鱧(はも)(Muraenesox cinereus)

ウナギ目・ハモ科

沿岸部に生息する大型肉食魚

旬の時期:梅雨明けのもの

古名:波無(はむ)

 鱧(はも)は、夏の京料理に欠かせない高級素材

 小骨が多い鱧を骨切りするときの「シャッシャッ」という音が蒸し暑い京都の夏を涼しく感じさせてくれる

 祇園祭を「鱧祭」とも称される

 全長1mほどの大型の肉食魚で、よく咬みつくことから「食む(はむ)」が転訛して「ハモ」と称されるようになったといわれる

 生命力が非常に強く、輸送技術が発達していなかった頃に、夏に京都まで生きたまま輸送できたことで珍重されてきた

【鱧(はも)】


【鱧料理】

 <骨切り
 ハモには、長くて硬い小骨が非常に多く、食べるために下処理が必要となる
 腹側から開いたハモの身に、皮を切らないように細かい切りこみを入れて小骨を切断する技法
 プロの料理人でも高度な技術が必要とされる
 一寸(約3cm)につき26筋の包丁の刃を入れられるようになれば一人前といわれる
 「骨切り包丁」と称される専用の包丁が用いられる
 「シャッシャッ」という音が、蒸し暑い京都の夏を涼しく感じさせてくれる

 <鱧おとし>
 骨切りをしたハモを湯引きする(熱湯に通す)と反り返って白い花のように開く
 そのまま梅肉や辛し酢味噌を添えて食べる

 <ぼたん鱧>
 骨切りしたハモをクズ打ちし(葛をまぶしつけ)湯通ししたもの
 椀物などに使われる

 <定番料理>
 白焼き
 焼きはも(タレ焼き)
 鱧の焼き霜造り
 鱧しゃぶ
 鱧と松茸のすきやき
 鱧寿司(焼きはもの棒ずし)

 鱧ざく(胡瓜との酢のもの)
 鱧まむし(タレ焼き鱧を混ぜ込んだごはん)
 鱧と松茸の土瓶蒸し
 鱧の笛(浮き袋)の煮こごり

 鱧の源平焼き
 鱧と京山科なすの煮もの
 鱧皮酒盗
 鱧南蛮漬
 鱧の龍眼揚げ

 <鱧の子>
 夏になると卵巣のみでも売られる
 キメの細やかな味わいで、甘みがあって美味しい
 鱧の子の塩辛などにもされる

 <蒲鉾(練り製品)>
 上質な身で作られる高級かまぼこ
 蒸すのではなく焼いたものが多い

 <鱧の皮>
 練り製品にしたときに出た皮
 湯引きして細かく切ったものや、干してあぶって刻んだものが酢の物に用いられる

 <玉ねぎ>
 玉ねぎと相性がよく
 大阪では「泉南の玉ねぎが出るとハモも出る」といわれる

【その他】

 <鱧祭(はもまつり)
 梅雨明けの鱧が一番美味しいと言われ、
 7月1日から1ヶ月行われる「祇園祭」のことを「鱧祭(はもまつり)」とも称される

 <鱧奉納奉告祭>
 7月3日(祇園祭の期間中)
 八坂神社にて
 淡路島観光協会により、「はも道中」で運ばれた鱧が奉納される


 <名残の鱧>
 盛夏になって卵を持っている頃の鱧

 <俳句季語>
 夏の季語とされる


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