水引(みずひき)は、慶事・弔事などにおける贈り物の飾りひも
(神前・仏前・御輿(みこし)・山鉾などを飾る幕のことも「水引」と称する)
古代からの風習として、「結ぶこと」は「魂」「心」を入れることを示す
水引で結ばれた贈り物は、特別に心のこもったものとして扱われてきた
水引は、慶事・弔事などの用途に応じて、左右の色を選んで用いられる
結納・結婚祝儀などの婚礼儀式時には「金銀」
日常的なお見舞い・お祝い用には「赤白」や「赤金」
仏弔事には「黄白」
京都では、弔事や仏事において黒白の水引は用いられない
水引を用いた結納飾・水引工芸は、京都市の伝統産業の一つでもある
<紅白>
古来より、喜び事に用いる最も格式の高いもの
現在では、皇室においてのみ用いられる
<金銀>
一般には、一番格式の高いもの
結納・結婚祝儀などの婚礼儀式に用いられる
<赤白>
日常的なお見舞い・お祝いに用いられる
<赤金>
赤白と同格
「陽」の気を表すものとして、お見舞い・お祝い・神事用などに用いられる
<黄白>
仏弔事に用いられる
黄白は不幸の意味ではなく、精進潔斎を表す
<黒白>
地方における葬儀などに用いられる(京都では用いられない)
<青白>
かつて仏弔事に用いられていた
<相生結び>
左右の輪が互いに結びあっている
「のしあわび」の形をしていることから、「鮑結び」とも称される
相生の意味をこめて、慶事・弔事に関わらずに用いられる
<蝶結び>
結びが簡単に解け、何度も結び直せることから、何度も繰り返して欲しい一般祝事や、お礼・ご挨拶記念・行事などの
ご贈答に用いられる
京都では、略式とされてあまり用いられない
<結び切り>
結びが簡単に解けないことから、二度と繰り返すことのないようにと全快祝いや、固く結ばれることを祈って婚礼関係に用いられる
京都では、相生結び(鮑結び)が代わって用いられる
<京都では、弔事や仏事において黒白の水引は用いられない>
生死をはっきりさせる武家文化から用いられている「黒白」は、余りにも悲しみが強烈で深く感じられることから
お相手の悲しみを思いやる気遣いから用いられない
皇室で用いられる「紅白」の「紅」は、濃い緑系の玉虫色をしており「黒」に見えるため、
「黒白」は、皇室で用いられる「紅白」と見間違うこともありえるので用いられない
仏教では、死後の世界を黄泉の国(よみのくに)と称するように、黄色と死は関係が深い色とされ、
「黄白」が用いられるようになったといわれる
<元結(もとゆい)>
元結は、和紙を2cm巾のテープ状に切って縒り(より)を掛けてこより状にし、縒が戻らないように水糊を引いて
固めた紙紐(かみひも)のこと
紙のこよりを水糊を引いて固めたことから「水引」と称されるようになる
<結納飾・水引工芸>
水引を用いて、結納儀式における結納品や金封、料理・菓子などに添えられる飾りが作られる
自然の風物を限られた材料で美しく表現され、豪華で華やか、立体的な形であることが特徴
京都市の伝統産業の一つに指定されている