法然上人二十五霊場(ほうねんしょうにんにじゅうごれいじょう)は、浄土宗の開祖である法然上人ゆかりの寺院を巡る霊場巡拝
法然上人の教えは、身分や能力、男女を問わず、一心に念仏を称えればみな極楽浄土に往生できるという
法然上人の足跡を巡る霊場として、参拝された関西地域の遺跡や、誕生の地の岡山県、流罪先の香川県などを含み、
浄土宗、天台宗や真言宗、和宗、華厳宗などの寺院を巡る
25霊場を巡拝するのは、法然上人の命日が1月25日であることや、念仏来迎の二十五菩薩の数にちなむといわれる
<第一番 誕生寺(岡山県久米南町)> 浄土宗 法然上人御誕生地
<第二番 法然寺(香川県高松市)> 浄土宗
<第三番 十輪寺(兵庫県高砂市)> 浄土宗
<第四番 如来院(兵庫県尼崎市)> 浄土宗
<第五番 勝尾寺 二階堂(大阪府箕面市)> 高野山真言宗
<第六番 四天王寺 阿弥陀堂(念仏堂)(大阪市天王寺区)> 和宗
<第七番 一心寺(大阪市天王寺区)> 浄土宗
<第八番 報恩講寺(和歌山市)> 西山浄土宗
<第九番 知恩教院 奥院(奈良県葛城市)> 浄土宗
<第十番 法然寺(奈良県橿原市)> 浄土宗
<第十一番 東大寺 指図堂(奈良市)> 華厳宗
<第十二番 欣浄寺(伊勢市)> 浄土宗
<第十三番 清水寺 阿弥陀堂>
北法相宗
法然上人が日本で最初に常行念仏を修した所
左須弥壇には、法然上人の木像が安置されている
御詠歌「阿弥陀仏と 十声唱えて まどろまん 長き眠りと なりもこそすれ」
「清水の 滝へまいれば おのづから 現世安穏後生極楽」
<第十四番 正林寺>
浄土宗
法然上人を戒師として出家した九条兼実が、法然上人を招くために建立した小松谷御房が由来
御詠歌「千歳ふる 小松のもとを 住みかにて 無量寿仏の 迎へをぞ待つ」
<第十五番 源空寺>
浄土宗
法然上人が、寺院を創建した天台宗の僧 蓮乗房 忍空上人を浄土宗に改宗させた
法然上人を勧請開山とし、念仏道場として、法然上人自作の「張貫の御影」を安置した
御詠歌「一声も 南無阿弥陀仏と 言う人の 蓮の上に 上らぬはなし」
<第十六番 粟生光明寺>
西山浄土宗
熊谷直実(蓮生法師)が法然上人を開基として創建する
法然上人が最初に念仏を説いた念仏発祥の地「浄土門根元地」といわれる
法然上人の自作といわれる「張子の御影」を所蔵する
御詠歌「露の身は ここかしこにて 消えぬとも 心は同じ 花のうてなぞ」
<第十七番 二尊院>
天台宗
九条家の協力を得て、法然上人が中興した中興の祖
「七箇条制誡」が所蔵されている
御詠歌「足びきの 山鳥の尾の しだり尾の 永水し世を 祈るこの寺」
<第十八番 月輪寺>
天台宗
法然上人と親鸞聖人が、承元の法難により流罪にされる前に、親鸞聖人の養父 九条兼実を訪ねて別れを惜しみ、
3人がそれぞれの自身の木像を刻み形見にしたといわれる
御詠歌「月影の 至らぬ里は なけれども 眺むる人の 心にぞ住む」
<第十九番 法然寺>
浄土宗
法然上人のもとで出家した源平合戦で活躍した武士 熊谷直実(蓮生)による創建
御詠歌「ただ頼め よろづの罪は 深くとも 我が本願の あらん限りは」
<第二十番 誓願寺>
浄土宗西山深草派総本山
法然上人が、法相宗の蔵俊僧都から譲られる
御詠歌「極楽は 遥けきほどと 聞きしかど つとめて至る 所なりけり」
<第二十一番 勝林院>
天台宗
法然上人が招かれて、各宗の学僧と浄土の宗論を論談された「大原談義」「大原問答」が行われたところ
御詠歌「阿弥陀仏に 染むる心の 色に出でば 秋の梢の たぐいならまし」
<第二十二番 百萬遍知恩寺>
浄土宗
法然上人が43才のとき、浄土の宗門を開き、比叡山を降りて、西山の広谷を経て、賀茂社の神宮寺の草庵に止宿し、
布教の地とされたのが由来
法然上人と第二世 源智上人の墓石を覆うように廟堂が建てられている
御詠歌「我はただ 仏にいつか 葵草 心のつまに 掛けぬ日ぞなき」
<第二十三番 清浄華院>
浄土宗
本尊:法然上人御影像
中興の祖:法然上人
御詠歌「雪のうちに 仏の御名を 唱ふれば 積もれる罪ぞ やがて消えぬる」
<第二十四番 金戒光明寺>
浄土宗
法然上人が初めて草庵を創建した浄土宗の最初の寺院
知恩院と並ぶ格式をもつ浄土宗の大本山
御詠歌「池の水 人の心に 似たりけり 濁り澄むこと 定めなければ」
<第二十五番 知恩院>
浄土宗
法然上人御影像を本尊とする
法然上人が初めて教えを説いた念仏の聖地で、法然上人が後半生を過ごし没したゆかりの地に建てられた寺院
弟子の源智上人が、法然上人の廟堂を復興して寺院として整える
「法然上人絵伝」四十八巻を所蔵する
御詠歌「草も木も 枯れたる野辺に ただ一人 松のみ残る 弥陀の本願」
<縁故本山 禅林寺 永観堂>
浄土宗西山禅林寺派
禅林寺12世 静遍僧都が、法然上人に帰依し、念仏門に入る
法然上人の高弟 證空(しょうくう)(西山)も、静遍僧都の後を嗣いで、禅林寺に住持したといわれ、浄土宗西山派の開祖となる
御詠歌「南無阿弥陀 とばかり聞くぞ 身を変えぬ この世ながらの 仏なりけり」
<特別霊場 延暦寺黒谷 青龍寺(滋賀県大津市)>
天台宗
法然上人が18歳のとき、黒谷の慈眼房叡空の房で、聖僧としての道を歩まれはじめた
御詠歌「たつ杣や 南無阿弥陀仏の 声引くは 西に誘う 秋の夜の月」
<二十五霊場成満之證>
二十五霊場を成満(じょうまん)すると「成満之證」が授与される