お雑煮は、元旦に、歳神さん(お正月様)にお供えした神饌(しんせん)を神棚からお下げして、歳神さんからのお下がりを
「ごった煮」 にして食べる正月料理
白味噌仕立てで、コクがあり繊細ではんなりとした甘味と風味を持つ
具材には、丸餅、雑煮大根、金時人参、頭芋など丸いものが用いられる
八坂神社でいただいてきた「をけら火」 で、おくどさんの火をおこし、お雑煮が焚かれる
お雑煮の初物を神前に供え、
名前を書き入れた箸紙の祝箸で、神様とともにいただく
<白味噌>
白味噌は、米麹が多く使われ、塩分が少なく、コクがあり繊細ではんなりとした甘味と風味を持ち、
王朝貴族好みの風雅な味わいを作り出す
貯蔵食料として発達した長期熟成の多塩味噌とは、味わいが全く異なる
白味噌は、熟成期間が1週間から10日と短く、原料の良し悪しや米麹の出来不出来が、そのまま味に反映される繊細なもの
室町時代、桃山時代
普茶料理や懐石料理に欠かせない料理の材料として全国に普及する
<お出汁(だし)>
高級昆布のみで出汁が取られる
神仏にお供えされることもあり、生臭くなる鰹節や煮干しなどは、一切使われない
食べるときには、鰹節が振りかけられる
<お餅>
お餅は、「円満」を願い、望月や鏡への信仰により、丸餅が用いられる
江戸時代
のし餅にして切る方が手間が省け、保存上も便利なことから角餅が普及する
角餅の場合は、焼いて膨らませて、少しでも丸くして用いられる
<頭芋>
頭芋(里芋)は、子孫繁栄を祈願し、また「人の頭になるように」と出世が願われる
頭芋は、一家の主と、長男だけが食べる習慣もある
<具材>
雑煮大根や金時人参は、その年が丸く収まるようにと、輪切りにされる
豆腐には、白壁の蔵が建つようにとの願いが込められる
武士の家では、まずお箸で菜を持ち上げて「名を上げる」として、その菜を食べ残して「名を残す」とされる
<みず菜の雑煮>
1月4日の鏡開きの朝にいただくお雑煮
鏡餅を開いたものみず菜を入れたすまし汁
頭芋などが入った正月三が日のお雑煮とは異なる
お雑煮には、定紋(家の家紋)がついたお椀が使用される
男性用
朱塗りで、金または黒で家紋が入れられる
女性用
外が黒、内が朱塗り、銀で女紋が入れられる
「柳箸・祝い箸」は、お正月にお雑煮をいただく時に使われる、太めに作った白木の柳箸
「両口箸」「両細」とも称され、両端が削られている
お正月には、「歳神さん(お正月様)」が幸行されており、歳神さんとともに、お雑煮やお煮しめをいただき、
神様のご加護を受け、慶びを共にする
そのため、柳箸の一方を人が使い、もう一方は神様が使用される
食べたもう一方を「取り箸」として重箱のご馳走を取り分けるために使うことは、決してされない
重箱用には、「組重」と箸紙に書かれた重箱専用のお箸が用いられる
大晦日の夜から元旦の早朝にかけて
八坂神社で焚かれた神火「をけら火」 を吉兆縄に移して家に持ち帰り、
その神火で、おくどさん(台所のかまど)の火をおこして雑煮が焚かれ、一年間の無病息災が祈念される
<吉兆縄>
竹の繊維を用いて作られている縄
吉兆縄を購入し、鉄灯篭より「をけら火」を移し、火が消えないようにクルクル回しながら家へ持ち帰られる
神棚の灯明にされたり、おくどさん(釜戸)の種火にされて、一年間の無病息災が祈念される
燃え残った吉兆縄は、「火伏せのお守り」として、台所などに祀られる
お雑煮やお餅を作くるための、おくどさんで炊かれる薪は、12月13日の事始めの日に準備される