毘盧舎那如来(びるしゃなにょらい)は、仏像における如来の一つ
毘盧舎那とは太陽の意味であり、宇宙の中心から太陽のように照らし続けるといわれる仏さん
宇宙の真理を全ての人々に照らして、悟りに導く仏さん
毘盧舎那如来は、釈迦が、心理を悟り、それを仏法として人々に伝えた、その心理そのものとされる法身仏(ほっしんぶつ)
法身仏とは、仏教の教えそのものを神格化した仏さん
毘盧舎那如来がいなければ釈迦は心理を悟ることができず、仏法が人々に伝わらなかったといわれる
密教においては大日如来と同一視される
<経典>
毘盧舎那如来は、大乗仏教の経典「華厳経」に本尊として登場する
宇宙そのものを象徴する仏さん
毘盧舎那仏の光は全界を照らし、自身から分身・化身たる化仏たちを生み出し、必要なところに遣わせるといわれる
真言宗などの密教においては、同じ起源を持つ「マハー・バイローチャナ・ブッダ(大日如来)」も説かれる
大日如来は、毘盧舎那仏と異なり、自ら積極的に説法を行うといわれ、
大日如来が説いたとされる経典の一つである「大日経」では、毘盧舎那仏という表記もされ、
「金剛界大日如来心咒」と「毘盧舎那仏咒」は同じ文面といわれる
<サンスクリット語名>
Vairocana(バイローチャナ・ブッダ)
「バイローチャナ」とは「光明遍照(こうみょうへんじょう)」「遍く照らす者」という意味がある
<姿(像容)>
蓮華台座や光背にはたくさんの釈迦如来が描かれており、教えを説いているとされる
右手は施無畏印、
左手は与願印を結ぶ
蓮華台座には1000の連弁があり、そのそれぞれが100億の世界を持っているとされる
毘盧舎那は1000の釈迦如来を化現し、そのそれぞれがまた100億の釈迦如来を現して世界を説法するとされ、
仏の智恵のはかり知れない大きさを象徴し、十方諸仏を包括し、広大な仏教世界の中心に君臨しているといわれる
印相(手と指の形)は、施無畏与願印で、右手が施無畏印、左手が与願印
<ご利益>
現世安穏、所願成就など
<真言>
ナウマク サマンダボダナン アビラウンケン
「華厳経」を根本聖典とする華厳宗が少数派であり、毘盧舎那如来の作例は少ない
<東大寺(奈良)>
「奈良の大仏」と称される
聖武天皇の発願により造られた
<欣浄寺>
本堂の本尊に、「伏見大仏」と称される丈六の毘盧舎那如来と、阿弥陀如来像、道元禅師石像などが祀られている
<法勝寺>
金堂の本尊に、奈良東大寺の大仏殿と同じ毘盧遮那如来が祀られている