廣誠院(こうせいいん)(KouseiIn)


所在地:京都市中京区押小路木屋町通西入一之船入町   卍地図情報卍

臨済宗の単立寺院

山号:保水山

本尊:観世音菩薩

開基:天龍峩山和尚大禅師(天龍寺238世管長)

開山:天龍峩山和尚大禅師(天龍寺238世管長)

京都市指定有形文化財(建物)・京都市指定名勝(庭園)

 廣誠院(こうせいいん)は、押小路木屋町通の南西角、高瀬川一之舟入の南にある寺院

 明治時代以前は、長州藩邸があったところで、その後、薩摩出身の実業家 伊集院兼常が所有し、
数寄屋造の書院・茶室・広間などを、高瀬川から引き込んだ池庭に面して創建されている

 その後、元貴族院議員・実業家 廣瀬満正が所有し、廣瀬家によって臨済宗の単立寺院とされた

【廣誠院の歴史・経緯】


【廣誠院の伽藍】

 <建物(京都市指定有形文化財)>
 書院・茶室・広間などからなり、庭園に面して雁行型に建てられている
 数寄屋造の意匠で、柱には面皮柱が用いられている

 書院は、庫裏の東に接して、部屋の西側には台目畳三畳の床と床脇棚がある十三畳半の主座敷
 台目3畳の床の間と、1間幅の地袋があり、南と東は全部腰障子で庭に向かって広々と開放されている
 床柱は、5寸ほどの自然の絞り丸太で面はつけていない
 床の間の正面、大平(おおべら)の上部に、織部板が打ち付けられ、床天井の奥が一段高くつくられている
 床の間の脇壁には、火灯窓があり、上部には欄間があり、平書院の意匠となっている
 次の間との境の欄間には、菊桐紋を透かした桐板が仕込まれている
 書院の南から東にかけて、軒先が3mほどある庇になっている
 軒裏には、北山杉の垂木が並び、深い軒を一本の丸太の桁が支えている
 書院の東から南にかけて周りの濡れ縁には高欄があり、縁の床に六角形断面の栗材や、
丸竹と板を交互にした縁がある

 次の間は、書院の北側にあり、玄関から取次の間と書院の間にある10畳の部屋
 部屋の西側に棚が付けらている
 袋棚の小襖には、華麗な風俗画(市井の人が蹴鞠で楽しんでいる図)が描かれている

 茶室は、書院と広間をつなぐところにあり、三畳中板入り、真下には川が流れている
 細い支柱が床を支えており、吊座敷のようになっている
 躙口(にじりぐち)は東面にあり、広間の土間庇の下の飛び石を通って、手水鉢で身を清めてから、
一旦、縁に上がり躙口から入る
 中板を挟んで客座と点前座があり、西面の中央に床がある
 点前座の風呂先に中柱が立っており、横木を入れて下を吹き放し、上は壁にして大きな下地窓があいている
 勝手付けには、釘箱棚と称される特殊な棚が仕付けられている
 中柱周りのこの部分は、裏千家の茶室 無色軒と同じ構成といわれる
 客座の南には、大きな円窓があり、池庭を眺めて御座敷船でお茶を楽しむような風流となっている

 広間は、建物の北東にある8畳の座敷
 茶室としても用いられ、水屋につながっている
 北面には、上座床と押入があり、四畳半切に炉が切られている
 点前座の勝手付きは角を大きく取った下地窓
 風呂先にあたる部分には2段の袋棚がある
 上段の襖は古代布を張り合わせたもので、下段は杉戸の一部を切り取った板戸になっている
 床の間は、一間床で、右方を袖壁で隠し、左側の側壁を斜めに取り付けて間口を狭める特異な構成で、
下地窓があり、袋床とよばれる床の間になっている
 袖壁で隠れたところに三角形の陰の棚が設えられている
 座敷の東側は杉皮を張った板塀が立ち、その向こうには高瀬川が流れている

 <庭園(京都市指定名勝)>
 近代数寄屋風の庭園
 伊集院兼常の強い指示のもと、七代目小川治兵衛(植治)が庭作りの技術を習得しながら作庭したといわれる

 幅の狭い園路は、池に沿って蛇行するようになっている
 高瀬川からの水が、広間北側の取水口から取り込まれ、茶室の真下を流れ、南北に長い園池に注ぎ込み、
池尻から排水され、高瀬川に戻る

 書院のの大きな庇を支える柱の基石が池中に、西側は渓谷のようになっており沢飛びがある
 高低差のある書院と池との間には、大きな賀茂の真黒石を用いた沓脱石がある

 池の中央に架かる花崗岩製の橋には、いくつもの矢跡が刻まれている
 広間の軒先の手水鉢は、天正年間(1573年〜1592年)の三条大橋もしくは五条大橋の橋脚を材としたといわれる
 池上の半分は、イロハモミジで覆われている

【その他】

 <佐久間象山・大村益次郎遭難の地
 廣誠院の庭園東南の隅に建てられている
 木屋町通から高瀬川の対岸に見て右側が佐久間象山、左隣りが大村益次郎の石碑

 佐久間象山遭難碑
 1915年(皇紀2575)大正4年10月の建立
 デザイン・設計は、武田五一

 大村益次郎遭難碑
 1934年(皇紀2594)昭和9年の建立

【廣誠院へのアクセス】

 地下鉄 京都市役所前駅 徒歩約5分
 市バス 京都市役所前駅 徒歩すぐ

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