二尊院(にそんいん)(NisonIn)

正式名称:華台寺(けいだいじ)

所在地:京都市右京区嵯峨二尊院門前長神町   卍地図情報卍

天台宗の寺院

山号:小倉山(おぐらやま)

院号:二尊教院

本尊:釈迦如来阿弥陀如来

開山:慈覚大師 円仁

中興の祖:法然上人

法然上人二十五霊場第十七番

 二尊院(にそんいん)は、嵐山嵯峨野の北西部 「百人一首」で有名な小倉山の東麓にある寺院
 平安京の西の葬送の地である化野の入口付近にある

 寺名は、発遣(ほっけん)(使者などを送り出すこと)の釈迦如来と、来迎(浄土へ迎えること)の阿弥陀如来
二体の本尊が安置されていることに由来する

 正式名称は、「小倉山 二尊教院 華台寺」と称される

 6月上旬〜6月下旬には紫陽花(あじさい)、夏は百日紅名所
 総門を入った「紅葉の馬場」と称される参道は、紅葉の名所

二尊院の写真集

【二尊院の歴史・経緯】


【二尊院の伽藍】

 <総門>
 豪商 角倉了以伏見城の薬医門を移築した遺構といわれる

 <山門石碑>
 山門の向かって左手前に立っている石碑
 「大界外相(たいかいげそう)」と刻まれ、「ここからは聖域である」という意味を表している

 <紅葉の馬場>
 総門を入って黒門までの間の参道
 紅葉の名所となる広い参道

 <勅使門(唐門)>
 内側の扁額「小倉山」は、後柏原天皇の筆の勅額
 応仁の乱で焼失
 1521年(皇紀2181)永正18年
 三条西実隆によって再建される

 <本堂>
 二尊(釈迦如来阿弥陀如来)立像が祀られている
 京都御所紫宸殿を模していて外陣の廊下は鴬張りになっている
 扁額「二尊院」は、後奈良天皇の筆の勅額
 応仁の乱で焼失
 1521年(皇紀2181)永正18年の再建

 <龍神遊行の庭>
 本堂前庭
 かつて、この地に龍女が住み、正信上人によって解脱昇天した故事にちなむ

 <寂光園>
 本堂南側の石庭
 浄土の世界を表したものといわれる

 <茶室「御園亭」>
 寂光園の奥にある茶室
 狩野永徳の筆の腰張りがある
 1697年(皇紀2357)元禄10年
 後水尾天皇の第五皇女 賀子内親王の御化粧間であったものが下賜される

 <御霊屋>
 本堂の北側にある

 <九頭龍弁財天堂

 <法然上人廟>
 弁財天堂脇の石段を登りつめたところにある

 <八社ノ宮>
 境内の北の端に建つ
 室町時代の建立

 <墓地
 八代の宮の前から坂を上っていった本堂背後の小倉山中腹にある
 角倉了以角倉素庵父子、伊藤仁斎・伊藤東涯父子、
 三条実萬三条実美父子などのお墓
 二条家・三条家・四条家・三条西家・鷹司家・嵯峨家の墓地
 阪東妻三郎のお墓
 田村家(田村正和・田村高廣)のお墓

 <三帝陵>
 境内の奥にある
 右より、土御門天皇・後嵯峨天皇亀山天皇の分骨が安置されている

 <鐘楼(しあわせの鐘)>
 角倉了以像の裏手にある
 世界平和を祈願して参拝者が撞ける
 1604年(皇紀2264)慶長9年の鋳造
 1992年(皇紀2652)平成4年に再鋳され「しあわせの鐘」と名付けられる

 <扇塚>
 弁財天堂の前にある
 山内流始祖・二代、吉村流開祖・二代・三代の家元を供養するために、吉村流第四世家元 吉村雄輝(人間国宝)らが建てたもの
 吉村雄輝は、高知県生まれで、池端慎之介の父親

 <高浜虚子句碑>
 「散紅葉 こゝも掃きゐる 二尊院」

 <湛空上人廟>
 九頭龍弁天堂と鐘楼の間の階段を登ったところにある

 <小倉餡発祥の地>
 石碑と、その横にオブジェクト「真(しん)」が立っている
 平安建都千二百年記念のときに行われた野外彫刻展の入選作
 橋本清の作
 円形は時間の流れを現し、ややねじれているのは、この世に完全無欠なものはないことを象徴しているとされる
 石碑は、井筒八つ橋本舗が、創業200年を記念して建てられたもの
 裏面に小倉餡の歴史が刻まれている

 <四條流包丁塚(しじょうりゅうほうちょうづか)>

 <丸山海道・佳子夫妻句碑>
 「春深し佛の指の置きどころ」丸山海道
 「萩咲かす二尊に触れて来し風に」丸山佳子

 <西行法師庵の跡>
 1140年(皇紀1800)保延6年
 鳥羽上皇や徳大寺家などに仕えていた歌人 西行法師が出家
 仏道修行と和歌三昧の生活を送り、二尊院門前近くにも庵を結んだとされる
 門前に、庵跡を示す石標が立てられている
 「我がものと 秋の梢を思うかな 小倉の里に家居せしよ里」

 <天皇皇后両陛下行幸啓記念樹の記念碑>
 1991年(皇紀2651)平成3年5月29日の日付が刻んである

 <時雨亭跡>
 湛空上人廟の左側、小倉山の山中にある
 藤原定家が百人一首を選定したとされる遺跡


【二尊院の寺宝】

 <木造釈迦如来立像(重要文化財)>
 本堂の向かって右に安置されている
 発遣(ほっけん)(現世から来世へと送り出す)の釈迦如来
 右側の釈迦如来立像が右手を上げ左手を下げ、左側の阿弥陀像は右手を下げ左手を上げている
 両像はよく似ているが、下半身の衣文の形式などが異なる
 鎌倉時代の作
 像高は約78.8cm、金泥塗り、截金で文様を表している

 <木造 阿弥陀如来立像(重要文化財)>
 本堂の向かって左に安置されている
 来迎(西方極楽浄土へ迎え入れる)の阿弥陀如来
 右側の釈迦如来立像が右手を上げ左手を下げ、左側の阿弥陀像は右手を下げ左手を上げている
 両像はよく似ているが、下半身の衣文の形式などが異なる
 通常の阿弥陀如来像は、親指と他の指で輪をつくる印相を結ぶが、下げた右手の指を5本とも真っ直ぐ伸ばしている
 鎌倉時代の作
 像高は約78.8cm、金泥塗り、截金で文様を表している

 <本堂勅額>
 本堂に後奈良天皇の「二尊院」の勅額がかかっている

 <絹本著色 逍遥院実隆像・称名院公条像(重要文化財)>
 <絹本著色 浄土五祖像(重要文化財)>
 <絹本著色 十王像(重要文化財)>
 <絹本著色 釈迦三尊像(重要文化財)>
 <絹本著色 法然上人像(重要文化財)>
 <法然七箇条制法 附蒔絵箱(重要文化財)>


【その他】

 <法然上人二十五霊場第十七番 御詠歌>
 「足びきの 山鳥の尾の しだり尾の 永水し世を 祈るこの寺」

二尊院の写真集

【二尊院へのアクセス】

 市バス 嵯峨釈迦堂前 徒歩約10分
 市バス・京都バス 嵯峨小学校 徒歩約15分
 JR峨野線 嵯峨嵐山駅 徒歩約20分

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