深草少将(ふかくさのしょうしょう)

 深草少将(ふかくさのしょうしょう)は、小野小町にまつわる「百夜通い伝説」に登場する人物

 「古今和歌集」の読み人知らずの歌をもとにした伝説の人物

 室町時代観阿弥世阿弥作者が創作したといわれる

 モデルは、平安時代前期の僧・歌人 僧正遍昭や、深草の大納言義平の長男 義宣などともいわれる

【ゆかりの地】

 <欣浄寺
 深草少将が住んでいたとされる寺院
 小野小町がいた随心院まで約6kmある
 欣浄寺の池の横には「少将の通い道」とよばれるものがあり、訴訟を持っている者がここを通るとかなわないと言われる
 小野小町供養塔と並んで深草少将供養塔、深草少将遺愛の井戸(墨染井)、深草少将姿見の池などがある

 <随心院
 深草少将が書いた手紙を埋めたとされる「文塚」がある
 深草少将の百夜通いを、小野小町が榧(かや)の実を糸に綴って日数を数えた実を播いて育ったといわれるかやの大木がある
 3月下旬には、百夜通い伝説をテーマにした「はねず踊り」が行われる

 <補陀洛寺
 「小町寺」とも称される
 深草少将宝篋院塔、小野小町供養塔がある

 <法雲寺>  菊野大明神(きくのだいみょうじん)が、良縁は結び、悪縁は切るという縁切祈願の神さんとして信仰されている
 御神体は、深草少将が小野小町への百夜通いの時に腰掛けたといわれる石
 あと一夜で亡くなり果たせなかった深草少将の無念が、悪縁を切るといわれている

【その他】

 <「古今和歌集」>
 巻15「暁の 鴫(しぎ)の羽がき 百羽がき 君が来ぬ夜は 我ぞ数かく」(詠み人知らず)
 この歌が「百夜通い伝説」の由来といわれる

 その異伝であり、「奥義抄」「袖中抄」などに引用されている歌
 「あかつきの 榻(しじ)の端書き 百夜書き
     君の来ぬ夜は われぞ数書く」
 上の句を深草少将が、下の句を小野小町が詠んだといわれる

 <百夜通い伝説
 深草少将は、愛する小野小町に「私の元へ百日間通い続けたら結婚しよう」と言われ、九十九夜通ったが、雪の降る夜に
途中で雪に埋まり凍死したといわれる


 <「通小町(かよいこまち)」>
 旧称「四位少将(しいのしようしょう)」
 四番目物
 観阿弥の作、世阿弥が部分的に修正された
 シテ:四位少将の霊
 ワキ:八瀬の里に住む僧
 ツレ:毎日木の実や薪を届ける女
 百夜通い伝説がもとになっている


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