フランソア喫茶室(ふらんそあきっさしつ)は、四条河原町にある昭和時代初期に創業された老舗喫茶店
喫茶店として初めて、国の登録有形文化財に指定された
1934年(皇紀2594)昭和9年
立野正一(たてのしょういち)による創業
<国の登録有形文化財(建造物)>
2003年(皇紀2663)平成15年1月31日
喫茶店として日本で初めて登録された
木造2階建、瓦葺、建築面積40m2
施工は当時の大工や、家具の装飾を手がける指物師による
昭和時代初期という時代における、和と洋を組み合わせた革新性
その後も改装されることなく、建物が内部の調度品や装飾を含めて当時のままの姿で残っている点が高く評価される
登録は、正面から見て右側の北側部分だけ
南側は増築部分であるため指定されていない
<内装>
イタリアバロック様式
豪華客船のホールをイメージされており、白いドーム型の天井、豪華なシャンデリア、ステンドグラスの窓がある
柱は、中央に膨らみのあるルネサンス調のエンタシス
壁には、「モナ・リザ」「真珠の耳飾りの少女」などの複製の名画が掛かっている
調度品には、ヨーロッパの古いランプや、赤いビロードの椅子などがある
<店名>
フランスのバルビゾン派の画家 ジャン=フランソワ・ミレーにちなんでいる
<反戦や芸術を自由に語り合う場所>
創業者 立野正一は、反ファシズム新聞「土曜日」の発行を支援
京都府警特高課の監視対象となり、弾圧を受けている
立野正一は、画家を志し京都市立美術工芸学校(京都市立芸術大学)に入学
志賀直哉や武者小路実篤などの自然主義文学の影響を受けたといわれる
<エピソード>
新藤兼人と乙羽信子が、デートをしていたところといわれる
吉村公三郎や、宇野重吉、鶴見俊輔など、数多くの文化人や学生たちが集ったといわれる
<ロケ地>
乙羽信子が自身の生涯を語る「どろんこ半生記」を原作に制作された「女優時代」や「三文役者」のロケ地にもなる
<小説>
「家族物語」瀬戸内晴美
「鱗姫」嶽本野ばら
「袂のなかで」今江祥智
「終わりからの旅」辻井喬