「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」は、歌舞伎の演目の一つ
1778年(皇紀2438)安永7年4月、大坂角の芝居で初演された
豊臣秀吉によって釜煎(かまいり)の刑にされたといわれる大盗賊 石川五右衛門の話
都を一望できる南禅寺山門の楼上で、満開の桜の花見する石川五右衛門の「絶景かな、絶景かな」の台詞が著名
「楼門五三桐」は、全五幕の時代物の長編
豊臣秀吉によって釜煎(かまいり)の刑にされたといわれる大盗賊 石川五右衛門の話
文禄・慶長の役の復讐を企てる明国の高官 宋蘇卿(そうそけい)(モデル:宋素卿)の遺児 石川五右衛門と、
天下人 真柴久吉(ましばひさきち)(モデル:羽柴秀吉)との対立を描く
石川五右衛門の養父が武智光秀(たけちみつひで)(モデル:明智光秀)
石川五右衛門と、真柴久吉が幼馴染
二段目返しの「南禅寺山門の場」(約15分)のみが「山門」と称されて、上演されることが多かった
約15分の短い舞台に、絢爛たる歌舞伎の醍醐味が凝縮されている
見所は、石川五右衛門の有名なセリフと、豪華絢爛な山門がせり上がってくる舞台装置で「動く錦絵」と称される
「楼門」は、社寺などにある二階建てになっている神門・山門
「五三桐」は、豊臣秀吉の家紋
大薩摩の独唱のあと浅黄の幕が切って落とされる
都を一望できる南禅寺山門の楼上
そこに住む、天下を狙う大盗賊 石川五右衛門が、金襴褞袍(きんらんどてら)に大百日鬘(だいびゃくにちかつら)という姿で
きせるを吹かしながら満開の桜の花見をしていた
巨大な山門の大道具が一気にせり上がる
「絶景かな、絶景かな。春の宵は値千両とは、小せえ、小せえ。この五右衛門の目からは、値万両、万々両……」
そこに明国の遺臣 宋蘇卿の遺書をくわえた鷹が飛んでくる
そして、五右衛門は、自分が宋蘇卿の子で、かねてから養父 武智光秀の仇として狙っていた真柴久吉が実父の仇でもあることを知る
そこに、巡礼姿に変装した真柴久吉が現れ句を詠み上げる
久吉「石川や 浜の真砂は尽きるとも」
五右衛門「や、何と」
久吉「世に盗人の 種は尽きまじ」
驚いた五右衛門が手裏剣を投げると、久吉は柄杓でそれを受け止める
久吉「巡礼にご報謝」
五右衛門が刀を抜きかけて欄干に片足をかけて下をにらみ、久吉が上をにらみ返す
この「天地の見得」の場面で幕切れとなる
<南座>
かつて、大道具を上げ下げできる大迫りがなかったため、見所の南禅寺山門が迫り上がる見所シーンができず上演できなかった
その後、大規模な改修工事を経て大迫りが装備される
1991年(皇紀2651)平成3年 の顔見世興業
十三代目片岡仁左衛門の五右衛門、七代目尾上梅幸の久吉で初上演される