京舞・井上流(いのうえりゅう)は、京舞の一流派で、祇園甲部における唯一の流派
第1回京都博覧会の余興として始まった「都をどり」の振付けを行う
上方舞四流派(井上流・山村流・楳茂都流・吉村流)の一つ
京舞・井上流は、「静の舞」に特徴のある流派
能や、歌舞伎、浄瑠璃などからも影響を受け、花街の華やかさ、にぎにぎしさを加え、多様な面白さを持つ
女性のみで、腰から上の身体によって感情を表すのが特徴
京都では、6歳の6月6日に、舞などのお稽古ごとを始める習慣がある
井上流では、一番はじめに「門松」の手ほどきを受ける
習い終えると順に、「松づくし」「菜の葉」「七福神」「四つの袖」「黒髪」と進む
お稽古では、お師匠さんと、お弟子さんが向かい合って稽古される
お師匠さんは、逆手で、反対に舞って教える
能楽シテ方 野村金剛家や、観世流の片山家と縁が深く、その影響を強く受けている
扇の図柄は、全て「近衛引(このえびき)」
白骨で、金地のところに、五摂家 近衛家の井菱の定紋が白ぬきで入っている
寸法は、9寸5分
稽古用は、白地金砂子に井菱の紋
子供の稽古用は、8寸5分で、薄紅地金砂子
舞妓さん用は、金地近衛引紅段紋入
(紅三段、五段、七段、九段)
芸妓用は、金地近衛引萌黄段紋入、または、金地近衛引紫段紋入
(萌黄三段、五段、七段、九段)
(紫段五段、七段、九段)
舞妓さんから襟かえをして芸妓さんになる場合は、紅段から紫段五段となり
芸妓さんからの場合は、萌黄三段から始まる
<名取の扇>
井上流儀を代表するもの
黒骨で、紅地金砂子に白の椿が一輪描がかれている
<初代 井上八千代>
井上サト
近衛家・一条家・仙洞御所などの舞指南役を勤めた
<二代 井上八千代>
井上アヤ
<三代 井上八千代>
<初代 井上八千代>
井上サト
近衛家・一条家・仙洞御所などの舞指南役を勤めた
<二代 井上八千代>
井上アヤ
<三代 井上八千代>
片山春子
<四代 井上八千代>
片山愛子(1905年5月14日〜2004年3月19日)
人間国宝
<五代 井上八千代>
観世三千子(1956年〜)
祖母は、人間国宝の四代 井上八千代
父親が、人間国宝の観世流能楽師 片山九郎右衛門の長女
日本芸術院賞受賞
2000年に襲名
八坂女紅場学園の舞踊科教師
<祇園甲部の始業式>
1月7日
芸妓・舞妓さんが、1年間の精進を誓う新春の行事
「芸妓・舞妓さんの誓い」の一同斉唱
売上の優秀な芸妓・舞妓さん、お茶屋の表彰が行われる
最後に、京舞 井上流 家元の祝いの地唄「倭文(やまとぶみ)」の舞でしめくくられる
<みやび会御千度>
7月5日(祇園祭期間中)
門下生たちが揃いの浴衣で八坂神社を参拝する
<温習会>
10月1日〜10月7日
芸妓・舞妓さんが、日頃の研鑽の技芸を披露する行事
<事始め>
12月13日
正月の準備が始められ、稽古場に「玉椿」の軸が掛けられ、門弟から届けられた鏡餅が飾られる
芸子・舞妓さんたちは「今年もよろしゅうおたのもうします」と家元に挨拶をし、家元からご祝儀の舞扇を受けて精進を誓う
<澪の会>
京舞を身近に親しんでもらうため、年に数回、自宅の練習場で7日の日に行われている会
<戯曲「京舞」>
作者:北條秀司
京舞井上流三世と四世家元がモデルになっている
<井菱>
五摂家 近衛家で舞を学んで賜った流儀の紋
「近衛引(このえびき)」とも称されて、扇の図柄は全て近衛引になっている