竹(タケ)は、茎(稈)が緑色に木質化して、細長い木のように成長する常緑多年草
京都は、竹の産地としての風土条件に恵まれ、平安時代以前からの優れた竹の名産地で「竹の都」といわれる
孟宗竹(もうそうちく)、真竹(まだけ)、破竹(はちく)など竹の種類も豊富にある
京都の気候は、雨が多く、寒暖の差が大きく、非常に美しい竹を生産することができるといわれている
伝統工芸品、料理、建築、エジソンの電球のフィラメントなどにも広く用いられる
茎(稈)の高さは、竹の種類により異なり、数mから25mほどのものもある
稈はとても強く、大きくしなっても簡単には折れない
地下茎を広げ、地下茎からタケノコが直接生えることで増えていく
タケノコからの成長力が大きく、ピーク時は1日で1m以上も成長する
竹林の一定範囲の竹は、地下茎から広がった遺伝子が同一のクローン
竹の寿命になると、竹林全体が花を咲かせて有性生殖を行い子孫を作ったのちに、一斉に枯死する
<真竹(まだけ)>
日本に古来より自生する竹で、他の竹に比べ日陰地、耐寒性がある
高さ最大10数m
直立性が強く、整然とした竹林ができる
繊維が細かく細工がしやすいため竹細工などに広く用いられる
<孟宗竹(もうそうたけ)>
日本の竹類の中では最大で、高さ25mほどになる
江戸時代に、隠元隆きにより中国から移植され日本国内で植栽されて広まった
上部がしなだれ、葉が細かく色が薄く、柔らかく美しい竹林になる
筍(たけのこ)は、4月頃に発芽し、大きく肉厚で柔らかく、えぐ味が少ないため食用にされる
「孟宗竹」の名前は、「二十四孝」の孟宗の故事が由来といわれる
<呉竹(くれたけ)(淡竹(はちく))>
高さ最大10m
中国原産で、平安時代には日本でも育成していた
真竹より、さらに繊維が細かく茶筅などに用いられる
<青竹(あおたけ)>
竹に染色など何ら人工的な処理を加えず、山から切り出した自然そのままの竹材
<斎竹(いみたけ)>
竹や榊(さかき)は、清浄な植物とされている
清浄な聖域の四隅や、聖域との境界の両端に立てて注連縄を張り巡らすための青竹のこと
榊(さかき)や紙垂(しで)(玉串や御幣にも付けられる白い紙)などが取り付けられる
<嵐山 竹林の小径>
野宮神社から天龍寺の北側を通って大河内山荘庭園へ通じる長さ200mほどの小道
竹が整然と立ち並んだ幻想的な散策路
<愛染倉>
竹林の奥に立つ屋敷
<化野念仏寺>
竹林の小径が、霊園墓地へ上がる参道となっている
<石井神社>
金蔵寺の境内の御香泉(雲生水)の上に、泉の神・水の神さんとして祀られていた式内社
小塩山を下った山腹、坂本集落の奥の竹林の中にある
<一言寺>
竹林に覆われている
<石清水八幡宮>
エジソン記念碑
トーマス・アルバ・エジソンが炭素白熱電球を発明し、石清水八幡宮境内に生えている竹がフィラメントの材料として
最も適しているとされ、10数年間、この竹を使ってたくさんの炭素電球が作られ、炭素白熱電球の実用化に貢献した
背後には、白熱電球のフィラメントとして使われた真竹が植えられている
<円通寺>
客殿前庭(国の名勝)>
一面に青苔でおおわれた平庭に、杉木立の間のツツジ・サザンカなど50種類の生垣の向こうに竹林があり、
はるかに比叡山の稜線が見える借景式枯山水庭園
<大岩山>
山裾は、100万年~30万年前の「大阪層群」と称される砂・礫・粘土などの地層で丘陵を成し、竹林で覆われている
<大河内山荘庭園>
山荘の手前から竹林が広がり、庭園への小道が通じている
<小畑川 一文橋>
竹林を護岸林にして、治水に備えられている
<京都御所 清涼殿>
正面の庭には「漢竹」(かわたけ)、「呉竹」(くれたけ)が植栽されている
<祇王寺>
奥嵯峨の小倉山の東麓の竹林にある寺院
竹と楓に囲まれており紅葉の名所でもある
<華厳寺>
庭園「七仏の庭」
釈迦が生まれるまでの過去仏を7つの石で表されている
三角・四角・黒竹・黄竹など様々な種類の竹が集められている
<久我神社>
竹林がある
<鍬山神社>
竹林がある
<高台寺>
幻想的な竹林がある
<直指庵>
嵯峨野の北辺に位置し、孟宗竹に包まれてひっそりと建っている
孟宗竹の竹林の中に、村岡局のお墓がある
<地蔵院>
参道の両脇や本堂奥に孟宗竹や真竹の美しい竹林があり「竹の寺」とも通称される
<松花堂庭園>
外園には、小堀遠州が建てた茶室を再現した茶室や千宗旦好みの茶室などを持つ池泉回遊式庭園
約400種類の竹と笹、茶花として珍重される椿が約200種、植栽されている
茶室「竹隠」
竹の中で最も美しいといわれる「金明孟宗竹」の竹林を借景として取り入れられている
<浄住寺>
四方竹、亀甲竹などが植栽されている
<青蓮院>
幻想的な竹林がある
<石峰寺>
本堂背後の竹林の中には、伊藤若冲が下絵を描き、石工に約10年かけて彫らせたといわれる五百羅漢がある
<滝口寺>
竹林がある
<竹林寺>
「長者地蔵縁起」によると
貧しい竹林業者が、朝夕欠かさず参拝をしていたところ、夢のお告げにより境内で宝珠を拾い、
それ以来、富み栄えて竹林長者になったといわれ、「長者地蔵」として信仰されている
<竹林寺>
通称:赤門の竹林寺(あかもんのちくりんじ)
<竹林院>
<天龍寺>
竹林がある
<野宮神社>
嵯峨野の竹林の小径の奥地の清らかなところにある
野宮竹は、丈が長く節が低くて弾力があり、枝が短く葉が細い真竹の名竹が生育している
多くの文人墨客が、竹の美しさに歌を残している
村山古郷の句碑「野宮の竹美しや春しぐれ」
<福勝寺>
山号:竹林山(ちくりんざん)
<不思議不動院>
竹林に覆われている
<宝泉院>
額縁庭園「盤桓園(ばんかんえん)」
近江富士の形をした樹齢700年の銘木 五葉松や、楓、竹林が配され、竹林の間から大原の山が借景になるように計算されている
<法然寺>
嵯峨野竹林の小径の近く、法然上人のもとで出家した源平合戦で活躍した武士 熊谷直実(蓮生)による創建
<法輪寺>
達磨竹の逆さ竹、インドや中国の竹の珍種が繁茂している
<妙顕寺>
孟宗竹の坪庭
<向日神社>
参道が竹林になっている
<傘亭(重要文化財)>
高台寺の東の山の上にある茶室
内部には天井がなく、丸竹の垂木(たるき)を放射状に組まれた化粧屋根裏(けしょうやねうら)が、
唐傘に似ていることから「傘亭」と称される
伏見城の遺構の茶屋で千利休の意匠といわれる
<観智院 客殿(国宝)>
竹の節欄間(らんま)などがある住宅建築としても貴重なもの
<玉林院 茶室「蓑庵(さあん)」(重要文化財)>
鴻池了瑛が、表千家7世 如心斎 天然宗左に依頼して作った茶室
天井は、床前半通を白竹竿縁の長杉板張、窓側掛込み天井、点前座は薄天井
<桂春院 茶室 既白庵(きはくあん)>
天井は、床前が長片天井で、点前畳上は網代の落天井、にじり口の上は竹の掛込天井となっている
茶人 藤村庸軒(ふじむらようけん)が愛好したといわれる
<光悦寺>
光悦垣
大虚庵を囲む、竹を斜めに組んだ垣根
竹を斜めに組み、徐々に高さの変る独特のもの
牛が寝そべったように見えることから「臥牛垣(ねうしがき)」とも称される
<廣誠院 書院(京都市指定有形文化財)>
書院の南から東にかけて、軒先が3mほどある庇になっている
書院の東から南にかけて周りの濡れ縁には高欄があり、丸竹と板を交互にした縁がある
<光清寺>
南庭「心和の庭」
白砂、苔地、立石のみで構成されている枯山水庭園
北・東の二方が土塀(白壁)、南は竹垣になっている
竹垣にも「心」の字の意匠が直線で抽象化され描かれている
<松花堂庭園>
竹垣
日本庭園で見ることのできる代表的な竹垣が18種 観覧できる
手すり垣:松花堂庭園入口より茶室までの途中
葦入枝折戸垣:茶室「梅隠」をかこんでいる
建仁寺垣:梅隠
黒文字垣:松隠
松明垣:松隠
金閣寺垣:竹隠外周
御簾垣:美術館別館前の庭園手洗い外周
寒竹あやめ垣:竹隠
萩小松明垣:竹隠
矢止め垣:竹隠
萩穂垣:竹隠
昭乗垣:内苑 女郎花塚をつなぐ道にある
竹枝穂垣
四つ目垣
晒竹あやめ垣
双竜垣:九頭竜垣と光悦垣をアレンジした全長26m
<聴竹居>
日本古来の伝統的な技術である耐熱性に優れた土蔵壁が採用され、木舞壁の上に土を塗り、漆喰で仕上げられている
木舞壁とは、竹を幅2cmくらいに割り、その竹を縦横に配置して一つの目が3cmくらいの枡に縄で編みあげ、
それを芯にして、下地の泥に藁を切り込んだ荒壁を厚く塗り、漆喰などで仕上げた壁のこと
竹の音を聴く居として「聴竹居」と名付けられた
<南禅寺>
小方丈庭園「六道庭」
我々が六道の6つの世界を生まれ変わり続ける仏教の教えを表す六道輪廻の戒めの庭
竹垣は、南禅院の竹藪の孟宗竹で作られた太めの鉄砲垣で「大筒垣」と称される
<宝厳院>
獅子吼の庭(ししくのにわ)
豊丸垣(ほうがんがき)は、竹を利用した独特の垣根
穂垣は、竹穂の上部を刈り揃えずに自然のままの感じを残したもの
<龍吟庵>
方丈正面の南庭「無の庭」は、白砂敷の枯山水庭園
一面白砂敷だけで、草木・石などは一つも置かれていない
西側の竹垣には、稲妻模様が描かれており、西庭のイメージに続くよう考慮されているといわれる
<聚光院>
室中の間の障壁画「花鳥図」16面(国宝)
狩野永徳が24歳のときの作
松・竹・梅におし鶏、丹頂鶴、セキレイなどが描かれた花鳥図
衣鉢の間の障壁画「竹虎遊猿図」6面(国宝)
狩野松栄の作
仏間「花鳥図」2面(国宝)
狩野永徳の作
<今宮神社御旅所>
能舞台鏡板(かがみいた)
松と、右手には竹が描かれている
法眼 吉田元陳の筆
<黄梅院>
本堂襖絵 紙本墨画44面(重要文化財)>
室中の間の「竹林七賢図」16面、「山水図」14面
毛利家 御用絵師で、雪舟の画風を継承した雲谷派の祖 雲谷等顔(うんこくとうがん)の筆
<圓光寺>
紙本墨画「雨竹風竹林図」屏風六曲一双(重要文化財)
円山応挙の水墨画の最高傑作の一つ
右隻には雨に打たれる竹、左隻には風に静かにゆれる竹の情景が描かれている
<圓徳院>
下間(げかん)の間の襖絵「松竹梅図」>
赤松燎の遺作となった襖絵「白龍」を弟子 木下育應が、引き継いで制作したもの
<観智院(東寺<塔頭)>
襖絵「竹林図」「鷲の図」
客殿(国宝)正面の床の間の襖絵
宮本武蔵の筆
「竹林の図」は、二刀が交差して、その張り詰めた緊張感が描かれている
<玉林院>
方丈襖絵
68歳の狩野探幽が、狩野派一門を指揮して描かせたものといわれる
衣鉢の間手前の檀那の間:狩野安信による竹林七賢図と四愛図
<桂春院(妙心寺塔頭)>
方丈(京都府指定文化財)
東の間は、「雪竹に茅屋の図」「芦原に洛雁」
襖絵はすべて狩野山楽の弟子 狩野山雪による水墨画
<建仁寺>
方丈障壁画 50面(重要文化財)
海北友松の確実な作とされる
室中の「竹林七賢図」16面など
開山堂 室中 紙本墨画「龍虎図」
左側には、竹林のある岸辺に一頭の猛虎がうずくまる姿を描いている
加藤文麗の筆
<隨心院>
奥書院「竹虎図」
江戸時代 狩野派の作
<瑞春院>
掛軸「鍾馗 牡丹 竹に虎」三幅対
狩野安信の筆
<禅居庵>
「松竹梅図」襖全12面(重要文化財)
海北友松の作
<寂光寺>
「竹雁図」
<相国寺>
紙本墨画「猿猴竹林図」六曲屏風(重要文化財)>
長谷川等伯の筆
<聖澤院>
書院 二之間 襖絵紙本墨画「竹林七賢図」14面
狩野栄川の筆
<神應寺>
書院の襖戸杉戸に「竹虎図」「御所車(重要文化財)」などが描かれている
狩野山雪の筆
<真珠庵(大徳寺塔頭)>
「波に鶴・竹に鶴図」 二曲一双
原在中の筆
「竹石白鶴図」六曲屏風1隻
狩野正信の筆
<新徳寺>
紙本著色「星光寺縁起絵巻」2巻(重要文化財)
星光寺の草創記、本尊 地蔵菩薩の霊験譚がまとめられている
平資親の邸内、牧谿様の竹林図、猿猴図の襖、寝所なども描かれている
室町時代の土佐光信の筆といわれる
<雑華院>
書院 三の間 障壁画「竹林七賢図」4面
土方稲嶺の筆
<大覚寺>
正寝殿(しょうしんでん)(客殿)(重要文化財)>
桃山時代の書院造の建物
12の部屋に分かれ、南北に3列づつ、障壁画にちなんで名称がつけられている
東列は、「竹の間」「剣璽の間」「御冠の間」「紅葉の間」、中央列は、「雪の間」「鷹の間」、西列は「山水の間」「聖人の間」がある
<知恩院>
大方丈(おおほうじょう)(重要文化財)
洛中随一の名書院とされる
54畳敷の鶴の間、上・中・下段の間、松の間、竹の間、梅の間、柳の間、鷺の間、菊の間、武者隠しの部屋がある
それぞれ狩野派による金碧障壁画で飾られている
<天球院>
方丈障壁画(重要文化財)金碧画「竹虎図」20面
内部の襖絵と杉戸絵あわせて152面は、狩野山楽・狩野山雪父子の作といわれる
室中の金碧画「竹に虎図」は、室全体が竹林の中にあるように描かれている
竹の間に親子の虎が戯れている
右側の竹林の中には豹(ヒョウ)も描かれている
<南禅院>
方丈襖絵「龍図・梅竹図」
狩野探幽の甥 狩野養朴の筆による水墨画
<東本願寺>
茶室「桜下亭(おうかてい)」
座敷に岐阜別院書院から移された円山応挙の障壁画30面がある
竹之間に紙本金地墨画「竹雀図」4面、紙本墨画「竹図」4面・床脇壁裏側1面
能舞台
幸野楳嶺による「鏡板の松」「切戸口脇の竹」
<法然院>
方丈の襖絵十四面(重要文化財)
「桐に竹図」など
狩野光信の作
<曼殊院>
通称:竹内門跡(たけのうちもんせき)
大玄関に虎の間、竹の間、孔雀の間がある
竹の間壁紙(重要文化財)
日本最初の木版画といわれる
狩野永徳の筆
<妙顕寺>
「寿老松竹梅図」三幅
妙顕寺の檀信徒であった尾形光琳の現存する唯一の絵とされる
<隣華院(妙心寺塔頭)>
客殿二の間の「竹虎図」
禁裏御用絵師として活躍していた狩野永岳(かのうえいがく)の代表作
<麟祥院(妙心寺塔頭)>
「雲中寿老・雪中竹鳩・梅山鵲図」
狩野山雪の筆
<両足院>
「竹林七賢図」
長谷川等伯の筆
<福田平八郎>
絹本着色「竹」
色・太さ・模様の異なる6本の竹と1本のタケノコが描かれている
「昔から竹は緑青で描くものときまっているが、三年間見続けて来てるけど私にはまだどうしても竹が緑青に見えない」と述べている
京都国立近代美術館所蔵
<京銘竹>
京都の気候は、雨が多く、寒暖の差が大きく、非常に美しい竹を生産することができるといわれている
滑沢で強く、弾力性にもすぐれて、乾湿にも歪みがこない特徴がある
特に、京都西山や嵯峨野・向日市・長岡京市などが名産地となっている
伝統工芸品、料理、建築、エジソンの電球のフィラメントなどにも広く用いられる
<京竹工芸>
京銘竹を素材にして、竹そのものの持ち味をそのまま生かした竹細工
茶道・華道・香道の道具類や花器、食器、家具調度品、照明器具、竹籠、竹垣、壁の下地などにも用いられる
<京うちわ>
経済産業大臣指定の伝統工芸品
中骨と柄が一本の竹片で作られ、柄の部分に硫酸の焼きつけで文様がつけられているのが特徴
京都の花街において芸舞妓さんたちが得意先に配る名入りのうちわなどがある
竹の産地であった伏見深草などで製造されている
<京すだれ>
竹や葦などを編んで、部屋の中や外を分ける仕切り、エクステリアやインテリアとして用いられる
座敷簾(ざしきすだれ)・外掛簾(そとがけすだれ)・茶席簾(ちゃせきすだれ)・御翠簾(おみす)などがある
京都市の伝統産業の一つ
<京たけのこ>
主な品種:孟宗竹
<犬矢来>
京町家の軒下などにある、湾曲した割り竹を並べてできた低い柵
雨や泥土などの跳ね返りや、犬や小動物の便などから汚れないように防ぐためのもの
<竹細工・柄杓師 黒田正玄>
黒田家は、千家十職の竹細工・柄杓師の家
<櫛>
櫛は、呪力を持っているとされ、櫛の素材となっている竹も、大きな生命力を持っているとされる
櫛稲田姫命
稲田神社(島根県奥出雲町)の近くには臍の緒(へそのお)を竹で切ったといわれる「笹の宮」がある
伊邪那岐命
黄泉の国から逃げ出すときに、妻の伊邪那美命が差し向けた追っ手から逃れるために、
櫛の歯を後ろに投げ捨てたところ、櫛が筍に変わり逃れることができたとされる
素戔嗚尊
櫛の呪力と生命力を身に着けることでヤマタノオロチに立ち向かったとされる
<矢>
奈良時代
現在とほとんど変わらない竹弓・竹矢が完成されていたといわれる
矢の種類によって、竹を伐る時期が変えられる
征矢(そや)(戦場で使う矢)で用いられる「うきす」は、若竹を夏の土用に伐り、もみがらで磨き日陰干しして使われる
<六波羅蜜寺 皇服茶>
正月三が日
空也上人が、当時流行していた悪疫退散のため、自ら刻んだ十一面観音菩薩像を持って市中を歩き回り、
青竹を八葉の蓮片のように割り、お茶を立てて、中に小粒の梅干しと結昆布を入れて仏前に献じたお茶を病者に授け、
歓喜踊躍しつつ念仏を唱え、病魔を鎮めたのが由来
<祝園神社 居籠祭(京都府無形民族文化財指定)>
毎年正月 初申の日より3日間にわたり行われる
氏子たちが神さんを迎えるため、決して音をたてないように家の中に籠る奇祭
3日目には、邪鬼をかたどった青竹の綱の輪を曳き合い、神さんを迎え豊かな実りもたらす神事が行われる
その後、青竹の網を焼いて送り火として霊を慰める
<恵美須神社 十日ゑびす大祭>
1月10日
商売繁盛の笹
笹は、縁起物の松竹梅の竹の葉で「節目正しく真直に伸びる」「弾力があり折れない」「葉が落ちず常に青々と繁る」と
いうことから、家運隆昌、商売繁盛の象徴となったといわれる
<出雲大神宮 粥占祭(よねうらさい)>
1月15日(小正月)
3本の竹筒に入った粥の米と小豆の量で一年の稲の収穫の豊凶が占われる
本殿で祭典が行われ、炊き上がった粥と共に御神前にお供えされた後、宮司により粥占が行われる
3本の竹筒に、一、二、三と刻まれ、一は早生(わせ)、二は中生(なかて)、三は晩生(おくて)を示す
炊き上げた粥を椿の葉で包み御神札と一緒に竹筒に挟み、豊作の御守として田畑に挿しておけば、
虫除けになり、豊作になるといわれる
<狸谷山不動院 初不動>
1月28日
お不動さんの一年最初の縁日で、修験者が出仕し厄難除けの大護摩供養が行われる
「ガン封じの笹酒」の接待があり、護摩の火で温めた青竹の筒の笹酒を、青竹の杯でいただける
<若宮八幡宮社 左女牛の神事>
2月4日
左女牛の井戸からくみ上げた水を青竹に入れ、神前に供えて不老長寿を祈願される
<観音寺 竹送り>
2月11日
東大寺二月堂のお水取りで用いる籠松明のための竹を、観音寺付近の竹林から切り出され、東大寺へ送られる
<八大神社 遷御祭(宮座督殿渡し)>
4月第1日曜日
神弓祭の後、神前にて、宮座の督殿引継ぎの儀式「御鍵渡し」が行われる
八大神社の御神宝が、天井の床の間寄りに吊るした竹の「お棚」に遷される
<平安神宮 花御札(はなみふだ)>
季節の花々の持つ力に、精神性をこめて、破邪や厄除を祈願される
6月は竹
<縣神社 縣祭>
6月5日から翌日の未明にかけて行われる
沿道の明かりが全て消されて真っ暗にされ、「暗夜の奇祭」と称される
青竹に1600枚もの奉書紙を短冊に切って束ねた御幣を挟みこんだ高さ約1mほどの球形の梵天を、
お御輿に乗せて渡御が行われる
<鞍馬寺 竹伐り会式>
6月20日
長さ4m、太さ10cmもある青竹を大蛇になぞらえ、
東の「近江座」と、西の「丹波座」に、2人1組で弁慶被りの法師が分かれ、
ほら貝の合図で、法師が、山刀で竹を一気に切り落としその速さを競い、両座の1年の豊凶が占なわれる
儀式の後の竹の切れ端は、お守りになるといわれる
<地主神社 七夕祭>
7月7日
お祓い紙で作られた「七夕こけし」に名前を書いて笹竹に吊るし、良縁達成・恋愛成就を祈願する
<祇園祭 函谷鉾>
7月12日から17日
竹真木
長さ約80cm、幅15mmほどの黒塗りの割り竹を縦横30cmほどの底板を挟み、真木を中心に束ねた関が作られ
下部の30cmほどを本真木にロープで巻かれ固定されている
板の上部には、黒塗り割竹の先を10cmほど突き出して石垣模様の布を巻き、函谷関の関所を表わしている
板の上には、真鍮製で金鍍金された雌雄(しゆう)の鶏が祀られる
<祇園祭 斎竹建>
7月15日
山鉾巡行において、先頭の長刀鉾の稚児により行われる注連縄切りの注連縄を張る斎竹が、
麩屋町の四条通に立てられる
<京の七夕>
8月上旬 鴨川右岸河川敷 三条~四条の間
竹カゴに京の伝統技術を用いた風鈴を入れ、LEDで灯りをともす風鈴灯が、川岸に多くさん置かれる
竹細工と光が融合したオブジェを、みそそぎ川沿いに置かれる
竹を使用したアーチと、LEDで再現する「光の天の川」が作られる
竹で組んだ壁に、風鈴の涼やかな音色と温かな光とコラボレーションした小径ができる
<地蔵盆>
8月23・24日(地蔵菩薩の縁日)
家の2階から、景品を入れたふご(竹や藁で編んだ籠)がロープで降ろされる「ふごおろし」が行われる
<安井金比羅宮 秋季金比羅大祭>
10月1日〜10月11日
1日には、境内三カ所の鳥居に、斎竹を建て注連縄を張る御斎竹神事が行われる
<東福寺塔頭 正覚庵 筆供養>
11月23日
青竹で作られた2mほどの大筆、奉納された古い筆で飾った筆神輿、稚児・山伏のお練り行列が練り歩く
その後、筆塚前に作られた護摩壇で、青竹の大筆と筆・ペン・鉛筆などと護摩木が投げ入れられ炊き上げられる
護摩壇の煙を浴びると、字が上達するといわれる
<顔見世>
11月30日から12月26日
南座で行われる歌舞伎俳優の顔ぶれを披露する興行
竹馬が、ひいき筋から主演役者への贈り物としてロビーに飾られる
他の劇場では見られない独特な慣習
<安井金比羅宮 終い金比羅祭>
12月10日
吉兆稲宝来(いねほうらい)(稲穂に紅白の折鶴や松竹梅を飾り付けた御神札)が新年の縁起物として授与される
鳥居には、約1.5mの稲宝来が取り付けられる
<悪王子社 御霊会>
かつて山鉾巡行の無事を祈願するため、東洞院四条の辻で、四方に斎竹を立て、注連縄を曳き渡し、
神さんに供え物を捧げる神供式が行われた
この辻から山鉾巡行の列が出発していたといわれる
<歳寒三友(さいかんさんゆう)>
冬の寒さにも耐えて松と竹は緑を保ち、梅は花を咲かせるので、慶事・おめでたいものの象徴とされる
松竹梅を3つ揃えて、祝い事の飾りや、立花などに用いられる
<三等級>
食事や品物や席などを3つの等級に分けたとき、松・竹・梅の順番で称される
<清酒「松竹梅(しょうちくばい)」>
伏見の蔵元 宝酒造株式会社の日本酒
1920年(皇紀2580)大正9年「つねに人々のよろこびの酒でありたい」との願いを込めて命名される
<地歌筝曲「松竹梅(しょうちくばい)」>
三役物で、三味線手事の最高の曲といわれる
歌詞には、松に鶴、竹に月、梅に鶯の縁起物があしらわれた慶賀吉祥の曲
三橋勾当(みつはしこうとう)の作曲
<伏見稲荷大社>
眼力社(がんりきしゃ)(眼力さん)
手水鉢の狐は、逆さまの姿勢で竹をくわえている
白鷹大神・荒熊大神
奥に、竹の鳥居が何本も並んでいる
<籠神社>
祭神の彦火明命は、竹で編んだ籠船に乗って、海の彼方の海神の宮(龍宮)に行かれたといわれる故事から、
社名を「籠宮」と称したといわれる
<七福神>
「七福」とは、「仁王護国般若波羅密経」にある「七難七福」に由来するといわれる
その画題として好まれた「竹林の七賢人」になぞらえて、七体の福神を取りそろえたといわれる
<御手洗井>
石の鳥居
竹と松により、七五三縄が飾られるのが慣わしになっている
<阿弥陀寺>
御詠歌
「くれ竹の 林にいます観世音 めぐみも永き 千代原の里」
<神応寺>
神応寺 竹徳五訓
竹の子の如く生き生きと
竹まっすぐが如く実直に
竹しなるが如く柔和に
竹節の如く節度あり
竹根の如く繁茂せん
<瑞光寺>
創建した武士だった元政上人が、竹を好んでいたことから「竹葉庵」とも称される
元政上人御廟(三本竹の墓)
元政上人の遺命により、遺骨は瑞光寺の西隅に葬られ、脩竹を三本立てただけの簡素な墓標とされた
三本の竹の意味は、「一本は、法華経広宣流布のため」「一本は、衆生救済のため」「一本は、両親のため」とされる
縁切り寺
21日間、お参りをした後に、竹の葉を一枚頂いて男性の襟に縫込むと縁が切れるといわれる
<小野篁>
小野篁は、竹から生まれたといわれる
<竹屋町通(たけやまち)>
数え歌「丸竹夷」にも歌われている
<四君子>
竹・梅・菊・蘭の吉祥文様
中国では、それぞれの姿が、礼節と学識をわきまえた聖人君子のような人柄を表すとされ、おめでたい絵柄として尊ばれる