京都で生産される仏壇、仏具の約70%が寺院用、約30%が家庭用
全国の寺院用仏具の約80%が京都で生産されている
大本山のような大寺院では、寺内町(じないちょう)を形成し、仏壇仏具の老舗も多い
京都で生産される仏壇、仏具は、多くの寺々と数多くの国宝や文化財の中で発達し、
優れた木工、彫刻、漆工、箔押、錺金具(かざりかなぐ)など、多くの高度な伝統技術を集約され、
各宗派によって仕様がさまざまであり、大量生産は難しく、手づくりにより、
常にその時代ごとの最高級品が求められ、作り出されてきている
京仏壇は、家庭における「寺院の本堂」となるように作られている
本尊や脇侍(きょうじ)、須弥檀(しゅみだん)、仏前の様々な仏具が縮図として模される
木工、彫刻、漆工、箔押、錺金具などの技術を駆使した総合工芸品となっており、
細かく分業され、40数職種もの専門的な手仕事が行われ、再興品質のものが生産されている
阿弥陀如来を祀る仏壇は、西方極楽浄土を金色で表現し、黄金に光り輝いている
西本願寺系の仏壇の欄間(らんま)には、本堂の欄間と同じ牡丹の花が刻まれる
京仏壇には、金仏壇、唐木仏壇、新仏壇の3種類ある
<金仏壇>
檜や杉の白木に漆を塗り金箔を押したもの
宗派によって形が異なる
<唐木仏壇>
黒檀(こくたん)、紫檀(したん)、桜などの唐木を使い、生地の木目を生かしたもの
宗派による特徴はない
<新仏壇(家具調仏壇・ミニ仏壇)>
洋間にも合うモダンな意匠の家具調仏壇や、小型の仏壇などがある
京仏壇の製作工程は、細かい分業体制が確立しており、大きくは工部・商部の2つに分かれる
<工部>
2,000程あるという複雑な部分を専門にこなす職人さんたちがいる
木地・木彫・漆塗・箔押し・蒔絵彩色・飾り金具などの工程の各部門に分かれる
これらの工程からさらに細かく分業される
<商部>
複雑な工程をまとめ統合し、製作された各部品を最終的に組立仕上げる部門
全国各地に向け販売もする
工部において、各部門に分かれて、各工程でさらに細かく分業される
<木地(きじ)工程>
厳選された木材で仏壇の本体を作る
<屋根工程(やね)>
こまかい部品を手仕事で作り、各々組立式に屋根を作る
<木彫刻工程(もくちょうこく)>
図柄を選定し、桧(ヒノキ)・松などの土台となる木材に、ノミ・小刀などを使い手彫で彫刻する
<漆塗工程(うるしぬり)>
形づくられた木地の上に下地加工したのち、天然精製漆(うるし)を手塗りする
<金箔押工程(きんはくおし)>
天然精製箔押漆で金箔を一枚ずつ張り、または、その上に金粉などを施す
<彩色工程(さいしき)>
金粉・顔料・絵具などで、金箔の上に加工し、または直接、下地造りの上に描く
<蝋色工程(ろいろ)>
うるし塗の表面を木炭を使って平らに研ぎ、磨いて光沢を出すなど仕上げ加工をする
<蒔絵工程>
蝋色加工した上に漆などで下絵を描き、その上に金粉・銀粉などを蒔き、さらに加筆し研出し磨き上げられる
<錺金具(かざりかなぐ)>
銅などの地金(金属板)に手加工にて彫金をしたのち、鍍金加工などを施して仕上げする
<総合組立工程>
各工程の完了したものを一ヵ所に集め、総合的に組立てられる
<仏像彫刻工程>
仏像を、白壇、松、桧、桜、楠などの素材にて定められた技法により彫刻される
<金属工程>
金属仏具を、銅または銅合金にて鋳造、または打出し加工される
<截金>
金箔・銀箔・プラチナ箔を、細い線や三角・四角・眉形などの細片に切り、
数枚焼き合わせた截箔(きりはく)を、筆と接着剤を用いて貼り付け、さまざまな文様を描き出す伝統技法
京仏壇・京仏具・仏画・仏像を荘厳するために発達してきた
<東西両本願寺門前町>
京仏壇や京仏具、お香などの老舗が軒を連ね、歴史と伝統文化の薫りを感じながら散策を楽しめるエリア
<紙本金地著色 松図(天球院方丈 旧仏壇壁貼付)(重要文化財)>
天球院の方丈の仏壇に張り付けられた松図
江戸時代のもの
京都国立博物館へ預託