「おくどさん」とは、ご飯を炊く釜戸(竈)(かまど)のこと
「鰻の寝床」の京町家では、入口から裏口まで細長く続く「走り庭」と称される土間に、井戸や水屋などと一緒にある
おくどさんの上の棚や、すぐ脇の衝立(ついたて)には、荒神棚が設けられる
<走り>
台所や流しのことをいう
<荒神棚(こうじんだな)>
釜戸の近くで荒神さんを祀る棚
布袋尊さん(三宝さん)や、弁財天さん、お猿さんなどの伏見人形が飾られる
愛宕さん(愛宕神社)の火伏せのお札「火廼要慎(ひのようじん)」も貼られる
荒神松がお供えされる
<火袋>
おくどさんの上の、吹き抜けになっている部分
煙や火の粉が高く舞い上がって消えるように、火事にならないように工夫されている
<布袋尊>
布袋さんは、「火防布袋」といわれ、背中に「火」という字を書いて荒神棚に祀ると火難防止になるといわれている
家を持つと2月の初午(はつうま)の日に伏見稲荷大社を参拝し、参道やその付近で売られている布袋さんを
買って帰り、荒神棚に並べる(初午の稲荷詣)
毎年、小さいものから順にそろえて、稲荷詣を7年続けると、7体集まり「福の神が七体揃う」と七福神に通じて縁起が良く、
財産が貯まり、火難をまぬがれるといわれる
その7年の間に不幸が起これば、集めた布袋さんを川に流すか、神社の納札所に納めるなどして、最初から集めなおされる