フジバカマ(藤袴)は、多年生植物
8月から10月、散房状に淡い紫紅色の小さな花を多くさんつける
奈良時代に香料として唐から輸入されたものといわれ、万葉集などにも歌われ、日本人に親しまれてきた
8月から10月、散房状に淡い紫紅色の小さな花を多くさんつける
葉は3深裂することが多い
花の色が藤色(ふじいろ)で、花弁の形が袴(はかま)のようなことが名前の由来
生草のままでは無香であるが、乾燥するとその茎や葉に含有されている、クマリン配糖体が加水分解されて、
オルト・クマリン酸が生じるため、桜餅の葉のような芳香を放つ
平安時代には、干した茎や葉を水につけて髪を洗ったという
防虫剤、芳香剤、入浴剤などにも利用されたという
<秋の七草>
萩・ススキ・葛花(くず)・撫子(なでしこ)・女郎花(おみなえし)・藤袴・桔梗
<万葉集>
山上憶良の歌
「秋の野に 咲きたる花を 指(おゆび)折り かき数ふれば 七種の花
萩の花 尾花(おばな) 葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝貌の花」
「尾花(おばな)」とは、ススキの花穂が出ている時の呼称
「朝貌(あさがお)」とは桔梗のこと
<源氏物語30帖「藤袴」>
光源氏の使者として玉鬘を訪れた夕霧が、藤袴の花に託して贈った歌
手に持っていたきれいな藤袴の花を、御簾(みす)の下から中へ入れて、それを取ろうとした玉鬘の袖を捕まえて
「同じ野の 露にやつるる藤袴 哀れはかけよ かごとばかりも」
玉鬘は思いがけないことに当惑し、気づかないふりをして、少しずつ身を後ろへ引いて
「たづぬるに 遥はるけき野辺のべの露ならばうす紫やかごとならまし」
<古今和歌集>
「なに人か きてぬぎかけし藤袴 くる秋ごとに野べをにほはす」藤原敏行
「やどりせし 人のかたみか藤袴 わすられがたき 香ににほひつつ」紀貫之
「ぬししらぬ 香こそにほへれ秋の野に たがぬぎかけし 藤袴ぞも」素性法師