長等山トンネル(ながらやまとんねる)は、大津市と山科区の間にある琵琶湖疏水の第1トンネル
長等山を貫いている
湖西線の長等山トンネルとも交差している
建設当時、日本最長で、日本で最初に竪坑方式(シャフト方式)が採用され掘られた
硬い岩石でできた長等山のトンネル工事は、琵琶湖疏水工事における最大の難関とされる
不意に大量の水が吹き出したり、土砂崩れで作業員が閉じ込められたり困難を極めたといわれる
当時、日本最長だった京都〜大津間の鉄道の逢坂山トンネルの4倍の全長があり、日本最長のトンネルとなる
湖西線の長等山トンネルの建設にともない、古いレンガ巻だったため、一部区間の改築補強工事が行われた
<竪坑方式>
日本最初の竪坑方式で掘られた
工期短縮のために、切羽を増やすための竪坑(シャフト)が、1/3の地点に2か所にある
深い竪穴を掘り、そこから東西へトンネルを掘っていく工法
<竪坑(シャフト)>
直径約5.5m
第1シャフト:深さ47m
大津側の坑口(トンネル入口)から1,695mのところ
第2シャフト:深さ20m
大津側の坑口から2,136mのところにある
<勾配>
京都方向へ1/3,000の下り勾配となっている
<坑口>
第1疏水は、取水口から約800mで長等山のトンネル入口となる
石積みで築かれた屋根つきの荘重な坑口になっている
<長等山(ながらやま)>
大津市中西部にある山
標高354m
「長柄山」「長良山」とも記され、「志賀山(しがやま)」とも称される
三井寺 園城寺の背後にあり、西は京都の如意ヶ岳に続く
東麓の長等公園は、桜の名所
古くから景勝地として知られ、多くの歌に詠まれた
「世中を厭ひがてらに来しかども憂き身ながらの山にぞ有ける」(後撰和歌集 雑三)
「さざなみや志賀の都は荒れにしをむかしながらの山桜かな」(千載集)(平忠度が都落ちするときに詠まれた)
「さざなみの長柄の山の長らへて楽しかるべき君が御代かな」(拾遺和歌集、大中臣能宣)
<如意ヶ岳越えルート>
京と近江を結ぶ東海道のバイパス
東山の大文字山を越え、如意ヶ岳を越えて長等山を経由して、三井寺に下る
現在では、ハイキングコースにもなっている
<湖西線の長等山トンネル>
湖西線のトンネルの2,700m付近で、琵琶湖疏水の第1疏水の第1トンネルと、
第2疏水の連絡トンネルが交差している
最も接近する部分では、下り線と第1疏水との距離が6.43m、下り線と第2疏水との距離が8.40m
湖西線のトンネル工事のときに、第1疏水・第2疏水のトンネルは、古いレンガ巻だったため、
トンネル施工や列車通過の振動に耐え難いため、改築補強工事が行われた