黒主山(くろぬしやま)(KuronushiYama) 京都通メンバ
所在地:京都市中京区室町通六角通上ル烏帽子屋町   名所地図情報名所

山鉾:舁山(かきやま)

特徴:大伴黒主の人形に、桜の造花が飾られている

重量:0.67トン(20位)(2008年(皇紀2668)平成20年7月17日巡行時に測定)

旧別称:西行山

 黒主山(くろぬしやま)は、祇園祭における山鉾の一つの山

 謡曲「志賀」にちなみ、大伴黒主(おおとものくろぬし)が桜の花をあおぎ眺めている姿を表している

 山に飾る桜の造花は、粽(ちまき)と一緒に戸口にさすと悪事が入ってこないといわれる

【黒主山の歴史・経緯】


【大伴黒主】

 大伴黒主(大友黒主)(おおとものくろぬし)は、 平安時代の歌人で六歌仙の一人
 生没年不詳
 近江国滋賀郡大友郷の出身

 古今和歌集
 「春雨の ふるは涙か 桜花 散るを惜しまぬ 人しなければ」と詠われている

 序では、撰者の紀貫之により「そのさま卑し いはば、たきぎ負へる山人の、花の陰に休めるがごとし」と記されている

 歌舞伎などでは、天下を狙う大悪人とされた





【黒主山の装飾品】

 かつての山には、真松(しんまつ)の山籠(やまかご)の他に、添山(そえやま)が飾られており、
 黒主山には、茶の添山に満開の桜の木が立てられている

 <御神体(人形)>
 大伴黒主が桜の花をあおぎ眺めている姿
 白髪を髷(まげ)に結って、顎髭(あごひげ)は胸まで伸びている老人
 両手を杖に預け、背をぐっと伸ばして反り返るように桜を見上げている
 鉄色地金襴小袖に紺地竹花宝尽し文様金襴大口袴の上に、納戸地御簾桜文様の水衣を着ている
 1789年(皇紀2449)寛政元年 辻又七郎狛元澄作の銘を持つ

 人形をかざる町家の一階は、折上げ格天井(ごうてんじょう)に造られ、御神体として崇敬されている

 <人形着用の古衣裳2着>
 紺地菊唐草文金襴小袖(こんのじきくからくさもんきんらんこそで)
 1675年(皇紀2335)延宝3年の銘

 萠葱絽地牡丹文色入金襴大口袴(もえぎろじぼたんもんいろいりきんらんおおぐちはかま)
 1711年(皇紀2371)正徳元年の銘

 <水引>
 三方とも五爪龍が3頭ずつで瑞雲と波と岩の精巧な雲龍文の繍珍(しゅちん)
 二番水引は、緋地に菊・牡丹・瑞鳥などの有職風刺繍

 <前懸>
 「萬暦帝龍王図」の五爪龍文錦織
 中国 明の皇帝が即位の時に着用した服といわれる伝 萬暦帝御服(でん ばんれきていぎょふく)
 1989年(皇紀2649)昭和64年/平成元年
 近年、収蔵庫から発見されて復元新調される

 <旧前懸>
 四爪の大小の「波濤飛龍図(はとうひりゅうず)」の中国綴織
 中国 明の時代の官服を裁断したものを組み合わせて仕立てた貴重なもの
 1611年(皇紀2271)慶長16年
 琉球最後の君主 尚寧王(しょうねいおう)が、師の檀王法林寺中興の袋中上人(たいちゅうしょうにん)に献上される
 1817年(皇紀2477)文化14年
 十五世 良暢上人が、黒主山に寄進される
 現在は、京都国立博物館に保管されている

 1817年(皇紀2477)文化14年
 十五世 良暢上人が、琉球王尚寧から袋中上人に賜った「赤地龍文夷嶋綴錦」一掛を黒主山に寄進したもの

 <胴懸>
 草花胡蝶文の綴錦
 1983年(皇紀2643)昭和58年に復元新調された

 <見送>
 2種類が隔年交替で用いられる
 瑞花宝散額 紅地唐子喜遊図(べにじからこきゆうず)の綴錦
 唐子80余名がいろいろな遊びに興じて、鶴・鹿・草花などが描かれている
 中国17世紀の綴錦

 猊額 牡丹双鳳凰文図(ぼたんそうほうおうもん)の綴錦
 上部に玉取獅子、中央から下部に日輪と鳳凰・牡丹・岩組が描かれている
 中国17世紀の綴錦
 1764年(皇紀2424)明和元年の銘がある

 <後懸>
 飛龍文様錦入刺繍
 2000年(皇紀2660)平成12年の新調

 <欄縁>
 ・紅葉・牡丹・芍薬・桐・椿・桜・松の透浮彫

 <隅房金物>
 水引部に方位四神の高浮彫、胴懸部に桜の小枝が2ケ所ずつある





【その他】

 <桜の造花>
 前年の巡行で飾られていたものが宵山で授与される
 粽(ちまき)と一緒に戸口にさすと悪事が入ってこないといわれる

 <粽(ちまき)
 熊笹(くまざさ)で生麩を包んだ食べられる粽(ちまき)

 <土産品>
 黒いあぶらとり紙など

 <西行山>
 かつて、桜の花を愛でる老人ということから「西行山」と称されたこともある


【黒主山へのアクセス】

 市バス 四条烏丸
 地下鉄 四条駅
 阪急電車 烏丸駅

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