智積院(ちしゃくいん)は、京都東山三十六峰の南に位置する寺院
真言宗智山派総本山として、阿弥陀ヶ峰を背景にして約20もの諸堂伽藍が立ち並んでいる
末寺は、約3000ある
東大路通と七条通のT字路に面して総門(東福門院の旧殿の門を移築したもの)が建つ
<金堂>
1975年(皇紀2635)昭和50年
宗祖弘法大師ご誕生1200年の記念事業として建立される
本尊 大日如来の尊像が安置されている
毎朝の勤行や、総本山としての多くの法要が行われる
旧金堂
江戸時代中期
1701年(皇紀2361)元禄14年3月
智積院 第10世 専戒僧正の発願により
1705年(皇紀2365)宝永2年
桂昌院(5代将軍 徳川綱吉の生母)の寄進で建立される
1882年(皇紀2542)明治15年
火災により焼失してしまう
1975年(皇紀2635)昭和50年に再建される
<講堂>
灌頂道場や各種研修の道場
もとの方丈
玄宥僧正が、智積院を再興したときに、徳川家康より寄贈された祥雲寺の法堂が基になっていた
1682年(皇紀2342)天和2年7月 焼失
1684年(皇紀2344)貞享元年
徳川幕府から与えられた東福門院の旧殿、対屋を基に再建される
1947年(皇紀2607)昭和22年 焼失
1995年(皇紀2655)平成7年10月
現在の建物が、興教大師850年御遠忌記念事業(1992年(皇紀2652)平成4年)として再建される
講堂再建に先だって発掘調査が実施され(1992年(皇紀2652)平成4年)
祥雲寺客殿の遺構が検出されて、日本でも最大規模の壮大な客殿建築であったことが裏付けされる
<大書院>
桃山城の遺構といわる
<宸殿>
1947年に焼失し、障壁画(当時の国宝)のうち16面が焼失してしまう
<明王殿(不動堂)>
本尊 不動明王が安置されている
1947年(皇紀2607)昭和22年の火災により本堂が焼失したときに、
本堂の再建のために、大雲院の本堂の譲渡を受け移築されたもの
1990年(皇紀2650)平成2年
講堂再建にともなって現在の場所に移築される
<大師堂>
真言宗開祖 弘法大師空海の尊像が安置されている
1789年(皇紀2449)寛政元年の建立
<密厳堂>
真言宗中興の祖 興教大師 覚鑁の尊像が安置されている
1667年(皇紀2327)寛文7年の建立
正面には、智積院 第七世 運敞僧正(うんしょうそうじょう)の自筆(寛文12年(1672))の「密厳堂」の額が掲げられている
<宝物館(国宝障壁画を収蔵)>
<智積院会館(宿泊施設)>
<庭園(国の名勝)>
大書院に面した千利休好みの庭園
1674年(皇紀2334)延宝2年に
祥雲禅寺時代の庭を、第七世 運敞僧正(うんしょうそうじょう)が修築したもの
中国の廬山(ろざん)を形どって造られたといわれ、
土地の高低を利用して築山が造られ、その前面には池が掘られ、山の中腹や山裾に石組みを配して変化が付けられている
平安時代の寝殿造のように、庭園の池が大書院の縁の下に入り込んでいる
築山・泉水庭園の先駆となる貴重な遺構
<高浜虚子の句碑>
「ひらひらと つくもをぬいて 落花かな」
1930年(皇紀2590)昭和5年4月、高浜虚子が参拝されたときに作られる
「つくも」は、太蘭(ふとい)のことで、高さ1〜2mの沼などに生える多年草
句碑は、1973年(皇紀2633)昭和48年2月の建立
<大書院障壁画「桜楓図」25面(国宝)>
桃山時代の作
長谷川等伯(はせがわとうはく)が描いた「楓図(かえでず)」と、長男の長谷川久蔵が描いた「桜図」
「松に立葵図」「松に秋草図」「松に黄蜀葵図など
祥雲禅寺の客殿に描かれていた障壁画
往時の荘厳を見ることができる大和絵の大作
災害により原型の1/4にカットされてしまっている
「桜図」は、金と白を基調にし、2本の桜を中心に、しなやかな枝、全体的に胡粉で盛り上げた直径6cmほどの
八重桜を蒔き散らされ、地面には野の草花が描かれる
金雲や、群青の池で立体感が出される
長谷川久蔵が25歳で描き、26歳で亡くなる
「楓図」は、父親 長谷川等伯が55歳で、人生無常の感から、自己の生命力を画面一杯に傾けて描かれたといわれる
画面中央の激しい動きの幹や枝、紅葉や秋草の写実性、抽象的な空や池、強いコントラストとパステルカラー調で
絢爛豪華に描かれる
<金剛経(国宝)>
南宋時代の書家 張即之の筆
<布袋唐子嬉戯の図>
大玄関正面の使者の間に収められている布袋尊と唐子の絵
1912年(皇紀2572)大正元年
月樵道人(げっしょうどうにん)の作
<修正会> 1月1日
<新年祝祷式・御昆布式> 1月15日
<節分会> 2月節分
<常楽会> 2月15日
<正御影供> 3月21日
<仏生会> 4月8日
<玄宥僧正誕生会> 4月17日
<青葉まつり>
6月15日
弘法大師、興教大師両祖の誕生会法要、柴燈護摩供養が行われる
<暁天講座> 8月1日〜3日
<盂蘭盆会> 8月15日
<冬報恩講> 12月10日〜12日
5月中旬〜6月上旬
躑躅(ツツジ)、その後を皐月(さつき)が咲き誇る名所
6月〜9月上旬
桔梗(ききょう)の名所
<真言宗智山派>
大本山:成田山新勝寺、川崎大師平間寺、高尾山薬王院
別格本山:高幡山金剛寺(東京都)、出流山満願寺(栃木県)、大須観音寶生院(名古屋市)
全国に3000余りの寺院教会と、全国約30万人の檀信徒を持つ
<化主(けしゅ)>
智積院では、住職のことを「化主(けしゅ)」あるいは「能化(のうけ)」と称される
「能化」とは、よく衆生を教化するという意味を持つ