勧修寺繍帳(かじゅうじしゅうちょう)は、勧修寺に伝わる刺繍の釈迦説法図
厚い白平絹に鎖繍された繍仏の大作
<刺繍釈迦如来説法図>
通称:勧修寺繍帳(かじゅうじしゅうちょう)
厚い平絹に鎖繍されたもの
縦207.0cm x 横157.0cm
インドのマガダ国耆闍崛山(ぎじゃくつせん)(霊鷲山(りょうじゅせん))で釈迦が法華経を説く情景を表わしたもの
中心に、宝樹・宝蓋の下に、獅子座に座り、赤衣偏袒右肩(しゅえへんたんうけん)をまとった説法相の釈迦如来
周りに、十四菩薩・十大弟子・十比丘(びく)・十二供養者らが集まり、
雲上には、十二奏楽天人や飛鳥にまたがる六仙人
下部中央に、ガラス器に浮かした供養花を捧げる貴女(吉祥天)
地裂(じぎれ)は、白平絹(しろひらぎぬ)
繍いにより、地裂は、ほとんど見えない
鎖繍(くさりぬい)と相良繍(さがらぬい)の2法が用いられている
全体が、紅・緑・紫・黄・藍などのそれぞれ濃淡色、黄土、白など十数色の撚り糸による鎖繍
(1本の針に2本の糸を通し、第1刺の糸の間に第2刺を入れて鎖状に縫い進む技法)(チェーン・ステッチ)
釈迦如来の螺髪と獅子座框、後屏の宝飾文様、諸菩薩の宝飾と衣文、十大弟子の持物などの一部は、粒状の相良繍
(糸で結び玉をつくり、その玉を連ねたり縫いつぶす技法)
相良繍いの粒の大小、鎖繍いの糸の太さや運針方向を変えることで、立体感が表現されている
制作は、中国 唐時代の8世紀初頭
または、奈良時代の日本で制作された説もある
勧修寺に伝えられた
<天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)>
奈良 中宮寺
勧修寺繍帳と双璧とされる類似の貴重な作品