虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)は、仏像における菩薩の一つ
宇宙のすべてのものを含み、虚空がすべてを蔵するように、無量の福徳や智慧を持ち、
常に、無限の知恵と慈悲の心を衆生(しゅじょう)に与えて諸願を成就させる菩薩
「虚空蔵」とは、宇宙のような無限の知恵と慈悲が収まっている蔵(くら)を意味する
毎年4月13日には、法輪寺などにおいて、13歳になった子供たちが智恵を授かりに行く十三まいりが行われる
虚空蔵菩薩は、頭の良さや学問、知識などの知恵を司り、
文殊菩薩は、悟りへ到るための智慧、物事のあり方を正しく見極める力や判断力を意味する智慧を司っている
<サンスクリット語(梵語)での名前>
アーカーシャガルバ
「虚空の母胎」といわれ、広大な宇宙のような虚空がすべてを蔵するように、無限の智恵と慈悲を持っているという意味がある
<説かれている経典>
「大集大虚空蔵菩薩所問経」
「虚空蔵菩薩経」
「虚空孕菩薩経」
「五大虚空蔵菩薩速疾大神験秘密式経」など多数で説かれている
<姿(像容)>
一面二臂の菩薩形の像
右手に智慧の宝剣、左手に福徳の如意宝珠を持っている
<密教の胎蔵界曼荼羅(たいぞうかいまんだら)>
虚空蔵院の中尊とされる
蓮華座に座り、頭に五智宝冠をのせ、右手に光炎のある智慧の宝剣、左手に福徳の如意宝珠を載せた蓮華を持つ
釈迦院では、釈迦如来の脇侍とされる
<密教の金剛界曼荼羅>
賢劫十六尊の一つとされる
<虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)の本尊>
求聞持法の修行により、無限の記憶力がつき、仏の知恵を体得することができるといわれる
本尊の虚空蔵菩薩は、右手は掌を見せて下げる与願印(よがんいん)の印相で、左手には如意宝珠を持つ
<ご利益>
成績向上、記憶力増進、頭脳明晰、商売繁盛、技芸向上など
丑年・寅年の守り本尊で、丑年・寅年に生まれた人々の開運、厄除け、祈願成就を助けるといわる
<真言>
オン・バサラ・アラタンノウ・オン・タラク・ソワカ
<五大虚空蔵菩薩>
息災・増益(ぞうやく)や除災を願って行う修法の本尊とされる
虚空蔵菩薩の5つの智恵を5体の虚空蔵菩薩像で表したもの
五智如来の変化身ともいわれる
法界虚空蔵:中央:白色
金剛虚空蔵:東方:黄色
宝光虚空蔵:南方:青色
蓮華虚空蔵:西方:赤色
業用虚空蔵:北方:黒紫色
<神護寺>
木造 五大虚空蔵菩薩坐像(国宝)
空海の没後、弟子の真済(しんぜい)が、宝塔を建て安置した秘像
塔内向かって右から金剛虚空蔵菩薩坐像(緑青)・蓮華虚空蔵菩薩坐像(赤)・法界虚空蔵菩薩坐像(白)・
業用虚空蔵菩薩坐像(黒)・宝光虚空蔵菩薩坐像(黄)の順に横一列に坐す
<醍醐寺>
木造 虚空蔵菩薩立像(国宝)
絹本著色 虚空蔵菩薩像(重要文化財)
<東寺 観智院>
五大虚空蔵菩薩像(重要文化財)
虚空蔵菩薩の5つの無尽の智恵を5体の菩薩像で表したもの
それぞれ結跏趺坐(けっかふざ)して鳥獣の上の蓮華座に乗っている
向かって右側から金剛虚空蔵(獅子)、宝光虚空蔵(象)、法界虚空蔵(馬)、業用虚空蔵(孔雀)、蓮華虚空蔵(迦楼羅(かるら)
<広隆寺>
木造 虚空蔵菩薩坐像(重要文化財)
<安祥寺>
五大虚空蔵像(重要文化財)
<法輪寺>
本尊:虚空蔵菩薩像(日本三大虚空蔵の一つ)
十三まいりが行われる
<放生院>
丑年・寅年生まれの守本尊
<愛宕念仏寺>
智恵守り
<十三まいり>
法輪寺において、毎年4月13日に行われる
13歳になった子供たちが虚空蔵菩薩に智恵を授かりに参拝する
<三人寄れば文殊の智恵>
本来は、文殊菩薩は、悟りへ到るための智慧、物事のあり方を正しく見極める力や判断力を意味する智慧を司っている
頭の良さや学問、知識などの知恵を司るのは虚空蔵菩薩であるが、混同して用いられるようになった
<明けの明星>
虚空蔵菩薩の化身・象徴とされる
<虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)>
作法に則って、虚空蔵菩薩の真言を100日間かけて100万回唱えるという修行
無限の記憶力がつき、仏の知恵を体得することができるといわれる
空海が、室戸岬の洞窟 御厨人窟に籠もって求聞持法を修したといわれる
日蓮聖人が、12歳の時、仏道を志すにあたって虚空蔵菩薩に21日間の祈願を行ったといわれる