勢至菩薩(せいしぼさつ)は、仏像における菩薩の一つ
偉大な智慧の光ですべてのものを照らし、人々に菩薩心の元を与え、無上の力を得させ、迷いや苦しみから救うとされている
「智慧」とは、物事のあり方を正しく見極める力や判断力を意味する
人々の臨終のときには、阿弥陀如来とともに来迎して、餓鬼・畜生・地獄の三悪道から救い、極楽に導くといわれる
阿弥陀如来の右脇侍として、観音菩薩と共に阿弥陀三尊で祀られ、独尊で祀られることはほとんどない
<サンスクリット語(梵語)での名前>
マハースターマプラープタ
「偉大な勢力を得たもの」という意味があり、「大勢至菩薩」と漢訳される
<説かれている経典>
「観無量寿経」には、
「智慧を持って遍く一切を照らし、三途を離れしめて、無上の力を得せしむ故、大勢至と名ずく」と記されている
「薬師如来本願功徳経」では、八大菩薩の一尊とされる
<姿(像容)>
阿弥陀如来の右脇侍として、観音菩薩とともに三尊で祀られる
合掌する姿や来迎印の姿で、宝冠の前面に宝瓶や水瓶を付ける
観音菩薩は、死者の霊をのせる蓮台を捧げ持つ姿で、宝冠の前面には化仏を付ける
<ご利益>
智慧明瞭、家内安全、除災招福のご利益があるといわれる
午年の守護本尊であり、午年に生まれた人々の開運、厄除け、祈願成就を助けるといわれる
<真言>
オン・サンザンサク・ソワカ
<三千院>
勢至菩薩坐像(国宝)
両脇侍の観音菩薩像・勢至菩薩が大和坐りをしている珍しい阿弥陀三尊坐像
<清水寺>
木造 勢至菩薩立像(重要文化財)
<石像寺>
木造 勢至菩薩立像(重要文化財):阿弥陀三尊像
<知恩院>
勢至堂の本尊 勢至菩薩像:法然上人の本地とされ、来迎形式のように合掌している
その他、勢至菩薩が祀られている寺院
<油掛地蔵>
<長講堂>
<長仙院>
<永観堂>
<岩船寺>
<放生院>
<法然院>
<光縁寺>
<廬山寺>
<清凉寺>
<誠心院>
<即成院>
<善願寺>
<瑞春院>
<法然信仰>
浄土宗において、法然上人は勢至菩薩の化身といわれる
法然上人の幼名を「勢至丸」といい、「智慧第一の法然坊」といわれる