吉祥天(きっしょうてん)は、仏教の護法神である天部の一つ
福徳の女神として七福神の一つとされていたときもあった
仏教では毘沙門天の妃とされ、毘沙門天の脇に置かれていることもある
<インドの女神>
ヒンドゥー教では「ラクシュミー(ユリー)」と称される
富・幸福・豊穣の女神、最高神ヴィシュヌの后とされる
サンスクリット語の「シュリーマハーデーヴィー」が「大吉祥天女」と訳される
蓮華の上に立ち、左右二頭の像が、頭に水を注いでいる
<乳海攪拌(にゅうかいかくはん)の神話>
ヒンドゥー教における天地創造の神話
神々は、不死の霊液「アムリタ」を手に入れるため、最高神のヴィシュヌに相談すると、
マンダラ山を引き抜いて、それを攪拌棒として大海をかきまぜるように指示する
神々は、敵対していたアスラ(阿修羅)たちとも協力して、言われたように実行すると、大海がミルクのようになり、
その中から様々なものが現れた
そこからラクシュミーも現れ、天の像が清浄な水を金の瓶にくんで、彼女に浴びせたという
神々やアスラたちは、ラクシュミーの美しさに見とれ、彼女を手に入れようとするが、ラクシュミーはヴィシュヌを夫に選んだ
<仏教での吉祥天>
毘沙門天の妃とされる
「金光明最勝王経(こんこうみょうさいしょうおうきょう)」によると、吉祥天は様々な善行をし、功徳をつんだ天女とされ、
吉祥天の名前をとなえると、五穀豊穣、裕福になるというご利益があると説かれている
<日本の吉祥天>
中国風の貴婦人に描かれ、優雅な衣装に冠、左手に宝珠を持っている
日本に伝来した吉祥天は福徳の女神として信仰され、弁財天よりも人気があったといわれる
<吉祥院天満宮> 吉祥院の祭神
<鞍馬寺> 木造吉祥天立像(国宝)
<勝林寺> 夫 毘沙門天と子 善膩師童子の三尊
<浄瑠璃寺> 吉祥天立像(重要文化財)
<六波羅蜜寺> 吉祥天女像(重要文化財)
<両足院> 毘沙門天の脇侍
<宝塔寺> 七面大明神
<立本寺> 大黒天と宝吉祥天子
<東向観音寺>
<慈心院>
<日本霊異記>
平安時代の仏教説話集
信濃国のある僧が、山寺に祀られていた吉祥天に人目惚れし、「自分にも天女のような女性が授かりたい」と祈願する
ある夜、吉祥天の像と交わる夢を見て、翌朝、吉祥天の像を見ると、腰あたりに精液らしきものがしみていたという