路頭の儀(ろとうのぎ)(RotounoGi)

路頭の儀(ろとうのぎ)は、賀茂祭(葵祭)のメインイベントである祭儀の一つ

日程:5月15日

場所:京都御所下鴨神社上賀茂神社

 路頭の儀(ろとうのぎ)は、葵祭の祭儀の一つ

 葵祭の祭儀は、「宮中の儀」「進発の儀」「路頭の儀(行列)」「社頭の儀」の四つからなる

葵祭の写真集

【路頭の儀(行列)】

 午前10時に、京都御所内で「進発の儀」が行われ、行列に参加する人馬が、宜秋門(ぎしゅうもん)から出て列を整える

 午前10時30分に、先頭が、建礼門前を出発し「路頭の儀」の行列が始まる
 行列は、総勢511名、馬36頭、4頭、牛車2台、輿1台の平安貴族そのままの風雅な王朝行列
 京都御所を出発し下鴨神社へ、さらに賀茂街道を北上して上賀茂神社へ向かう

 その道のりは約8kmにもおよぶ

 1956年(皇紀2616)昭和31年
 鎌倉時代から途絶えていた斎王に代わる「斎王代」を中心とする女人列が復興された

【隊列】

 先頭 乗尻(のりじり)の騎馬6騎
 第1列 検非違使と山城使およびその従者たち
 第2列 御幣物をかつぎ供奉(ぐぶ)する官人、馬寮使(めりょうつかい)、紫の藤の花で飾られた御所車
 第3列 勅使と勅使に従う舞人(まいびと)
 第4列 楽を奏する倍従(べいじゅう)と内蔵使(くらつかい)、花々で飾った風流傘(ふりゅうがさ)
 第5列 十二単で腰輿に乗る斎王代と斎王列、それに従う女人たち

【登場人物】

 総勢511名、馬36頭、4頭、牛車2台、輿1台

 <勅使(ちょくし)
 行列中の最高位の人で、宮内省式部職の職員が役を務める
 葵祭の本来の目的は、勅使が下鴨神社上賀茂神社で天皇の祝詞を奏上し、お供えを届けることであり、葵祭の主役
 束帯姿に金色の飾太刀を挿し、馬面を付けて唐鞍(からくら)を乗せた馬に乗る

 <斎王代
 賀茂斎王は、賀茂神社(上賀茂神社<下鴨神社)の儀式に奉仕する未婚の皇女
 五衣裳唐衣(いつつぎぬからぎぬ)(十二単衣)に、十二単衣の上に小忌衣(おみころも)を着る
 髪は、おすべらかしで、頂に心葉(こころば)(金属製の飾り物)、日蔭糸(ひかげのいと)(額の両側に下げる飾り)をつける
 懐に紅色の帖紙(たとう)を入れ、桧扇を持つ


 <乗尻(のりじり)>
 行列を先導する騎馬隊
 賀茂競馬会神事の騎手
 左方(さかた)、右方(うかた)に、競争相手として分かれ、衣装も異なる

 <素襖(すおう)>
 行列の先払い、行列の警備にあたる
 藍色の竜の模様の衣・袴のことを「素襖」と称される
 江戸幕府から派遣されたもの

 <看督長(かどのおさ)>
 検非違使庁の役人
 あせた紅色の装束

 <検非遣使志(けびいしのさかん)>
 警察・裁判を司どる役人
 志は、長官より4番目の役職で六位
 縹(はなだ)(うすい藍色)の闕腋袍(けってきのほう)(両腋を開けて縫合せずに仕立てた着物)
 纓(えい)(冠の後ろにたれているうすもの)の巻いた冠に、冠の両耳のところにつける毛で作った飾り物「おいかけ」をつける
 つけ剣を持ち、狩胡ぐい(かりやなぐい)(を入れる器具)を背負う
 は、調度掛が持つ

 <検非遣使尉(けびいしのじょう)>
 太夫尉(だいぶのじょう)で、長官より3番目の役職で五位の判官(はんがん)
 巻いた纓の冠で、おいかけはつけず、縫腋袍(ほうてきのほう)(袖の下より両腋を縫いふさぎ、すそに絹をつけてある着物)
 裾(きょ)(束帯の後ろに長く垂れたもの)は、青朽葉色
 弓つるを懐中して、馬具にも朱緩の辻総(つじふさ)(房の間隔のあるもの)をつける

 <火長(かちょう)>
 検非遣使庁(警察機能)の下級役人

 <山城使(やましろつかい)>
 山城国を治めていた国司庁の次官
 緋色の装束に、太刀を持つ
 行列が、京都御所内を出ると、すぐに洛外になり、国司の所管になるので、警護のために加えられたといわれる
 馬副(うまぞい)、手振(てふり)(馬副の一種)、雑色(ぞうしき)(人夫下僕)、白丁(はくちょう)(御幣櫃などをかつぐ者)等を従える



 <衛士(えじ)>
 律令制下で、諸国から交替で上京し、宮中衛門府の警備にあたった兵士
 御幣物唐櫃(ごへいもつからひつ)を守護する
 紺色の装束に、藁靴(わらぐつ)を履く

 <御幣物唐櫃(ごへいもつからひつ)>
 宮中から上賀茂神社下鴨神社両社へ納められる御幣物(ごへいぶつ)を入れた唐櫃

 <内蔵寮史生(くらりょうのししょう)>
 御幣物を司とる内蔵寮の流外官(りゅうげのかん)(本官の下司)で文官
 上賀茂神社下鴨神社各社で、上職の内蔵使(くらづかい)に御幣物を手渡す役
 内蔵寮は、金銀宝器を保管し、供進の御服、祭の貢物などを司る役所
 七位で、縹色(はなだいろ)の袍の束帯

 <風流傘(ふりゅうがさ)>
 大きな傘に紺布を張り、錦の帽額総(もこうふさ)などをかけ、造花を飾りつけたもの
 袴姿に同じ造花をつけた取物舎人(とりものとねり)の4人が、2人ずつ交代で持つ

 <鉾持(ほこもち)>
 「放免」と称される司庁の下級役人

 <牛車(ぎっしゃ)>
 勅使用の牛車は、最高級車で「唐車」と称される
 現在の唐車は、霊元天皇から下賜されたものといわれる
 周りを軒から、紫の藤の房と杜若の花で飾りつけられる
 淡紅の狩衣姿に鞭を持った牛童が、赤綱で飾った大牛の引き綱を取る
 替牛が、後に続く
 斎王代用は、少し位の下の八葉車
 乗り心地は悪く、乗りなれない者は、よく車酔いを起こしていたといわれる

 <走馬(そうめ)>
 寮馬6匹と、中宮、東宮から献ぜられた馬
 2頭の馬の頭と尾には、葵、桂、紙垂れがつけられる

 <馬寮使(めりょうつかい)>
 走馬を司る左馬允(さまのじょう)(左馬寮の長官より3番目の役職)で六位
 武官の束帯姿で、黒漆のを調度掛に持たせている


 <舞人(まいびと)>
 東遊(あずまあそび)を舞う武官
 東遊とは、平安時代から、民間舞踊が宮中や神社で行われるようになった神事用の歌舞
 舞装束で緋色の無地の闕腋袍(けってきのほう)(両腋を開けて縫合せずに仕立てた着物)に、箔押摺袴(はくすりのはかま)
 巻纓おいかけ(まきえいおいかけ)の冠

 <朧(くとり)>
 内蔵寮の御馬の役人

 <随身(ずいしん)>
 高官の警護にあたる者

 <牽馬(ひきうま)>
 勅使の替え馬
 帰路は、牽馬に乗り換えられる


 <陪従(べいじゅう)>
 歌楽を奏する武官で、勅使に陪従する7名
 葵祭に特有な様式の楽人装束
 帯剣で騎馬する

 <内蔵使(くらつかい)>
 御祭文を捧持する内蔵寮の次官




 <命婦(みょうぶ)>
 一般の女官
 小袿(こうちき)、単、打袴を装い、花傘をさしかける

 <女嬬(にょじゅ)>
 食事を司る女官
 小袿(こうちき)、単、打袴を装う

 <童女(わらめ)>
 行儀見習として奉仕する少女

 <腰輿(およよ)>
 斎王代が乗る乗り物

 <騎女(むまのりおんな)
 斎王代付の神事を司る清浄な巫女(みかんこ)
 騎馬で参向する

 <内持(ないじ)>
 身分の高い貴族の娘から選ばれた女官

 <采女(うねめ)>
 斎院の神事を司る女官
 地方の豪族の娘から選ばれる
 斎王代と同じように額の両側に日蔭糸を垂れて飾る
 彩色模様の青海波(せいがいは)の装束

 <女別当(おんなべっとう)>
 斎院の内持以下、女官を監督する役

 <蔵人所陪従(くらうどどころべいじゅう)>
 斎院の物品や会計を司る蔵人所の雅楽を演奏する文官
 それぞれ楽器を持つ

 <女房車(にょうぼうくるま)>
 斎王の牛車
 葵と桂のほかに、桜、橘の飾りがつけられる

【行列のコース】

 午前10時
 京都御所内で「進発の儀」が行われる
 宜秋門(ぎしゅうもん)から出発して建礼門前を下り京都御苑を出る
 堺町御門 → 丸太町通 → 河原町通 → 下鴨神社
 社頭の儀
 下鴨本通 → 洛北高校前 → 北大路通 → 北大路橋 → 賀茂川堤(賀茂街道) → 上賀茂神社
 社頭の儀

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