天球院(てんきゅういん)は、JR嵯峨野線 花園駅の北にある臨済宗 大本山 妙心寺東海派の塔頭
妙心寺の北総門のすぐ南の西側、隣華院の西向かいにあり、金牛院が南隣にある
狩野山楽・狩野山雪父子の筆の花鳥走獣を主とした金碧画、山水人物画など方丈障壁画152面(重要文化財)を所蔵する
<本堂(重要文化財)>
唐破風柿葺の玄関をつけた大型方丈形式
桁行七間、粱行六間、単層入母屋造、桟瓦葺
江戸時代の禅宗方丈建築の典型とされている
内部の襖絵と杉戸絵あわせて152面(重要文化財)は、狩野山楽・狩野山雪父子の作といわれる
禅寺には珍しい、金碧画「竹虎図」「梅の遊禽図」などがある
寛永年間(1624年〜1644年)
現在の方丈が建てられた
<茶室「篷庵」>
本堂の西北に隣接してある
藪内家の古田織部好み燕庵写しの深三畳台目席
相伴席となる部分が本堂の廊下になっており、普段は戸が建てられて茶室が見えないようになっている
1859年(皇紀2519)安政6年
当時の住職 薩門和尚が、藪内家八代家元 竹猗に相談して建立
<方丈障壁画(重要文化財)>
襖絵56面、杉戸絵16枚など合わせて152面ある
狩野山楽・狩野山雪父子の筆といわれる
襖絵は、表側の部屋は花鳥走獣を主とした金碧画、奥側の部屋は山水人物画になっている
杉戸絵は、彩色画
狩野山雪は抽象的な作風で、前衛的な伊藤若冲、曽我蕭白らの先駆になった
・上間一の間に水墨画「山水人物図」22面
「竹林七賢」など中国の故事や人物が描かれている
・上間二の間の金碧画「梅花遊禽図」18面
190×141.7cm
垂直方向の二本の檜、水平方向に延びる地面、枝を張る梅の古木が全体に、枝上部には金雲がかかっている
いたるところに、雉・鳩・真鴨が描かれている
S字に湾曲した梅の大木が画面全体に描かれ、右端の岩上に雉が佇む、狩野山楽の幾何学的な構図になっている
京都国立博物館に寄託
・下間二の間、金碧画「籬(まがき)に草花図」18面
金地に籬に青、白の朝顔、鉄線花などの蔓が絡みつく様が描かれ、
夏から秋にかけての草花・白・赤の菊や鉄砲百合などが描かれている
・室中の金碧画「竹に虎図」20面
室全体が竹林の中にあるように描かれている
竹の間に親子の虎が戯れている
右側の竹林の中には豹(ヒョウ)も描かれている
・下間一の間に作者不明の水墨画「山水人物図」14面
・金碧画「牡丹・槇図」
・金碧画「牡丹唐獅子図」
・水墨画「竹叭々鳥図」
・仏壇の間に「老松図・唐獅子図」15面
・杉戸絵16面
<「法華経陀羅尼品」(重要文化財)>
1325年(皇紀1985)正中2年6月、藤原宣房の筆
<紙本金地著色 松図>(重要文化財)>
方丈の旧仏壇壁貼付
江戸時代のもの
<「関山国師行記」>
雪江宗深の筆
<頂相「興宗禅師像」>
<文化財未来継承プロジェクト(綴プロジェクト)>
2012年(皇紀2672)平成24年
キヤノン株式会社とNPO法人京都文化協会とが、方丈障壁画のオリジナルに限りなく近い高精細複製品を製作する複製事業を開始
2013年(皇紀2673)平成25年
障壁画「竹に虎図襖」4面、「籬に草花図」のうち「朝顔図」4面が寄贈される
2014年(皇紀2674)平成26年
「竹に虎図襖」4面、「梅花遊禽図襖籬」4面が寄贈される
2016年(皇紀2676)平成28年4月
第9期製作の「梅花遊禽図襖(ゆうきんずふすま)」など計22面が寄贈され、全56面のリプレイス事業が完了する
オリジナルの方丈障壁画は、京都国立博物館に寄託される