紫蘇(しそ)は、一年草の植物で、葉が深い赤紫または緑色で、香味野菜として用いられる
大原は、ちりめん赤紫蘇(あかじそ)の特産地で、京の三大漬物の一つの生しば漬に用いられる
葉・芽・花穂・実の全ての部分が用いられ利用価値の高く、ミネラルやビタミンなどの栄養価も豊富な食材
殺菌作用・防腐作用があり、刺身のつまや料理の付合せ、薬味に用いられることが多い
紫蘇(しそ)には、多数の品種や栽培品種がある
主に、赤紫蘇(あかじそ)と青紫蘇(あおじそ)が食用にされる
<縮緬紫蘇(ちりめんじそ)>
純粋な品種
葉は両面とも深い赤紫で、葉の周辺が縮れたように波打つ
「ちりめん赤じそ」とも称される
大原の特産
<赤紫蘇(あかじそ)>
単に「シソ」とも称される
葉の両面とも赤色で、縮れていない
京漬物・梅干し・紅ショウガなどの色付けに使われる
葉を乾燥させたものは、香辛料として七味唐辛子に配合されたり、ふりかけなどにも用いられる
実を付けた「穂じそ」、花が開き掛けの「花穂じそ」などは、刺身のつまに用いられる
実は、ぷちぷちした食感と独特の風味があり、ガクごと食用として、茶漬けなどの風味付けに用いられる
実には、強力な殺菌効果や防腐効果がある
旬の時期は、6〜7月
<青紫蘇(あおじそ)>
葉の両面とも緑色で、縮れていない
葉や花には爽快な香りがあり、香味野菜として、刺身のつまや、天ぷらなどにされたり、
麺類の薬味に用いられる
葉は、野菜としては「大葉(おおば)」とも称される
旬の時期は、5〜8月
<縮緬青紫蘇(ちりめんあおじそ)>
栽培品種
葉の両面とも緑色で、縮れている
<斑紫蘇(まだらじそ)>
葉の表面は緑色、裏面は赤色で、縮れていない
<片面紫蘇(かためんじそ)>
栽培品種
葉の表面は緑色、裏面は赤色
大原の紫蘇は、ちりめん赤紫蘇が主で、紫蘇の純粋種に最も近いものといわれる
その理由として、
大原は、山に囲まれた地形のために別の種の花粉が飛来しなかった
毎年、同じ紫蘇の種で800年以上もの間、繰り返し作り続けられてきたため
といわれる
大原の山あいの盆地で、朝夕の寒暖差が激しく、
夏の晴れた日の朝には霞(かすみ)がかかり、その朝霞の湿気など、
大原の気候が赤紫蘇作りに適しているといわれる
生しば漬は、千枚漬・すぐき菜と並ぶ京の三大漬物の一つで、大原の特産品
赤紫蘇と茄子(ナス)・胡瓜(キュウリ)・茗荷(ミョウガ)など夏野菜を塩で漬け込まれている
源平合戦により、壇の浦で平氏は全滅し、唯一生き残った建礼門院(平清盛の次女)(高倉天皇の皇后)が、
大原の寂光院に隠棲された
そのとき、里人が、建礼門院をお慰めしようと、紫蘇と茄子・胡瓜・茗荷など夏野菜を塩で漬け込んだ
漬物を献上したところ、「柴葉漬ですね」といわれ、とても喜ばれたといわれる
それ以来、「しば漬」として、大原の各家庭で秘伝の漬け方が伝えられてきた
7月〜8月にかけて、1年分が漬け込まれる
<芽紫蘇(めじそ)>
しその若い芽のこと
青じその双葉を「青芽(あおめ)」、赤じその双葉に本葉が出たばかりのものを「紫芽(むらめ)」と称する
青芽・紫芽ともに、刺身のつまや薬味に用いられる
紫芽は、紅たでに似ており、紅たでよりも一周り大きく、裏が赤くて表が緑色をしている
<花穂紫蘇(はなほじそ)>
しその穂を、花が3割ほど開きかけた状態で収穫したもの
薄紫色の色合いが美しく、刺身のつまや料理のあしらいに用いられる
<穂紫蘇(ほじそ)>
花が落ちた後、実が未熟なうちに、穂先を5〜6cmに切り取って収穫したもの
「束穂」とも称される
刺身につま、実をしごいて醤油の香りづけにしたり、天ぷらにされる
<しその実>
花穂が成熟して実を結んだもの
「扱穂(こきほ)」とも称される
指で弾いて香りを出し、煮魚の香り付けにしたり、塩漬けや佃煮に加工されたりする
赤紫蘇は、カロチンが少ない他は、青紫蘇と赤じその成分は似ている
青紫蘇のほうが栄養価が高く、赤紫蘇の方が薬効があるとわれる
<アントシアン系色素(シソニン)>
赤いアントシアン系色素があるものが赤紫蘇、無いものが青紫蘇となる
<栄養価>
ビタミン類・ミネラル類を多く含む
βカロチンが大量に含まれる
ビタミンB群のうちB1・B2・B6・ビタミンC・E・Kが多い
ナイアシンも含む
カルシウム・鉄・カリウム・マグネシウム・亜鉛なども豊富
<殺菌作用・防腐作用>
独特の香り成分は、ペリルアルデヒド・リモネン・ピネンなど
ペリルアルデヒドは、「シソアルデヒド」とも称され、強い抗菌作用・防腐効果がある
刺身のつまや、料理のあしらい・薬味により、食中毒を予防するほか、
消化酵素の分泌を促し、食欲を増進させて胃の調子を整える作用もある
<アレルギー抑制効果>
体内でEPAに変化するα−リノレン酸が含まれている
EPAには、異常に働いていた免疫力を正常に戻す働きがある
アトピー性皮膚炎・花粉症などのアレルギー症状を緩和してくれる効果がある
魚・エビ・カニによるジンマシンは、新鮮な紫蘇の葉を食べるとよいといわれる
<ガンの抑制>
ビタミンCが豊富で、ガン予防作用がある
青紫蘇には、βカロチンが豊富に含まれ、ニンジンと同程度、かぼちゃの10倍以上もある
βカロチンは、体内でビタミンAに変わり、視覚・聴覚・粘膜や皮膚を保護し、抵抗力も強くする働き、
抗酸化作用もあり、癌予防や老化予防にも効果が高い
<貧血予防>
鉄分が多く、鉄の吸収を助けるビタミンCも多く含み、貧血予防の効果が高い
<精神安定作用>
カルシウムを多く含み、精神安定作用の効果がある
<ダイエット>
カロリーが低く栄養価が高い
カリウムを多く含み、利尿・発汗を促して、水分代謝を良くする働きがある
<漢方>
赤紫蘇・ちりめんじその葉・枝先を「蘇葉(そよう)」または「紫蘇葉(しそよう)」と称される
理気薬(気が停滞している状態を改善する薬物、精神を安定させる目的もある)として
神秘湯、半夏厚朴湯、香蘇散などに配合される
葉にはロズマリン酸という成分を含み、アレルギー疾患に有用として健康食品としても利用されている
熟した果実を「蘇子(そし)」と称される
咳・喘息・便秘などの治療に用いられる