如来(にょらい)は、仏像における最高位の仏さんのこと
上位から「如来」「菩薩」「明王」「天部」「垂迹」「羅漢」の6種類に分けられる
如来は、「悟りを開いた者」「真覚に到達した者」「覚者」とされる自性輪身(じしょうりんしん)の姿といわれる
宇宙の真理そのもので、悟りを開いた救い主として存在する
菩薩は、修業中の仏になる前の姿、明王や天部は仏法を守護する姿とされる
当初は、如来は釈迦のことを指していたが、仏教の教えが多様に発展して色々な如来が出現した
如来の身体には、32相80種の身体的特徴がある
髪型は、螺髪(らほつ)と称される髪の毛が右巻きの巻き貝のようになった固まりが多くさんある
衣服は、全身を一枚の布だけで覆うシンプルな姿で、薬師如来以外は何も持っていない
各如来には、多くの菩薩が従っていることもある
<四如来>
釈迦如来・大日如来・阿弥陀如来・薬師如来のことを「四如来」と称する
<釈迦如来>
悟りを開いた救い主として、仏教の象徴となる仏さん
釈迦如来とも称される
<大日如来>
宇宙の真理そのもので、すべてを知る仏さん
華厳宗の本尊
<阿弥陀如来>
西方の極楽浄土に住んでおられ、極楽浄土に導く仏さん
無量寿仏、無量光仏とも称される
<薬師如来>
東方にある瑠璃光浄土に住んでおられ、病気を治して衣食住を満たしてくれる仏さん
薬師瑠璃光如来とも称される
<五智如来>
金剛界五仏とも称される
・大日如来(遍照如来、毘盧舎那如来)
・阿しゅく如来
・宝生如来
・観自在王如来
・不空成就如来
<胎蔵界五仏>
<多宝如来>
<毘盧舎那如来>
盧遮那仏、遍照遮那仏とも称される
<弥勒如来>
弥勒菩薩が、未来に釈迦の後継者の如来となったときの未来仏
<普賢王如来>
法身普賢王如来、法身普賢とも称される
<定光如来>
燃燈仏とも称される
<過去七仏>
釈迦とそれ以前に出世された7人の仏
<天王如来>
<大通智勝如来>
<釈迦如来(清凉寺)>
<薬師如来(因幡薬師堂 平等寺)>
<阿弥陀如来(長野 善光寺)>
仏さんの姿には「相好(そうこう)」と称される32相80種好の特徴があるといわれる
見た目で分かる32相と、微細な80種好の特徴があり、仏像や仏画は、これに従って作成される
<1 足下安平立相(そくげあんぴょうりゅうそう)>
足の裏が平らで、地を歩くとき足裏と地面とは密着して、その間には髪の毛ほどの隙もできない
<2 足下二輪相(そくげにりんそう)>
足の裏には輪形の相(千輻輪宝)がある
仏足石は、足の裏の相を表したもの
<3 長指相(ちょうしそう)>
10本の手足の指は長くて繊細になっている
<4 足跟広平相(そくげんこうびょうそう)>
足のかかとは、広く平らになってい
<5 手足指縵網相(しゅそくしまんもうそう)>
手足の指の間に鳥の水かきのような金色の膜がある
<6 手足柔軟相(しゅそくにゅうなんそう)>
手足は柔らかで、紅赤の色になっている
<7 足趺高満相(そくふこうまんそう)>
足趺(足の甲)は、亀の背のように厚く盛り上がっている
<8 伊泥延膊相(いでいえんせんそう)>
足のふくらはぎは、鹿王のように円くて微妙な形をしている
<9 正立手摩膝相(しょうりゅうしゅましっそう)>
正立(直立)したとき両手が膝に届き、手先が膝をなでるくらい長い
<10 馬陰蔵相(めおんぞうそう)>
陰部(性器)は、馬のように体内に隠されている
<11 身広長等相(しんこうじょうとうそう)>
身長と両手を広げた長さが等しい
<12 毛上向相(もうじょうこうそう)>
体の全ての毛の先端が全て上向きに生えていて、右に巻いて、柔らかく、紺青色をしている
頭には、毛髪が右巻きの巻き貝のような固まりになった螺髪(らほつ)が多くさんある
<13 一一孔一毛生相(いちいちくいちもうしょうそう)>
身体の毛穴にはすべて一毛が生えていて、その毛孔から微妙の香気を出し、毛の色は青瑠璃色をしている
<14 金色相(こんじきそう)>
身体手足全て黄金色に輝いている
<15 丈光相(じょうこうそう)>
身体から四方各一丈の光明を放っている
光背は、この後光(ごこう)を表現している
<16 細薄皮相(さいはくひそう)>
皮膚は薄くきめ細かく、一切の塵垢不浄を付けない
<17 七処隆満相(しちしょりゅうまんそう)>
両掌と両足の裏、両肩、うなじの七所の肉が円満で浄らか
<18 両腋下隆満相(りょうやくげりゅうまんそう)>
両腋の下(脇の下)にも肉が付いていて、凹みがない
<19 上身如獅子相(じょうしんにょししそう)>
上半身に威厳があり、獅子王のように威風堂々としている
<20 大直身相(だいじきしんそう)>
身体が広大端正である
<21 肩円満相(けんえんまんそう)>
両肩の先が丸く豊かである
<22 四十歯相(しじゅうしそう)>
40本の歯があり、それらは雪のように白く清潔である
<23 歯斉相(しさいそう)>
歯はみな大きさが等しく、硬く密であり、一本のように並んでいて美しい
<24 牙白相(げびゃくそう)>
40歯以外に四牙あり、特に白く大きく鋭利堅固である
<25 獅子頬相(ししきょうそう)>
両頬が隆満して獅子王のようである
<26 味中得上味相(みちゅうとくじょうみそう)>
何を食べても、その食物の最上の味を味わえる
<27 大舌相(だいぜつそう)>
舌が軟薄で広く長く、髪の生え際にまで届く
<28 梵声相(ぼんじょうそう)>
声は清浄で、遠くまで聞え、聞いた者は得益無量ならしめる
<29 真青眼相(しんしょうげんそう)>
眼は青い蓮華のように紺青である
<30 牛眼睫相(ぎゅうごんしょうそう)>
牛王(ごおう)のような、長く整っているまつげをもつ
<31 頂髻相(ちょうけいそう)>
頭上の肉が盛り上がり、髻(もとどり)の形になっている肉髻(にっけい)がある
誰も見ることができないから「無見頂相(むけんちょうそう)」とも称される
<32 白毫相(びゃくごうそう)>
眉間に光明を放つという右巻きの白い毛があり、伸びると一丈五尺ある
眉間から放たれる光を「毫光(ごうこう)」「眉間光」と称される
<その他の特徴>
簡単な衲衣(のうえ)と称される法衣をまとい、装飾品は一切つけていない
手には何ももたず、印相(いんぞう)とよぶ手印(しゅいん)を結んでいる