羽衣の一つを家宝にしようと持ち帰ると、その天女の一人が天に帰れなくなってしまう

 天女は、さんねもに「羽衣を返してほしい」と懇願するが断られ、仕方なく、さんねもの妻となり、やがて3人の娘を生む

 天女は、お米作りや酒造り、養蚕、機織(はたおり)を村人に教え、さんねもの家や村は豊かになっていく

 天が恋しくなった天女は、隠されていた羽衣を見つけ出し、大空に舞い上がり帰って行ってしまう

 天女はさんねもに「七日七日(七日ごと)に会いましょう」と言うが、そこに現れた天邪鬼(あまのじゃく)が「7月7日」とさんねもに伝え、
 1年に1度しか会えなくなってしまう

 嘆き悲しむさんねもに、天女は、ゆうごう(夕顔)の種を渡す
 種を蒔くと、つるはどんどん天に伸び、さんねもは、高々と伸びたゆうごうのつるをよじ登って天にたどり着く
 天女に「私のことを思い出さず、天の川に橋を架けることができたら一緒に暮らせます」と言われる
 さんねもは、一生懸命に天の川に橋を架けようとするが、完成間近のところで嬉しさのあまり、天女を思い出してしまい、
天の川は氾濫し大水により、さんねもは橋もろとも下界へ流されてしまう

 その後、さんねもの家には代々 美女が生まれ、天女が生んだ3人娘は、村の乙女神社、多久神社、奈具神社に祀られる


 現在も、住民の安達家が、伝説に登場する猟師 さんねもの子孫として、家紋「七夕」、屋号「たなばた」として
 ゆかりの品が代々、受け継がれている

【ゆかりの地】

 <磯砂山>
 8人の天女が舞い降りた比治山とされる
 山頂の下に、天女が水浴びをした真奈井とされる女池がある
 標高611m
 関西百名山の一つ
 山頂には展望台があり、360度のパノラマが広がり、天橋立大江山、日本海までの丹後一帯を見渡せる


 <日本最古の羽衣伝説 発祥の地
 磯砂山の山頂に石碑のオブジェが置かれている
 奈良時代の「丹後国風土記」に記載されている日本最古の羽衣伝説の発祥の地とされる


 <乙女神社>
 磯砂山の麓の京丹後市峰山町鱒留の集落にある
 祭神:豊宇賀能売命
 さんねもと天女の間に生まれた娘の一人が祀られている
 ご利益:美しい娘を授かるといわれている


 <多久神社(たくじんじゃ)>
 京丹後市峰山町丹波小字涌田山
 祭神:豊宇賀能売命
 さんねもと天女の間に生まれた娘の一人が祀られている
 明治時代までは、祭神を天酒大明神(あまさかだいみょうじん)とも称されていた
 天女が、万病を治すお酒を醸したことに由来する


 <奈具神社>
 天女が、老夫婦から追い出され、安住の地となったとされる奈具村にあった
 室町時代 嘉吉年間(1441年~1443年)にあった洪水で廃村となった
 現在は、京丹後市弥栄町船木に復興されている
 祭神:豊宇賀能売命


 <観光施設「天女の里」>
 京丹後市峰山町鱒留
 安達家に伝わる羽衣伝説をまとめた絵本「さんねもと天女」の原画など、羽衣伝説関連のものが展示されている
 囲炉裏付きの和風コテージや、キャンプサイトでの宿泊が可能
 こんにゃく作りや餅つき、そば打ち、渓流釣りなどの体験もできる

【アクセス】

 日本最古の羽衣伝説 発祥の地
  京都丹後鉄道宮豊線 峰山駅から 丹後海陸交通バスで30分 大路口
  徒歩登山 約2時間


【京都検定 第24回3級】

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