涅槃会(ねはんえ)は、釈迦の入滅(にゅうめつ)の日に行われる、釈迦の遺徳追慕と報恩のための法要
期間中は、仏殿などに、釈迦の入滅の様子を描いた涅槃図が掲げられる
「花供曽」などと称される霰餅(あられもち)や煎り豆などが供えられる
<涅槃(ねはん)>
涅槃とは、サンスクリット語の「ニルヴァーナ」の訳語で、「吹き消すこと」を意味する
煩悩の炎を吹き消し、迷妄のなくなった悟りを開いた心の境地を指す言葉であった
釈迦の入滅(亡くなったこと)をさす言葉としても使われている
釈迦は、クシナガラにある沙羅双樹(さらそうじゅ)のもとで80歳で亡くなったとされる
釈迦が入滅した月日は不明であるが、「ヴァイシャーカ月の満月の日」とされており、中国で陰暦2月15日と定められた
<涅槃会>
釈迦が入滅した日に行われる法会で、現在は3月15日に行われるところが多い
「仏生会(ぶっしょうえ)」「成道会(じょうどうえ)」とともに三大法会とされる
<遺教経(ゆいきょうぎょう)>
遺教経は、釈迦の最後の説法を記したお経
涅槃会で、遺教経などの読誦が行われる
<涅槃図>
涅槃図は、釈迦の入滅の様子を描いたもの
期間中に、仏殿などに掲げられる
中央に、釈迦が、8本の沙羅双樹に囲まれて、頭を北にして西を向き、右脇を下にして横たわっており、
弟子や菩薩、天部、鬼神、動物など森羅万象が嘆き悲しむ様子が描かれている
<花供曽>
涅槃会のお供え菓子
霰餅(あられもち)や煎り豆などが用いられる
「花供曽」「花御供」「花供御」などとも記される
<東福寺>
明兆の筆の大涅槃図が、本堂に掲げられる
猫が描かれている珍しいもの
花供御(はなくそ)が供される
<泉涌寺>
明誉古カン上人の筆の日本最大の大涅槃図が、仏殿に掲げられる
花御供が供される
<真如堂>
127種類の動物や魚類・昆虫など動物の種類の多さでは日本最多といわれる大涅槃図が本堂に掲げられる
猫も描かれている
花供曽が供される
<大報恩寺 千本釈迦堂>
「遺教経」の訓読が行われることから「遺教経会(ゆいきょうぎょうえ)」と称される
<清凉寺>
境内で三基の大松明を燃やし、釈迦の荼毘(だび)を再現される「お松明(おたいまつ)」が行われる
<清水寺>
江戸時代中期の京狩野派の絵師 山口雪渓が描いた涅槃図
2005年(皇紀2665)平成17年
修復が行われ、涅槃会において約140年ぶりに公開される