引接寺(いんじょうじ)は、西陣の西北の千本通に面して立つ寺院
西陣地域の、宗派を越えた庶民信仰の場であり、夏の「お精霊迎え」には多くの人達で賑わう
「引接寺」とは、人々を導くという意味を持つ「諸人化導引接仏道」からといわれる
5月の「千本ゑんま堂大念仏狂言」は、京都三大念仏狂言のうち、唯一の有言で行われる狂言
<本堂>
裁判所のような造りになっており、高さ2.4mの本尊 閻魔大王座像が安置されている
堂内の壁には、狩野元信の筆の閻魔王庁の図が描かれている
<十重石塔(重要文化財)>
北西隅に建つ十重の石塔
紫式部の供養塔といわれる
一般的な塔は13重などの奇数だが十重塔としても珍しい
1386年(皇紀2046)至徳3年の刻銘がある
圓阿上人(えんあしょうにん)により建立
<普賢象桜(ふげんぞうざくら)>
後小松天皇から下賜されたといわれる
現在の樹は、佐野藤石衛門の寄進
供養塔の傍らにあり、花の芯から双葉の芽が出て、それが普賢菩薩が乗っている象の牙の形に似ているところから
名付けられたといわれる
遅咲きの八重桜で、散るときは花冠ごと落ちる
<関山桜>
<狂言堂>
<観音堂>
<閻魔大王座像>
裁判所のような造りになった本堂に安置されている高さ2.4mの本尊
仏師 定勢(じょうせい)作といわれる
脇像には、左に書記の司録尊、右に閻魔帖を持つ検事の司命尊を従える
脇像の背板は、現存する地獄絵の中では最大のもの
室町時代の作といわれ、像の掌には、1488年(皇紀2148)長享2年が刻まれている
1977年(皇紀2637)昭和52年の火災で、像も一部が焼ける
2006年(皇紀2666)平成18年1月
仏師 今村宗圓により、境内のイチョウの木を使って焼失部分の修復が行われる
<節分会>
2月節分
閻魔法王の裁きの場で前世の行いを判定するといわれる「人頭幢(にんずどう)」を型どった小物が置かれる
1年間の強運を願ってだるま供養も行われる
裏表のない食べ物として閻魔法王が好むコンニャクが参拝者にふるまわれる
最近では、閻魔法王の舌の形に丸く切ったこんにゃく炊きが販売されている
<千本ゑんま堂大念仏狂言(京都市無形民俗文化財)>
5月1日〜4日
京都三大念仏狂言の一つ
「カン、デンデン」という囃子の滑稽な仮面セリフ喜劇
<風祭>
7月1日から上旬
境内には風鈴が飾られ、ライトアップがされ、夜間特別拝観が行われ、梶の葉への祈願などが行われる
<精霊迎えと六道まいり>
8月7日〜16日
迎え鐘は、かつて葬送の地である蓮台野に死者を葬るときに撞いたといわれる故事にちなむ
千本六斎念仏も行われる
<地蔵盆>
8月24日
盆踊りが行われる
<人頭幢(にんずどう)の小物>
閻魔(えんま)法王の裁きの場において、死者の心を見抜いて閻魔様に前世の行いを知らせる道具を模した小物
2つの顔は「見る目」「かぐ鼻」といわれ、罪人の悪行を見つけたりかぎつける役割を持つ
現世も死後も妄言は慎まなくてはならないことを教えているという
<「日本史」>
桃山時代
京都を訪れた宣教師ルイス・フロイスの「日本史(Historia de Iapan)」中に、引接寺の様子が記されている
<閻魔前町>
引接寺の門前に開かれた街として名付けられる