<宇治拾遺物語 二>
鎌倉時代初期の説話物語集
「この法師 いでざりける折に 朝粥食はむとするに」
<吉井勇>
大正時代・昭和時代の歌人、脚本家
「瓢亭の 朝がゆすすり松に吹く 風の音聞けば 心すがしも」
<料亭「瓢亭(ひょうてい)」>
左京区南禅寺草川町
江戸時代初期
南禅寺境内の門番所を兼ね、南禅寺総門外松林茶店(腰掛茶屋)として庵を結んだのが由来
「瓢亭玉子」、夏の「朝がゆ」、冬の「鶉がゆ」が伝統的な名物
明治時代の夏の日、祇園にて宵越しで遊んだ旦那衆が、朝を迎えて芸妓を伴い酔い覚めに出かけ、
円山公園を越えて南禅寺辺りまで歩き料亭「瓢亭」の前に
早朝でお店は閉まっていたが、「何か食べさせてもらいたい」と無理を頼む
主人が、仕入れ前の食材で、夏の朝に食べやすい料理をして旦那衆に出したのが、葛あんをかけた朝がゆだった
それが、「瓢亭の朝がゆ」として評判になり、伝統的な名物となった
谷崎潤一郎や与謝野晶子、吉井勇ら、祇園を愛した文人らにも好まれた
<吉祥院天満宮>
6月1日、雷除祭で朝がゆ接待がされる
<粥有十利(しゅうゆうじり)>
禅宗では、お粥に十の功徳があるとされる
健康や美容にもメリットが豊富にあるといわれる
1. 色:顔や肌の色つやが良くなる
2. 力:体力と気力を回復する
3. 寿:長寿となる
4. 楽:胃に優しく、食べ過ぎない
5. 詞清弁:明朗で言葉が清くさわやかになる
6. 宿食除:食べたものが残らない
7. 風除:風邪を防ぐ
8. 飢消:飢えを癒す
9. 渇消:のどの渇きを癒す
10. 大小便調適:便通を良くする
美味しいおかゆさんを作るためには、土鍋で炊くことが重要なポイントといわれる
しっかり洗ったお米をザルに取り水気を切ってから、土鍋に入れ、水を入れて炊く
水の分量の基本は、固め・柔らかめによって、お米が1に対して7〜10程度
米と水を土鍋に入れたら中火にかけ、白く煮立ってきたら鍋底に付いたお米を剥がしながら混ぜる
しっかり沸騰したら火を弱め、鍋と蓋の間に箸を挟めて隙間を作ってから蓋をする
蓋との間に隙間を作ることで、中の温度が熱くなりすぎず、お米をゆっくり美味しく炊くことができる
弱火のまま30〜40分ほど炊き、炊き上がったら塩をお好みで少量混ぜる
冷やご飯で作ったものは、お茶漬けの延長にあるもので「おじや」「雑炊」と称される