すぐき菜は、紡錘形のかぶらの一種で、上賀茂地域で300年近い栽培の歴史がある京の伝統野菜の一つ
まろやかな「すっぱさ」を持ち、「酸茎(すぐき)」と称されたのが名前の由来といわれる
原種に近い原始的なかぶらで、びわ葉で、根は紡錘形、根の重さは1kgほど
栽培は、8月下旬に種をまき、11月中旬に収穫される
<乳酸菌>
すぐきには、ラブレ乳酸菌が多く含まれる
ラブレ乳酸菌は、新陳代謝がよくなり免疫力をアップさせる特殊な乳酸菌
大腸ガン、直腸ガン、ウイルス感染予防に有効なインターフェロンを作る能力を高め、肌にも良くすべすべの肌になる効果がある
海外では「マジックピクルス」と称される
京漬物「すぐき漬」は、すぐき菜を、塩以外の調味料・添加物は一切使わず乳酸発酵させた珍しいもの
「てんびん押し」と「室入れ(むろいれ)」と称される伝統的な特有の漬け方がされる
伝統の技と、塩だけで作られる正真正銘の自然食品
<すぐきの漬け方 >
収穫: 11月
面取り:根や皮を包丁で剥ぎ取り、丁寧に皮をむいて真っ白になる
荒漬け:水を張った直径2mほどの巨大な樽で一晩、たっぷり塩をふり重石をかけて漬け込まれ塩の浸透をよくする
天秤押し(本漬け):
四斗樽の底から渦巻き状に、一段ずつたっぷり塩をかけて並べられる
長さ3〜4mの丸太ン棒の先に重石を付けて、テコの原理を応用して大きな圧力をかけて一週間ほど漬け込む
樽の蓋には、清らかな塩の華が咲いて、上賀茂の冬の風物詩となる
室入れ:
本漬けが終わったすぐき樽を、室(むろ)に入れて加温し、乳酸菌で醗酵させてコクのある酸味を生む
かぶの辛み成分などが変化して、特有の発酵香が生まれる
自然冷却:
室から出して、自然の寒気にさらして味をしめる
乳酸発酵特有の発酵臭がある
葉は、細かく刻んで、根は、拍子木切りにして食べる
<すぐきの神>
深泥池の西にある貴舩神社の末社 秋葉神社
平安時代
深泥池付近は「七つ森七軒村」といわれ、その一番森は「消し山」と称され、火伏せ神の秋葉神社が祀られていた
1868年(皇紀2528)明治元年
廃仏毀釈により、賀茂社の社家により秋葉神社が打ち壊わされた
1869年(皇紀2529)明治2年3月
社殿の修復を怠ったためといわれる大火により、村を全焼してしまう
空腹の中、村人たちが焼け跡を整理していると、どの家にも漬物桶だけが焼けながらも、中身が焼け残っていたといわれ、
それらの桶を開けると、適度に火が入って、いい匂いがしたといわれる
村長が、その茎を一本試食したところ、美味しく、「酸い茎や(すいくきや)」と言われたといわれる
それは、火の神である秋葉神社が、村人に罰を与えるとともに、生命の根源である酵素の漬物による恵みを与えたといわれる
<すぐきや六郎兵衛>
所在地:京都市北区上賀茂御薗口町69
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