地蔵菩薩(じぞうぼさつ)は、仏像における菩薩の一つ
釈迦の入滅後から、弥勒菩薩が56億7000万年後に現世に出現するまでは、この世には仏がいない状態とされているため、
その間、六道のすべての世界に現れて、衆生(しゅじょう)に教え導くき、全てのものを救済する菩薩
大地が全ての命を育む力を蔵するように、苦悩の人々を、その無限の大慈悲の心で包み込み、救う所から名付けられたといわれる
道祖神と神仏習合して、全国各地の道の辻や道端、橋のたもとなどでお地蔵さんの石像が多く祀られた
子供の守護尊として、地蔵菩薩の縁日である7月24日に、近くのお地蔵さんに子供を集めた地蔵盆が行われる
<サンスクリット語(梵語)での名前>
クシティガルバ
クシティは「大地」、ガルバは「胎内」「子宮」の意味から「大地を母胎とするもの」といわれる
「地蔵」と意訳される
「持地」「妙憧」「無辺心」とも訳される
大地が全ての命を育む力を蔵するように、苦悩の人々を、その無限の大慈悲の心で包み込み救うことから名付けられたといわれる
<地蔵菩薩本願経(ほんがんきょう)>
仏になることを延期して、菩薩の状態にとどまり、衆生の罪苦の除去を行うことを本願とされる
「我が名前を唱える人を苦から救う」という誓願をたて、梵天・夜叉・狼・閻魔などさまざまの姿をとって衆生を導くとされる
かつて二王がいて、一王は自ら悟ってから衆生を救おうとして、一王はまず衆生を悟らせてから自らも悟ろうとした
前者は一切智成就如来、後者は地蔵菩薩であると記されている
善男善女のための二十八種利益と、天龍鬼神のための七種利益が説かれている
その他、「十輪経」「陀羅尼集経」にも登場する
<姿(像容)>
剃髪した修行僧の姿で、釈迦如来と同様に簡素な衣(袈裟)を身にまとう
首飾りや瓔珞(ネックレス)を付けるか、装飾品を身に着けない場合もある
左手に如意宝珠、右手に錫杖(しゃくじょう)を持つ
または、左手に如意宝珠を持ち、右手は与願印(掌をこちらに向け下へ垂らす)の印相をとる像が多い
<密教の胎蔵曼荼羅>
地蔵院の中尊
髪を高く結い上げ、装身具を身に着けた通常の菩薩の姿をしている
右手は、右胸の前で日輪を持ち、左手は左腰に当てて幢幡を乗せた蓮華を持つ
<ご利益>
無病息災、五穀豊穣、交通安全、水子祈願、安産、子授け、子供守護、先祖菩提、戦勝祈願など様々なご利益がある
<真言>
オン・カカカ・ビサンマエイ・ソワカ
<お地蔵さん>
寺院で祀られている地蔵菩薩ではなく、親しみのある地蔵菩薩
京都の多くの各町内や、路地に祀られている地蔵菩薩
8月23日・24日には各町内では地蔵盆が行われる
<六地蔵>
仏教の全ての生命は6種の世界に生まれ変わりを繰り返すとする「六道輪廻の思想」に基づき、
六道のそれぞれを6種の地蔵が救うといわれ、地蔵菩薩を6体並べて祀られることがある
地獄道 檀陀地蔵(だんだじぞう)・金剛願地蔵
餓鬼道 宝珠地蔵・金剛宝地蔵
畜生道 宝印地蔵・金剛悲地蔵
修羅道 持地地蔵・金剛幢地蔵
人間道 除蓋障地蔵(じょがいしょうじぞう)・放光王地蔵
天界道 日光地蔵・預天賀地蔵
姿は定まっておらず、合掌姿であったり、蓮華、錫杖、香炉、幢、珠数、宝珠などを持つ場合がある
<二十八種利益>
「地蔵菩薩本願経」に記されている、善男善女のための28のご利益
1 天龍護念 天と龍が守護をしてくれる
2 善果日増 善い行いの成果が日々増していく
3 集聖上因 悟りの境地へ至る因縁が集まってくる
4 菩提不退 悟りの境地から後戻りしない
5 衣食豊足 衣服や食物に満ち足りる
6 疾疫不臨 疫病にかからない
7 離水火災 水難や火災を免れる
8 無盗賊厄 盗賊による災厄に遭わない
9 人見欽敬 人々が敬意を払って見てくれる
10 神鬼助持 神霊が助けてくれる
11 女転男身 女性から男性に生まれかわれる
12 為王臣女 王や大臣の令嬢になれる
13 端正相好 端正な容貌に恵まれる
14 多生天上 天界に生まれ変われる
15 或為帝王 あるいは人間界に生まれ変わって帝王になる
16 宿智命通 過去の命を知る智慧を持ち、この世に通ずる
17 有求皆従 要求をすれば皆が従ってくれる
18 眷属歓楽 眷属が喜んで従ってくれる
19 諸横消滅 諸々の理不尽な事が消滅していく
20 業道永除 地獄などの悪い世界に生まれ変わらせられる業道から除かれる
21 去処盡通 思った場所に うまく行ける
22 夜夢安楽 睡眠中に安らかな夢を見る
23 先亡離苦 先祖・先亡の霊が苦しみから解放される
24 宿福受生 過去に行った善行によって良い生まれを受ける
25 諸聖讃歎 諸聖人が讃えてくれる
26 聰明利根 聡明で利発になる
27 饒慈愍心 慈悲の心に溢れる
28 畢竟成佛 必ず仏に成る
<七種利益>
「地蔵菩薩本願経」に記されている、天龍鬼神のための7つのご利益
1 速超聖地 さらに すぐれた境地へ速やかに進める
2 悪業消滅 悪いカルマが消滅する
3 諸佛護臨 諸々の仏が護ってくれる
4 菩提不退 悟りの境地から後退しない
5 増長本力 本来持っていた能力が増幅される
6 宿命皆通 過去世の全てに通ずる
7 畢竟成佛 必ず仏に成る
<六地蔵めぐり>
<醍醐寺>
木造 地蔵菩薩立像(重要文化財)
絹本著色 地蔵菩薩像(重要文化財)
<大善寺>
木像 地蔵菩薩立像(重要文化財)
<放生院>
地蔵菩薩像(重要文化財)
<法金剛院>
木造 地蔵菩薩立像(重要文化財)
<寂光院>
木造 地蔵菩薩立像(重要文化財):六万体地蔵尊菩薩と称される
聖徳太子の作ともいわれる
<浄瑠璃寺>
子安地蔵菩薩立像(重要文化財)
延命地蔵菩薩立像(重要文化財)
<広隆寺>
木造 地蔵菩薩立像(重要文化財):埋木地蔵と称される
木造 地蔵菩薩坐像(重要文化財)
<壬生寺>
木造 地蔵菩薩立像(重要文化財)
<成相寺>
木造 地蔵菩薩坐像(重要文化財)
<六波羅蜜寺>
木造 地蔵菩薩坐像(重要文化財)
木造 地蔵菩薩立像(重要文化財)
<清凉寺>
木造 地蔵菩薩立像(重要文化財)>
<清和院>
木造 地蔵菩薩立像(重要文化財):高さ167cmの等身、玉眼入り極彩色
<石像寺>
石造 地蔵菩薩立像(重要文化財):釘抜地蔵と称される
<善願寺>
地蔵菩薩坐像(重要文化財):定朝様の桧材の寄木造、京都市内最大級の像高268.2cmの丈六像
<当尾>
当尾磨崖仏文化財環境保全地区に多くの石仏が残されている
<地蔵院>
京都府最大級の石造「平地地蔵」「あざとり地蔵」(京丹後市指定文化財)、冬に向けて蓑着せが行われる
平安時代以降、浄土信仰が普及して、極楽浄土に往生できなかった衆生は、必ず地獄へ堕ちるという信仰が強まり、
天上から救済活動を行う他の仏や菩薩と違い、自ら六道を巡る地蔵菩薩に対して、地獄における責めや苦みからの救済を
求めるようになる
出家僧の姿で表され、地獄・餓鬼・修羅など六道をめぐりながら、人々の苦難を身代わりとなって受けて救う代受苦の菩薩とされた
道祖神と習合して、日本全国の道の辻や道端、橋のたもとなどで石像が数多く祀られた
<子供の守護尊>
特に、地蔵菩薩を子供の守護尊とされる
仏教歌謡「西院河原地蔵和讃」により、賽の河原で責められる子供を地蔵菩薩が守る姿が歌われ、
子供や水子の供養において地蔵信仰が普及した
「子安地蔵」と称される子供を抱く地蔵菩薩も祀られることが多い
<地蔵盆>
地蔵菩薩の縁日である7月24日に、近くの地蔵菩薩に子供を集めたお祭が行われる
化野念仏寺では、千灯供養が行われる
<盂蘭盆会(うらぼんえ)>
年に1度、中元の季節に、祖先の霊が、この世の家族のもとへかえって供養を受ける
<勝軍地蔵>
愛宕権現(愛宕大神)の本地仏とされる
「地蔵菩薩本願経」「十輪経」「陀羅尼集経」によると、
「煩悩の賊、天魔の軍に勝つ」「軍陣闘戦に際して難を免れる」などと記されている
幡(軍旗)や剣などを持ち、甲冑姿で、踏割蓮華に立つ立像や、神馬にまたがる騎馬像で表される
敏達天皇年間(572年〜586年)
日羅が勝軍地蔵を信仰したといわれる
大宝年間(701年〜704年)
役小角が白山修験の開祖とされる泰澄と愛宕山(愛宕神社)に登ったとき、
勝軍地蔵が、龍樹菩薩、富楼那尊者、毘沙門天、愛染明王を伴い大雷鳴とともに現れ、
天下万民の救済を誓った地蔵菩薩であったといわれる
「元亨釈書」には、
清水寺の延鎮が、勝軍地蔵と勝敵毘沙門天の両尊に坂上田村麻呂の戦勝祈願を行ったことが記されている
<子安地蔵>
子供を抱く姿で祀られる
<子育て地蔵>
<夜泣き地蔵>
<乳貰い地蔵>
<腹帯地蔵>
<親子地蔵>
<鼻取り地蔵>
田の代掻(しろか)きのとき、馬の鼻取りの役を子供に代わって地蔵がしてくれるという伝説がある
<田植地蔵>
<雨降地蔵>
<雨止み地蔵>
<延命地蔵>
<いぼ取り地蔵>
<縛り地蔵>
<お初地蔵>
<刺抜き地蔵>
<夢見地蔵>
三福寺
洛陽四十八願所地蔵めぐり第26番札所