神明造(しんめいづくり)

神社建築様式の1つ

構造:切妻造平入

 神明造(しんめいづくり)は、伊勢神宮に代表される神社建築様式の1つ

 出雲大社の大社造や住吉大社の住吉造と共に、もっとも古い神社建築様式の一つ

 奥行きより幅が大きく、穀物を収めた高床式倉庫から神宝を納めるように発展したものといわれる

【神明造の歴史・経緯】


【神明造の主な特徴】

 神明造の柱の配置が、弥生時代の遺跡の柱の遺構に似て奥行きより幅が大きく、
弥生時代の穀物を収めた高床式倉庫から神宝を納めるように発展したものといわれる

 構造は、掘立柱・切妻造・平入で、ほぼ全てが平面的に加工され直線的な外観となっている

 神明造と同様にもっとも古い神社建築様式とされる
 大社造は、正方形に近く宮殿を模したような優美な曲線があり、住吉造大嘗祭の建物に類似している

 <唯一神明造>
 伊勢神宮内宮外宮の正殿が、厳格な神明造であり、他社では同一のものは造れないため「唯一神明造」と称される

 <屋根>
 萱葺(かやぶき)・板葺・銅葺などで、反りがない
 伊勢神宮の摂社・末社・所管社のほぼ全てが板葺、熱田神宮は銅葺
 屋根に耐久性の低い萱や板を使うため、屋根の勾配を45度程にきつくし、雨や雪が流れ落ちやすくされている
 切妻であるため軒出も大きく作られる

 屋根の頂上部は、板で覆い、鰹木(かつおぎ)で補強されている

 屋根を支える側面の破風(はふ)は、先端が飛び出して「千木(ちぎ)」となっている

 千木と鰹木には、金銅製などの装飾金具が取り付けられ、耐候性を高められることがある

 <柱>
 神明造は、基本的に左右対称で、左右方向には偶数本の柱がある
 一般に、正面が三間(柱が4本あり間が3つ開く)、側面が二間となっている
 柱と地面の間には礎石も土台もなく、掘立柱となっている
 両側面中央に、壁面より外側に飛び出し、屋根の棟まである柱があり、棟持柱(むなもちばしら)と称される
 棟持柱は、通常太く、強度のある用材が用いられるが、構造上では強度にはあまり寄与していない
 社殿の中央には、心の御柱(しんのみはしら)が立てられているが、これも強度には寄与していない

 <壁>
 神明造の壁は、十分な強度を持つ板材が用いられる
 正面中央の1ヶ所のみに観音開きの御扉(おとびら)による開口部が設けられる
 御扉は、通常1枚板が用いられるため、大規模な社殿では相当の古木が必要とされる
 神宮の正殿では、樹齢400年以上のヒノキが必要になるといわれる

 <床>
 神明造の床は、高床式倉庫のように、通風性を重視した高い構造になっている
 このため長い階段がある

【神明造の主な神社】

 <伊勢神宮 皇大神宮(内宮)
 <伊勢神宮 豊受大神宮(外宮)
 <日向大神宮
 <籠神社
 <真名井神社
 <斎明神社
 <板列八幡神社

【その他】

 <流造
 神明造から発展したもので、直線的な屋根ではなく、優美な曲線がある

 <台湾の神社>
 台湾の神社は、ほとんどが神明造となっている


【京都検定 第4回2級】


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