大原の生しば漬は、千枚漬・すぐき菜と並ぶ京の三大漬物のひとつ
生しば漬は、茄子(ナス)と赤紫蘇(あかしそ)を塩のみで漬け込み、人工発酵でなく、自然の夏の外気温で自然乳酸発酵させた京漬物
塩漬けした野菜に紫蘇(しそ)風味の調味料で漬けた「しばづけ」とは、全く異なる
すぐき菜とほぼ同じように、調味料を一切使わない伝統製法が用いられ、
乳酸菌を多く含み、紫蘇に含まれるポリフェノールの働きも摂取できる
山里である大原は、冬雪深く、寒さの厳しい土地で、主要道路の鯖街道が雪に埋もれると物資の流通も途絶てしまい、
冬の保存食として、各家庭で夏野菜を保存する目的で漬けていたもの
茄子も、自然生育されている野菜
朝夕の寒暖差が激しい大原の気候が紫蘇つくりに適しているといわれ、
生しば漬は、漬物屋が多い京都でも、ほとんど大原だけでしか製造されていない
<建礼門院>
平安時代末期
1185年(皇紀1845)元暦2年/文治元年
源平の合戦により、壇の浦で平氏は全滅し、唯一生き残った建礼門院(平清盛の次女)(高倉天皇の皇后)が、
寂光院に隠棲された
里人が、建礼門院をお慰めしようと、紫蘇と茄子・胡瓜・茗荷など夏野菜を塩で漬け込んだ漬物を献上したところ、
「柴葉漬ですね」といわれ、とても喜ばれたといわれる
それ以来、「しば漬」として、大原の各家庭で秘伝の漬け方が伝えられてきた
<大原のしば漬>
生しば漬は、主に茄子(ナス)と赤紫蘇(あかしそ)を塩のみで漬け込み自然乳酸発酵させたもの
キュウリ(胡瓜)やしょうが、京みょうがなど、あらかじめ塩漬けした夏野菜に大原の紫蘇で漬けた「しば漬」もある