和蝋燭(わろうそく)

和蝋燭(わろうそく)は、植物性の原料のみを使って製造される伝統的なローソク

和紙にイグサのズイを巻いた芯に、ハゼの実などから抽出したロウを素手で塗り込めていく独特の技法で作られる

すすが少なく、清らな炎がゆらぎ、風で消えにくいのが特徴

神社仏閣の祭事や、夜のお茶席などで用いられている

京都市の伝統産業の一つ

 (写真は京都伝統産業ミュージアムにて撮影)

【和蝋燭の歴史・経緯】


【和蝋燭】

 <芯>
 和紙に、藺草(いぐさ)の髄(ずい)を巻いて作られている
 髄(ずい)は、畳表の材料でもあるイグサの皮を剥くと出てくる

 <ロウ>
 ウルシ科の樹木 櫨の実(ハゼのみ)などから抽出したロウを素手で塗り込めていく
 純植物性で、油煙も少ない

 <灯火>
 製造工程で芯の芯としていた竹串を最後に抜くため、芯の中が空洞になっている
 ロウソクの中を空気が流れるため、炎に自然の揺らぎができる

 炎の大きさは、西洋ロウソクより大きく、照度も2~3倍明るくなる

 芯がロウを吸い上げるスピードが速く、風が吹いても消えにくく、蝋垂れや油煙も少ない


 <種類>
 棒型:真っすぐな形
 いかり型:型の部分が広がった形

 無地ろうそく:白色
 朱ろうそく :朱色
 絵ろうそく・花ろうそく:絵柄が描かれている


 <重さの単位>
 匁(もんめ):約3.75グラム、30分ほど燃える

【和蝋燭の製造方法】

 <芯を巻く>
 竹串に和紙を巻いて、その上からイグサの髄を隙間なくらせんに巻いていく
 真綿の繊維を絡めて止めます

 <下地作り>
 桜の木でできた型に芯を刺し、熱して溶かした生ロウを流し込んで、固まってきたら型から出し形を整える

 <清浄生掛け(しょうじょうきがけ)>
 下地の上に、白ロウを素手で塗っていく
 溶かしたロウは60度ほどの熱いものだが、塗っているとすぐに固まっていくので時間勝負になる
 少し乾燥させ、ロウを塗る作業を繰り返していく

 ハゼの実のロウは、芸舞妓さんの化粧下地に使われるほど肌に優しいもので素手で塗っても手が荒れない

 <朱掛け>
 祭事などで用いられる朱ろうそくの場合は、木型でつくられた下地に、赤く着色したロウを杓で掛けて塗っていく

 <整形>
 冷まして固まった後、竹串を外し、形を整えて仕上げる
 竹串を抜くと中が空洞の構造になる

【その他】

 <西洋ロウソク>
 石油を原材料とするパラフィン蝋が用いられる
 火力が強く、細い糸の芯で灯る

 神社仏閣では、石油由来の油分により、壁や仏像・仏壇についたススは洗剤を使わないと取れず、
うるしや金箔も洗剤によってはがれてしまうため、不向きとされる


 <木蝋(もくろう)>
 和蝋燭で使われている、ウルシ科の樹木 櫨の実(ハゼのみ)などから抽出したロウ
 食品衛生法に適した安全性もある
 独特の粘りを持ち、肌に優しいもの
 芸舞妓さんの化粧下地、口紅やハンドクリーム、クレヨン・色鉛筆、お相撲さんのびんつけ油などにも用いられる

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