社頭の儀(しゃとうのぎ)は、葵祭の祭儀の一つ
葵祭の祭儀は、「宮中の儀」「進発の儀」「路頭の儀(行列)」「社頭の儀」の四つからなる
社頭の儀では、神前で勅使の祝詞の奏上や、東遊舞の奉納、走馬の儀などの儀式が行われる
行列が到着する前に、本殿において本殿祭が行われる
本殿の御扉が開扉され、内陣神饌、外陣神饌、庭積神饌がお供えされ、祝詞が奏上される
10時30分に京都御所を出発した行列が、
11時40分ごろ下鴨神社に到着し、下鴨神社境内で社頭の儀が行われ、
さらに14時20分ごろ上賀茂神社へ向かって出発し
15時30分ごろから上賀茂神社でも社頭の儀が行われる
(上賀茂神社)
15時30分頃、一ノ鳥居前で、行列が参集する
<行列参進>
一ノ鳥居から二ノ鳥居奥の祭場までを、行列が参進する
乗尻、検非違使庁、内蔵寮、馬寮、斎王代と続く
斎王代の参進のときには、蔵人所陪従(くらうどどころべいじゅう)により雅楽が奏される
<勅使参進>
神職に前導され、勅使が、舞人などを従えて、練歩(れんぽ)によりゆっくり参進する
陪従により、雅楽が奏される
<勅使解除(げじょ)>
勅使は、祓幄(はらえあく)で、修祓が行う
解縄(ときなわ)、人形(ひとがた)、切麻(きりぬさ)、陰陽串(おんようぐし)などの祓の道具が用いられる
<御幣物御供>
内蔵使が、宮中からの御幣物を受け取り、橋殿北の案上にお供えされる
<御祭文奏上>
天皇が国家繁栄・国民安泰を祈願する御祭文を、内蔵使から勅使が受け取り、勅使が、橋殿に昇殿して奏上する
御祭文には、紅色の鳥子紙(とりのこがみ)が用いられる
<返祝詞奏上>
宮司により、御祭文と御幣物が、本殿内陣に納められる
宮司は岩上(がんじょう)にて、返祝詞を奏上し、御神意を勅使に伝えられる
<神禄授与>
勅使に、神のみしるしとして、神禄(しんろく)(葵)が授けられる
<御馬牽>
左馬寮、右馬寮の夫々により、奉献される御馬(みうま)2頭が、橋殿を3周し、神覧に供される
<東遊(あずまあそび)>
舞人により、駿河舞と求子舞が舞われ、陪従により歌が唄われ、御神慮が和められる
東国の民間の歌舞が宮中に伝わったものといわれる
<走馬の儀>
走馬は、賀茂祭の由来となったご神託による儀式
神職により、走馬祝詞が奏上され、
一ノ鳥居から二ノ鳥居の参道を、馬寮の馬2頭、賀茂の馬5頭が、一頭づつ駆け抜ける
乗尻は、旧社家により、烏帽子、浄衣により奉仕される
勅使は、御所ノ舎に移動し、拝観される
<退下>
勅使が退下され、神饌が降ろされ、御扉が閉扉され、宮司・祭員が退下する
<御阿礼所走馬の儀>
御阿礼所(みあれしょ)神館(こうだて)にて、走馬の儀が行われる
神饌(しんせん)は、神さまにお供えする食べ物など
主に、内陣神饌、外陣神饌、庭積神饌(にわづみしんせん)の3つある
手を加えず生のままお供えする「生鮮(せいせん)」、塩漬や団子などの「熟饌(じゅくせん)」が用いられる
通常は、葱(ねぎ)など匂いの強いものは神饌に用いられないが、賀茂祭では、「大蒜(おおびる)」と称されるにんにくがお供えされ、
狛犬にも鯛がお供えされる
<内陣神饌>
本殿御扉奥の御内陣常備の御物棚(おものだな)にお供えされる
葵を井桁に組んで桂の枝を挿した葵桂御景物、船御飯、船御餅など
<外陣神饌>
本殿御扉前大床の西側(袮宣方、左方)と東側(祝方、右方)にお供えされる
葵小紋の白布をかけた八足案上に刺身、高杯に団子などの神饌がお供えされる
<庭積神饌>
賀茂祭のために、他所から参られる神々にお供えされる神饌
上盛に、あわびなどの折敷を12枚
その下に、京みょうがなど6種類108枚の、合計120枚が積まれる