龍吟庵(りょうぎんあん)は、東福寺の東北にある塔頭
東福寺の庫裏から洗玉澗渓谷(せんぎょくかん渓谷)に架かる偃月橋(えんげつきょう)を渡った正面に建つ
東福寺第三世 大明国師(だいみんこくし)無関普門の住居跡で、東福寺の塔頭のなかでも第一におかれている
方丈(国宝)、庫裏(重要文化財)、表門(重要文化財)などが建つ
<方丈(国宝)>
正面玄関を上るとすぐ左手側に建つ
室町時代初期
1387年(皇紀2047)元中4年/嘉慶元年の創建
現存する方丈としては最古の禅宗方丈建築
単層入母屋造、柿葺(こけらぶき)
正面は七間(約12.7m)、梁間は五間(約9m)
書院造に寝殿造風の意匠がみられる
部屋の柱間中央の入口は、両開き板唐戸(いたからど)に、一本溝に4枚の障子が立てられいる子持障子となっている
両端の柱間には、寝殿造り風に、格子に板を裏貼りした蔀戸を、上部はつり上げ、下部は差込みの板扉が付いている
方丈東西の妻側は、妻戸がはめらた寝殿造
入母屋造屋根の妻部分は、木連格子(狐格子)の書院造
南列3室、北列3室の6室に分かれ、南列中央の間が広くされている
正面の扁額「龍吟庵」は、足利義満の筆
<開山堂>
方丈の背面に建つ
大明国師 無関普門座像が安置されている
正面の扁額「霊光」は、足利義満の筆
<清光苑(龍吟庭)>
方丈が、東西南の3ヶ所から枯山水庭園で囲まれている
1964年(皇紀2624)昭和39年
重森三玲の作庭
方丈正面の南庭「無の庭」は、白砂敷の枯山水庭園
一面白砂敷だけで、草木・石などは一つも置かれていない
西側の竹垣には、稲妻模様が描かれており、西庭のイメージに続くよう考慮されているといわれる
方丈西庭「龍の庭」は、「龍吟」をイメージした約70坪の庭園
龍が、大海中から黒雲に乗って昇天する様子を石組で表現されている
中央部に、龍の頭の石と、角二本の石が組まれ、胴の各石が、海中に円形を描くように置かれている
白と黒の二色の砂により入り組んだ砂紋が描かれ、海波と黒雲の間から龍が顔を出しているように見える
方丈東庭「不離の庭」は、珍しい赤砂の枯山水庭園
龍吟庵の開基の無関普門が、幼少の頃、熱病にかかって山中に捨てられた時、
二頭の犬が、狼の襲撃から無関普門の身を守ったという故事にもとづく
中央の長い石が、横たわる無関普門
両脇の白石と黒石が二頭の犬、周りの石が狼を表しているといわれる
モダンな赤砂は、鞍馬石
竹垣には、竹の枝がついている
<庫裏(重要文化財)>
重厚感ある桃山時代の建築
<表門(重要文化財)>
桃山時代の建築
<大明国師 無関普門座像(重要文化財)>
開山堂の曲ろくに安置されている
寄木造、玉眼入り、彩色の等身大