ヒオウギ(檜扇)は、山野の草地や海岸に自生するアヤメ科アヤメ属の多年草
葉は長く扇状に広がり、宮中で持つ檜扇に似ていることから名付けられたといわれる
夏に、まだら模様の入ったオレンジ色の花を咲かせる
日本の山野などにも自生する丈夫な多年草
扇状に広がった細長く重なり合った葉から、夏にまだら模様の入ったオレンジ色の花を咲かせる
花は、花茎を伸ばし、数輪ずつ咲かせる
午前中に咲き、夕方にはしぼむ一日花である
花色は、オレンジ色が多いが、黄色やピンク、赤、紫、白などの花を咲かせる種類もある
<種>
花の後に袋状の大きなさやができ、熟すと割れて、中から5mmくらいの黒い種が出てくる
種はしばらく落ちずに残るため、ユニークな花材として用いられる
種がブラックベリーに似ていることから「ブラックベリー・リリー」とも称される
タネが黒いことから、別名「烏扇(からすおうぎ)」と称される
<生け花>
7月初旬の代表的な花材
厄除けの花とされ、祇園祭や大阪の天神祭では、床の間や軒先に飾る花として用いられる
<栽培>
日当たりと水はけのよい場所が適地
とても丈夫な花
<花言葉>
「誠意」「個性美」
<生花>
ほとんどが徳島県神山町産
1955年(皇紀2615)昭和30年からヒオウギの生産が始まり1970年代前半には70軒が栽培して最盛期だった
2016年(皇紀2676)平成28年には10軒のみの生産している
<和菓子「烏羽玉(うばたま)」>
ヒオウギの実を模したもの
丸めた餡を求肥で包んで砂糖をかけたものや、黒砂糖の漉し餡に寒天をかけたものなどがある
<和歌>
ヒオウギの黒い種子は、射干玉(ぬばたま)・烏羽玉(うばたま)・烏玉・烏羽玉・野干玉・夜干玉などと称される
和歌では、黒に関連ある夜・夕・髪などにかかる枕詞として用いられる
「ぬばたまの 夜の更けゆけば 久木(ひさぎ)生(お)ふる 清き川原に 千鳥しば鳴く」万葉集 山部赤人
「ぬばたまの 夜さり来れば 巻向(まきむく)の 川音(かはと)高しも 嵐かも疾(と)き」万葉集 柿本人麻呂
「茜(あかね)さす 昼は物思(も)ひ ぬばたまの 夜はすがらに 哭(ね)にみし泣かゆ」万葉集 中臣朝臣宅守