伊根祭(いねまつり)は、与謝郡伊根町で、海上安全・大漁・五穀豊穣を祈願して、毎年7月27日・28日に行われる祭礼
宵宮で提灯を掲げた舟が伊根湾を渡り、本祭では祭礼船・神楽船が伊根湾で海上渡御を行う
祇園祭の山鉾が海に浮いているように見えることから「海の祇園祭」と称される
<7月27日>
亀島4区(亀山・耳鼻・立石・高梨)から太刀振り、立石から神楽、平田から稚児舞、日出から神輿をそれぞれ奉納される
夜は、八坂神社と八幡神社に参拝する夜宮がある
各地区から船が出され、提灯の明かりで、宝・王・立などの文字を浮かび上がらせて奉納される
<7月28日>
正午頃
八坂神社で祭典が行われる
大広前では、平田の3人の稚児により、太鼓や笙・笛など雅楽の中、稚児舞が奉納される
午後1時頃
八坂神社の高梨地区対岸の耳鼻地区の神楽船と祭礼船が、亀島から出航し湾内を海上渡御する
高梨の宮の浜で船から降りた一行は、先頭にトッケツ、神楽、新発意(しんぽち)、棒振り、太刀振りの順に
急な石段を上がって八坂神社に宮入りする
午後2時頃
獅子舞や棒振り、太刀振りなどが奉納される
<新発意(しんぽち)>
「天下泰平」「国家安康」と書かれた軍配を持つ
小学校低学年から1人選ばれる
<棒振り>
小学生から2人選ばれる
<太刀振り>
小学校高学年や中学生から6人選ばれる
宵宮で提灯を掲げた船が伊根湾を渡り、本祭では祭礼船・神楽船により伊根湾で海上渡御が行われる
<船屋台>
大祭の年にのみ、亀島4区から、4艘の船が出船する
大祭は、大漁の年に区長協議によって決定される
船屋台の上は舞台になり、歌舞伎や三番叟などが上演される
背後を豪華な見送りで飾られ、海の祇園祭にたとえられる
かつて、伊根湾内で長さ14尋の鯨が捕れ、その収益の銀7貫500目で船屋台が作られたといわれる
「ともぶと」と称される和船7艘を横に接続して土台にして、その上に屋台が組み立てられる
釘を一切使わずに組み立てられる
<宝来山>
亀山地区
宝船と宝来山の飾り
<稲荷山>
耳鼻地区
稲荷神の飾り
<神楽山>
立石地区
龍と虎の飾り
1868年(皇紀2528)明治元年に再建されたもの
<蛭子山>
高梨地区
えびす神が鯛を釣る姿の飾り
1887年(皇紀2547)明治20年頃に再建されたもの
<化粧船>
船屋台には1艘につき1艘の「化粧船」が付く
船屋台で上演される歌舞伎などに出演する役者らが着替えたり、化粧をするための船として用いられる